子どものころからテレビが大好きでよく見ていたので、放送局に就職したいという思いはずっとありました。
ただ、就職活動では放送局だけでなく、幅広い業種に挑戦しました。基準は、自分が自分らしく、楽しく働くことができそうな職場かどうか。
放送業界もそうですが、旅行が好きだった私は航空業界にも興味がありました。もちろん第一志望はアナウンサーでしたが、自分が自分らしく働ける場は、放送局だけでなく、ほかにもあるかもしれないと思っていました。
民放や一般企業も受けましたが、面接が進むにつれNHKに行きたいという思いが強くなりました。「ここが一番、自分らしく働けそう」と感じたからです。
面接では、背伸びすることなく、等身大の私で話すことができましたし、そんな私の言葉に面接官はじっくり耳を傾けてくれました。目立ったことやインパクトのある話をしなくても、私という一人の人間に興味をもって話を聞いてくれているという印象もありました。それが、心地よかったし、うれしかった。
ですから、内定をもらったときは迷わずNHKに決断しました。
<入局式>同期6人と(2014.4.1)
マスコミに就職するために私がやったことは、全ての放送局の番組を見ることと新聞を読むことくらいです。
今は、それぞれの番組の切り口の違いやニュース項目の並びなどを気にしながら見ていますが、当時はこの局に自分が入ったらどんな番組が作れるだろうか?という気持ちで見ていました。
これって、とても大事なことだと思います。自分だったらこんなことをやりたいと具体的なイメージがどんどん広がったら、そこが自分の一番行きたい場所だと思うからです。
手書きの日本地図を前に初任地岡山を伝えられた瞬間
(2014.4.18)
NHKでは新人アナウンサーはまず東京以外の地域の放送局に赴任します。私の場合、初任地は岡山局でその次は札幌局でした。北海道は父の出身地ですが、初任地の岡山には縁もゆかりもありません。うまくやっていけるのか・・・という不安はありましたが、今思うととても貴重な数年でした。
東京に比べて局の規模も小さいので、アナウンサーの仕事だけでなく、自分で機材をもって取材にも行くし、編集もやらなくてはいけない。でもその中で、マスコミで働くということはどういうことなのか、自分には何が必要なのか、そういう基礎を教えてもらいました。マスコミ人としての、アナウンサーとしての足腰を鍛えてもらったと思っています。
初任地・岡山局にて、塩田慎二アナとの2ショット
(2017.2.10)
NHKでアナウンサーとして働いていていいなと思うのは、記者のように取材もできることです。渡された原稿を読むだけでなく、自分の足で取材した方がやはり自信を持って伝えることができます。記者としての視点や苦労を経験することは、アナウンサーとして深みにつながるのではないかと思っています。
私のころとは時代も違うし、就職活動のやり方も異なるかもしれませんが、もし、マスコミやアナウンサーに興味があるなら、ぜひチャレンジしてほしいです。一緒に楽しく番組を作れる仲間が増えてくれたらいいなと思っています。
最後に、「NHKは真面目過ぎる」と思っている人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。フランクで楽しい先輩、そしてちょっと変わっているなと思える個性的な人もいて楽しいですよ。