NHKアナウンス室

アナウンサー仕事の流儀

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インタビュー 青井実

ありのままの自分で。
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自分を飾らない、嘘をつかない。
  • いま、担当している番組について教えてください。

    土日と祝日の『ニュース7』を担当しています。

  • 平日の『ニュース7』とは、ここが違う!というのはありますか?

    土日と祝日は、社会の動きが平日と比べると少なかったりするので、そのぶん一つ一つのニュースに厚みをもたせてじっくり伝えるようにしています。 歴史のある番組ですが、これまでの『ニュース7』にはないテイストを出せたらと心がけています。

  • テイストとは、具体的にどういうものですか?

    伝え方です。ニュース番組なので、しっかり伝えるところはもちろんですが、堅い雰囲気だけではなく、柔らかくもしたいですね。週末なので。原稿も自分なりに書き換えて、より「話し」口調に近いようにしています。
    たとえば「続いて、ラグビー日本代表。歴史的勝利を…。」と言うところを「やりました!強かったですね~!ラグビー日本代表…。」と。原稿には、「やりました!強かった!」なんて言葉はないのですが、実感を入れたりしています。テレビを見てくれている、そこのあなたに話しかけていますよ、みんなと同じ気持ちですよ、というニュアンスをできる限り出していきたいと思っています。

  • ほかにも何か心がけていることはありますか?

    若い世代の人にも見てほしい。土日、祝日は、家族そろって夕食を食べながら番組を見てくださるご家庭も多いと思います。平日は部活で遅くなる中学生や高校生も見てくれているかもしれない。そいう若い人たちにも親しみやすいニュース番組でありたいと思っています。
    僕も若いころはNHKってお堅い、難しいというイメージがあったので、その壁を自分がどれだけできるかわかりませんが、少しでも意識を変えていければ。

  • アナウンサーとして大切にしていることは?

    嘘をつかないということ。嘘というのは、自分が納得していないこと、理解していないことは言わないということ。血が通っていない言葉は、何を言っても届きませんからね。もうひとつは、飾ったり、カッコつけたりしないで、自然体の自分で、ありのままの自分でしゃべるということです。
    あとは、“愛”ですね。基本的にスポーツなどでは勝った人が主語になるケースが多いのですけど、負けた人も一生懸命戦った訳ですから、そこにもちゃんと愛を持って向き合っていきたいです。
    嘘をつかないこと、自分を飾らないこと。人に愛を持つこと。
    これはどの番組を担当しても、大事にしていきたいと思っています。

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もっともっと、いろいろな人に会ってみたい。
  • 学生時代に熱中していたことは?

    高校までは野球に熱中していました。僕は松坂大輔世代で、当時の横浜高校と春の県大会のベスト4で対戦しました。7回に彼がマウンドに上がったのですが、やはり凄かったし、同じ高校生とは思えなかった。
    人生で初めて“一流”を見ました。あ、僕は、打席には立ってませんけど(笑)

  • 大学生活で特に思い出深いことは?

    いろいろなアルバイトをしましたね。通信販売の梱包、雑誌社、イベントの設営、そしてNHKでもやりました。
    大学時代は同級生やアルバイトで知り合った仲間など、たくさんの友だちができました。今でも付き合いがあって、ご飯に行く回数が多いのは、大学時代の友だちですね。いろいろな仲間ができた、それが大学の一番の思い出だし、今の自分の財産にもなっています。

  • NHKではどのようなアルバイトを?

    2000年のシドニーオリンピック・パラリンピックの期間の短期のアルバイトです。台本のコピーをとるなど放送のお手伝いをしていました。
    それまでは、NHKはお堅いところというイメージが強かったのですが、実際に働いてみると、そんなことはなくておもしろい人がたくさんいました。これを言うと怒られるかも知れませんが、みんな眼鏡をかけて髪は7・3分けだと思っていました(笑)。

  • アナウンサーになりたいと思ったのはそのときですか?

    影響は大きかったと思いますね。アルバイトをしていたときに、たくさんのアナウンサーの方を見て、みなさんが明るく楽しそうに仕事をしているなと感じていたので、就職活動のときにNHKも受けてみたい、と。
    就職活動ではさまざまな分野の会社を受けました。「好きなもの」という自分なりのこだわりがあって、自分が好きなものを作っている会社を受けたのですが、好きなもののひとつにテレビ局やアナウンサーがありました。

  • 最終的にアナウンサーになろうと決めたのは?

    普通では会えないような人に会えるかもしれない、というのが大きかった。僕は、人が大好きなんですよ。それは、俳優さんなどの有名人に限らず、独自のやり方ですごくおいしい野菜を作っている農家の方とか、じつはすごいネジの技術の開発者だかと・・・そういう魅力的な人たちとアナウンサーになれば会えそうだと思い、アナウンサーの道を選びました。

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ありのままの自分で挑む。
  • 新人のころに大変だったことは?

    何もかもですよ。生意気にも最初は、ある程度はしゃべれるだろうと思っていのですが、まったくダメでした(笑)。うまくしゃべれないし、うまく伝えられない。頭ではわかっていても、いざ声に出してみると噛んだり、アクセントを間違えたりで・・・。

  • それは、どうやって克服していきましたか?

