ストーリー
宮部みゆき原作、江戸深川を舞台に巻き起こる不可解な事件。岸谷五朗が演じる人情時代劇ミステリーの決定版、ついに登場!!
八百屋殺しを皮切りに、次々に消えていく長屋の住人。不審に思った見廻り方同心・平四郎は、住人たちへの同情も手伝い、独自に事件の裏を調べ始める。甥の弓之助の知恵を借りながら探索する平四郎は、やがて事件の裏に、17年前に起こったある事件の謎が隠されていることに気づく。その秘密を握るのは地主の湊屋総右衛門……。
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各回のあらすじ
第1回「忍びよる影」
本所深川見廻り方同心・井筒平四郎(岸谷五朗) は、深川北町にある鉄瓶長屋の煮売り屋・お徳(松坂慶子) の店に立ち寄るのが日課であった。ところが、その長屋で不幸な殺人事件が起こり、差配人の久兵衛(志賀廣太郎) が長屋から忽然と姿を消してしまう。平四郎は、久兵衛が事件の裏に隠された止むに止まれぬ事情のために姿をくらましたと知り、事の真実を伏せたままにする道を選んだのだった...。
第2回「烏(からす)を連れた差配人」
鉄瓶長屋から姿をくらました差配人の久兵衛(志賀廣太郎)の替わりとして、大家である湊屋から若い佐吉(風間俊介)がやってきた。井筒平四郎(岸谷五朗)がひいきにする煮売り屋のお徳(松坂慶子)は、なぜか佐吉を毛嫌いするが、その佐吉の仲裁で、父親の博打の借金の為に岡場所に売られそうになった孝行娘が、父親に愛想をつかして長屋から出奔、ことは一件落着する。しかし、その影で何やら得体の知れない動きがあるらしく...。
第3回「やってきた迷い子」
鉄瓶長屋に突然現れた迷子の長助は、満足に言葉がしゃべれない。井筒平四郎(岸谷五朗)は、そんな長助の素性を探り、親元に帰してやろうとする。長助の素性を知る老人を捜し当てた佐吉(風間俊介)が平四郎と共に話を聞くと、鉄瓶長屋に住む通い番頭の善治郎(徳井優)が、本当の父親だという。善治郎は奉公先の主人の「お手つき」女性と一緒になるため、それまで関係のあった長助の実の母を捨てたのだった...。
第4回「消えゆく隣人」
江戸・深川の鉄瓶長屋では、八百屋の太助が殺されたのを皮切りに、その妹・お露、桶屋のお律、通い番頭の善治郎一家と立て続けに店子が長屋を出て行くという珍事が起きていた。そんな長屋で、今度は怪しげな壺信心にかぶれた大工の八助一家と他の二家族までもが姿を消してしまう。さすがに事件の陰を感じ取った井筒平四郎(岸谷五朗)は、幼馴染の隠密廻り同心・辻井英之介(音尾琢真)に、地主・湊屋総右衛門(鶴見辰吾)の探索を頼むのだった...。
第5回「恨(うら)みを持つ者」
井筒平四郎(岸谷五朗)の探索依頼を受けた辻井英之介(音尾琢真)の調べによると、佐吉(風間俊介)は、湊屋総右衛門(鶴見辰吾)の姪・葵(佐藤江梨子)の一人息子であり、総右衛門はその母子を随分と可愛がっていたとのことだった。しかし、総右衛門の妻・おふじ(遊井亮子)は当然そのことを快く思っていなかった。それからしばらくして葵は失踪。鉄瓶長屋との関係は不明のまま。そのうち、総右衛門の動きを探る岡っ引きの仁平(六平直政)が事態をより複雑にしてしまう...。
第6回「過去から迫る闇」
佐吉(風間俊介)は、母・葵(佐藤江梨子)の失踪は、湊屋の手代との駆け落ちの末であると信じ、そのことに強い負い目を抱いていた。ある日、湊屋総右衛門の娘・みすず(山田朝華)が長屋に押しかけてくる。西国の大名に嫁入りが決まっているみすずは佐吉を気に入るが、佐吉は主人筋の娘だと取り合わない。佐吉の湊屋に対する卑屈な態度に、何者かに生きる道を仕込まれたと感じた平四郎(岸谷五朗)は珍しく怒りをあらわにするのだった...。
第7回「仕組まれた出奔(しゅっぽん)」
井筒平四郎(岸谷五朗)は、鉄瓶長屋での一連の出来事が、店子をそれとなく追い立てようとした湊屋の企てであることまでは探り当てたが、その裏に何が隠され、なぜそうしているのかは謎のままだった。失踪した元差配人の久兵衛(志賀廣太郎)が“長屋の心”であるお徳(松坂慶子)に対して佐吉(風間俊介)を嫌うように仕向けていたことを知った平四郎は、他人を操ろうとする総右衛門に怒り心頭、岡っ引きの政五郎(大杉漣)を仲間に引き入れる...。
第8回「飛べ!官九郎」
鉄瓶長屋での一連の出来事を陰で操る湊屋総右衛門(鶴見辰吾)の女房・おふじ(遊井亮子)が、いっとき信心に凝っていたことを探り出した井筒平四郎(岸谷五朗)。盗みの咎(とが)で裁きを待つ「ふぶき」という巫女の話を聞きだすべく、牢屋敷に目を光らせている岡っ引きの仁平(六平直政)の目をかすめて、烏の官九郎を使っての連絡方法を思いついた。だが、ちょうどその頃、太助殺しの正次郎が死体となって発見されたのだった...。
第9回「土の中で眠る女」
湊屋総右衛門(鶴見辰吾)の女房・おふじ(遊井亮子)が信心に凝っていたいきさつから、鉄瓶長屋の八百富があった場所に総右衛門の姪・葵(佐藤江梨子)の遺体が埋まっていると考えた平四郎(岸谷五朗)は、おくめ(須藤理沙)の病を理由に、長屋に残っていた佐吉(風間俊介)やお徳(松坂慶子)を千駄ヶ谷の医者のもとへと送り出し、政五郎(大杉漣)らの力を借りて八百富の床下を掘ってみた。が、しかし...。
第10回「さよなら鉄瓶長屋」<終>
一連の事件の真相に迫りつつあった平四郎(岸谷五朗)であったが、八百富の床下に葵(佐藤江梨子)の遺体が埋まっているという予想ははずれ、八方塞がりとなっていた。そこへ、今まで身をくらましていた元差配人の久兵衛(志賀廣太郎)が訪ねてくる。九兵衛は湊屋総右衛門(鶴見辰吾)と会ってほしいと切り出す。いよいよ疑惑の本丸である総右衛門との対面を果たす平四郎。そこで語られた真相は壮大だが虚しい事情をはらんでいた...。