用語解説
秦(しん)
斉・楚・燕・韓・魏・趙とともに、春秋・戦国時代の「戦国の七雄」の一つに数えられる国。
七大国の中でもっとも西方に位置している。王都は咸陽(かんよう)。
黒卑村(こくひむら)
信と漂の育った集落から西へ二刻の距離にある村。
各地から流れてきた無法者たちの巣くつで、立ち入った者は生きて帰れないと噂される。漂に託された地図をたよりにこの村へやってきた信は、ここで政と河了貂に出会うのだった。
玉璽(ぎょくじ)
王命の印。この印なしに兵を動かすことは、法によって堅く禁じられている。
穆公(ぼくこう)
政の時代より400年をさかのぼる秦王。
差別なく人を愛した名君で、自らの馬を山の民に殺され食われると、罰することなく馬肉にあう酒をふるまった。
心をうたれた山の民は秦と盟を結び、穆公は百里の地と強力な友軍を得たのだった。
山の民(やまのたみ)
七大国の中でも最西端に位置する秦のさらに西、深山の奥地に住む人々。
さまざまな種族が混在する。かつて秦と結んだ盟は穆公の死後失われ、以降平地の民との交流はほぼ途絶えている。
馬酒兵(ましゅへい)
晋が大軍をおこして穆公を包囲したとき穆公から受けた馬と酒の恩を返すために参じた、屈強な300人の“山の民”。
凶暴極まる戦いぶりで数千の晋兵を蹴散らし、穆公を救い出すと、敵本陣に襲いかかって晋王を捕らえてしまった。
伍(ご)
歩兵が5人一組で行動する制度。秦の歩兵軍では伍が基本単位となっている。「伍」のリーダーは伍長と呼ばれる。
この5人組は運命共同体であり、歩兵にとって伍の構成人員は死活問題となる。そのため、戦にあたって伍を組むときは、強い兵士ほど多くの伍から勧誘される。
魏(ぎ)
春秋・戦国時代の「戦国の七雄」の一つ。七大国のほぼ中央、秦の東方に位置する。
四方を敵国に囲まれ、数百年間戦に明け暮れているため軍は強く、特に戦車隊は戦国七雄でも1、2を誇る屈強さを誇る。
戦車隊(せんしゃたい)
魏軍が中国最強と自負する装甲戦車隊。
2頭の馬に引かせた馬車に御者と2名の兵士が乗り込み、矛や矢による頭上からの攻撃で敵の歩兵を蹂躙(じゅうりん)する。M馬車の車輪の軸には刃が仕込まれており、側面の敵にも致命傷を与える。
弩(ど)
引き金を引いて矢を発射する弓。「連弩(れんど)」は多数の矢を連射できる高性能な弩。
蚩尤(しゆう)
19の氏族からなる、伝説の暗殺者集団。元々は巫女の一族だった。
独特の呼吸法によって剣に神がかりの力を宿す「巫舞(みぶ)」で舞うように戦う。それぞれの氏族ごとに、素質のある者には幼い頃から修練を積ませ、「蚩尤」の名を継承する者を“祭”で決定する。
緑穂(りょくすい)
羌瘣の愛剣。食事の時や寝る時も、片時も離さず携えている。
六大将軍(ろくだいしょうぐん)
政の祖父・昭王の時代、諸国に恐れられた秦の6人の将軍。白起(はくき)、王齕(おうこつ)、胡傷(こしょう)、司馬錯(しばさく)、摎(きょう)、そして王騎をさす。
6人とも桁外れに強く、武名は七大国に響き渡り、そして昭王とは鉄の忠誠心で結ばれていた。当時、秦は常に複数の国を相手に戦っていたため、昭王は6人に独断で戦争をする権限を与えた。“戦争の自由”を得た彼らは各地でさらに暴れ回ったが、その武勇伝も今では伝説となっている。