ストーリー
平成25年6月、世界遺産に登録された日本の霊峰、富士山。
およそ120年前、日本の未来のために初めて富士山に挑んだ
実在の夫婦の感動物語。
標高3776mの日本最高峰の富士山は芙蓉峰とも呼ばれ、この最高峰を基盤にして、日本の気象観測は目覚しい発展を遂げた。
明治28年、不可能と思われていた厳冬期の富士登山を成し遂げた民間人・野中到(いたる)は、富士山頂に私設気象観測所を作り、ひと冬籠もっての観測に向かった。「一人であれば、夫は必ず死ぬであろう」妻の千代子は確信した。夫と共に山頂に籠もるため、その計画を周囲に隠し、姑をあざむき、あらゆる方策を尽くして遂に決行。前人未到の真冬の富士山頂で、寒さと高山病に苦しみながら、夫唱婦随の観測が始まった――。
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各回のあらすじ
第1回「初恋の石」
明治28年、野中千代子(松下奈緒)は厳冬期の富士山登頂に挑む夫の到(佐藤隆太)の無事を祈っていた。誰も登ったことのない雪の富士登山に成功したなら、いよいよ富士山頂に観測所を建て、冬期気象観測のために一冬籠もるつもりだ。民間人の誰かがまずは実証しなければ国を動かすことは出来ないと信念に燃える到を、父母や弟は一家をあげて支援するが、千代子は心配でたまらない。「そんな無茶、一人では死んでしまうに違いない」と確信する千代子は、嫁は家を守るものだと叱責する姑のとみ子(余貴美子)に初めてさからい、同行を決意する。
第2回「ふもとの嘘」
富士山のふもと、御殿場で千代子(松下奈緒)は山頂観測所建設を進める夫の到(佐藤隆太)を手伝いながら、後を追って冬の山頂に籠もる準備を内緒で進める。いよいよ到の観測所への出発が迫ると、東京の婚家に戻ると嘘をついて娘の園子(古川凛)を伴って福岡の実家へ戻った。園子を両親に預けるためだった。ここで、自分の服装を整え、故郷の山で足を鍛える。義父母の反対を押し切り、娘を置いていくひどい母親となじられようともその娘のために、生きて到を連れて帰ると誓う千代子だったが…
第3回「天空の笑顔」
女が冬の富士山頂を目指すなんてと難色を示す強力を説き伏せ、千代子(松下奈緒)の登山が始まる。夫・到(佐藤隆太)も、姑のとみ子(余貴美子)も成功するはずがないと反対していた。到を支援する気象台の和田(勝村政信)も女だてらにと怒りをあらわにした。しかし千代子の決心は揺るがず、危険な目に遭いながらも踏み進むその姿に、強力たちとの間にも信頼関係が生まれ始める。そして…
第4回「生きて」
千代子(松下奈緒)と到(佐藤隆太)、二人だけの山頂での暮らしが始まった。2時間おき1日12回の観測で睡眠も取れない到を助けようと、千代子はひそかに観測の仕方を学び、交代を申し出る。夫の寝顔に、このために山頂まで来たのだと涙ぐむ千代子だが、高山病の激しい頭痛と悪寒を隠して気丈にふるまう。しかし、夢の中では娘の園子(古川凛)に大人びた口調で叱責される。のどの腫れ物で息も出来なくなった千代子は生死のふちをさまよい…
第5回「極限の誓い」
山頂に籠もって二ヶ月あまりが過ぎ、遂に到(佐藤隆太)が倒れ、千代子(松下奈緒)が一人で12回の観測をこなすようになる。弱っていく到の姿に、つとめて明るく振舞う千代子だが、唯一身体が受け付けた小豆さえも喉を通らなくなると、到だけでも山を下ろして命を守りたいと迷いが生じる。到はそんな千代子を労わり、代わって自分が這いながらも観測しようとする。そんな矢先慰問に訪れた人は、二人の様子に…
第6回「運命のかけら」
千代子(松下奈緒)と到(佐藤隆太)は体調の悪さを慰問団に口止めし、死を覚悟して富士山頂での気象観測をなしとげようとする。が、到の弟の清(三浦貴大)は黙ってはおれず、二人は実は重体だと告白する。気象台の和田(勝村政信)は救援隊を組織し、観測所を訪れて下山を説得する。到の思いの強さに打たれ、観測を続けさせてほしいと共に懇願する千代子。が、幼い娘についての思いがけない事態を聞かされる。