ストーリー
江戸時代後期。紀州(和歌山県)の紀ノ川沿いに代々医者を勤める華岡家があった。
当主・青洲が京に遊学中、青洲の母・於継(おつぎ)が近郷の名家の娘・加恵(かえ)を青洲の嫁に迎えた。於継に憧れていた加恵は華岡家の嫁になれただけでも幸せだったが、その上、於継は加恵を大事にし、その睦まじさは人も羨むほどであった。青洲の妹、於勝や小陸にも加恵はよく尽くした。
ところが、青洲が京より帰郷すると、その様子は一変した。何かと青洲に世話をやく母や妹達。青洲のすべてを知る母や妹達に、加恵はかなうはずもない。手も足も出せない加恵は惨めな気持ちになるのであった。
青洲をめぐる嫁と姑の争いは激しさを増し、妊娠した加恵を里に戻そうと於継は段取りをつけてしまう。加恵は実母に悩みを訴えたが、嫁と姑とはそういうものだと言い聞かされる。
その頃、青洲の妹・於勝が乳癌を患う。於勝は青洲に切開手術をしてくれと懇願する。紀州一の名医と言われるまでなっていた青洲は麻酔薬の研究に没頭していたが、薬はいまだ完成せず、手術をすることはできなかった。於勝は死去する。「人が病で死ぬのは、いつも医術が至らぬからなのだ」と絶叫する青洲の目には涙が光っていた…。
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各回のあらすじ
第1回 「夫のいない婚礼」
江戸時代後期、紀州の紀ノ川沿いに代々医者をつとめる華岡家があった。近郷の名家である妹背家の娘・加恵(和久井映見)は幼いころ、華岡家に嫁いで来た於継(田中好子)の美しい姿に心を奪われていた。縁あって華岡家に嫁いだ加恵は華岡家の人々に温かく迎えられていたが、夫の雲兵(のちの青洲…谷原章介)が京より帰郷すると、於継の様子は突如一変するのだった。
第2回 「嫁と姑」
於継(田中好子)の加恵(和久井映見)に対する厳しさは増す一方だった。加恵は、夜も雲平(谷原章介)の寝間に行くことを許されず、於継とふたりで布団を並べるのだった。ある日、於継から雲平のもとへ行くよう申し渡され、加恵はようやく夫婦の最初の夜を過ごす。しかし於継の加恵を見る目にさらに憎悪が加わる。雲平の麻酔薬研究が本格的な開始を告げ、残虐な実験が日々繰り返され恐怖を感じる加恵は、ある日、懐妊するが…。
第3回 「献身」
雲平(谷原章介)は弟子たちから青洲先生と呼ばれるようになっており、医師としての名を高めつつあった。青洲は麻酔薬の実験にひたすらに打ち込む毎日を送っていた。於勝(中島ひろ子)が乳がんを患う。於勝は青洲に切開手術をしてくれと懇願する。青洲は薬の研究に没頭していたが、麻酔はいまだ完成せず、手術は不可能だった。於勝は死去する。5年後、麻酔薬は人体実験が必要な段階に到達した。
第4回 「悲しみをこえて」
於継(田中好子)の実験に続き、加恵(和久井映見)も危険な量の薬を飲み干す。3日後、加恵は長い眠りから目を覚ます。そんな実験が続く中、娘の小弁(村崎真彩)が家を離れ、川に落ちて死去。加恵はその後2年の間、娘を亡くしたことで苦しむ。青洲(谷原章介)は、小弁の死をむだにしないためにも麻酔薬を必ず完成させることを誓う。しかし、麻酔から目覚めた加恵の両目に激痛が走り…。
第5回 「別離」
視力を失った加恵(和久井映見)は、青洲(谷原章介)をほめる。於継(田中好子)も、加恵が自分に人一倍気を遣っていたことを知る。平静を取り戻した華岡家は、新しい命を授かる。40歳になった加恵は、男の子・雲平を産む。そして、於継はすべてを使い果たしたのごとく安堵(ど)のうちに亡くなる。
第6回 「永久(とわ)の花々」<終>
加恵(和久井映見)は於継(田中好子)に成り代わり華岡家を支えた。血瘤(りゅう)病を患った小陸(小田茜)は、死の間際「姉さんと母さんの争いを見続けてきた」と話す。争ったつもりなどないと答える加恵に「そう思えるのは姉さんが勝ったからやわ」と小陸は言う。於継の死後、初めて号泣する加恵。乳がん患者が青洲(谷原章介)のもとを訪れ、麻酔薬を用いた手術は、ついに成功する。