    経験を積んでいくしかないのかなと思います。たとえばニュース原稿を読んでいるときに、間違ったらどうしよう?急に臨時のニュースが飛び込んできたらどうしよう?時間内におさまるだろうか?と、新人のころはネガティブなことばかり考えて、勝手に焦ったり、パニックになっていたような気がします。
    でも、場数を踏むにつれて、少しずつ自信もついていくし、余裕も出てきます。そうやって時間をかけて乗り越えてきたような気がします。
    本当は、結構勉強して、トレーニングしたんですけど、恥ずかしいので秘密にしておいて下さい。(笑)

  • 新人のころの仕事で思い出深いものは?

    大阪時代の3年目に夕方の生放送の番組にリポーターとして参加させてもらうことになりました。そこで、生放送の難しさとおもしろさを知ることができたと思っています。

  • 具体的にはどういうことですか?

    生放送って1秒で、スタジオの雰囲気がガラッと変わるんです。たとえば「青井くん、今のどう思う?」って司会のアナウンサーに聞かれたとき、「いや、僕なんて聞かなくていいんです」と言っちゃうと流れはそこで止まっちゃう。逆に、そこで何かひと言でも気の利いたことが言えれば話が次に転がるし、スタジオの雰囲気も盛り上がります。怖さもあるし、楽しさもあるんです。たった1秒で、ですよ。
    生放送で大切なのは、瞬発力と、臨機応変さ。それを身につけるのはとても大変なことですが、そこに生放送の醍醐味(だいごみ)だったり、おもしろさがあります。それを勉強できたのは大きかったし、今の自分にも繋がっていると思います。
    その頃、めちゃくちゃ怒られましたけどね(笑)

  • ほかにも、自分が成長するきっかになった番組はありますか?

    たくさんありますが、ひとつあげるとすれば、最初に東京勤務になったときに担当した『英語でしゃべらナイト』という番組です。
    そこで感じたのは、自分を良く見せようとしてはいけない、ということ。英語の番組なので、事前に勉強して、こう聞かれたらこう答えようと考えて収録に臨んでいました。自分が英語ができないと思われるのが嫌だったんですよね。少しでもカッコよく、出来るところを見せようとしていました。
    けど、画面からは、僕が上手くやろうとしているのが伝わるんです。下手でもいいから、必死にやる、一生懸命向き合う、自分自身をさらけ出してやらないと何も伝わらない、ということを学びました。
    これが今の“嘘をつかない”という姿勢に通じているのだと思います。

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人と会うことの大切さ。
  • プライベートで今、夢中になっていることは?

    ダイエットです。自粛期間で4キロくらい太ってしまいました。
    特に顔が太ったって言われて(笑)。ですから、ダイエットして顔痩せしたいですね。あと、興味あるのが土鍋です。土鍋でおいしいとご飯を炊いて、最高のおにぎりを作りたいんです。ただ、ダイエットもしなくちゃいけないので、今は、やりたいことが矛盾している状況です(笑)。とりあえず痩せることを優先させて、買った土鍋はまだ使っていませんけど…。

  • 今後、やってみたい番組はありますか?

    生放送の番組とか、歌番組もやりたいですねぇ。
    たとえば、多くの出演者いる生放送の番組でリポーターをやってみたい。キャスターではなく、僕はひっかき回す役としてリポーターで参加したりとか。
    もう一度、原点を見つめ直したいんです。
    歌番組では、昔『BS日本のうた』で全国各地を回ったという経験があります。その仕事では、会場でたくさんの視聴者の方とお会いすることができ、それがとても楽しかったし、「ああ、こういう人たちがちゃんと見てくれているんだ」と実感することができた事は、その後の仕事にも役立ちました。
    今はまだコロナ禍ですが、会場にお客さんが入っての歌番組を、もう一度担当してみたいです。

  • 今後、こんな番組があればいいなと思うものは?

    eスポーツの専門番組。これは、半分冗談で、半分本気なのですが、eスポーツのアナウンサーもこれからもっと必要になってくるでしょうから、こっそり勉強しています。ゲーム好きの甥っ子に聞きながら(笑)。
    もうひとつは、データ放送やネットを活用したインタビュー番組とか。「次回のゲストは○○さんですが、誰にインタビューしてもらいたいですか?青井アナウンサーという方は赤を、○○アナウンサーがいいという方は青を」みたいな感じで、ゲストによってインタビューするアナウンサーを視聴者のみなさんに選んでもらう番組。ずっと僕が選ばれない可能性もありますが(笑)、視聴者の皆さんが番組をカスタマイズ出来るようになったら、ゲストとアナウンサーの個性や魅力をより引き出せたりするのではないかなと。

  • アナウンサーを目指す学生へのメッセージを。

    「とにかく人に会って!」と言いたいですね。人によって考えや価値観が違うのはもちろんですが、しゃべり方も違います。小中高のときに、話がおもしろかった友だちの話し方とかテンポとか、自然と刷り込まれたりしますよね。そういういろいろなエッセンスを、人と会うことで吸収してほしいと思います。

    ありがとうございました。


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