ストーリー
世界を股にかけて活躍する渉外事務所の花形弁護士たち、そして一流企業との顧問契約を優先する巨大事務所、そして「マチ(町)弁」と呼ばれる数人単位の中小事務所…。
弁護士・天地涼子(江角マキコ)を中心とした、ある小さな法律事務所の個性的な4人のマチベンの姿を通して、現代の弁護士たちの仕事ぶり、喜び、怒り、悩みにリアルに迫る。
「本当の正しさはどこにあるのか?」「人を救うとはどういうことなのか?」という迷いを胸に秘めながらも、彼らはプロの代理人として、時に真実をめぐって検察と闘い、時に現実とずれてしまった法律と闘い、そして時に弱者をバッシングする世間と闘っていく。マチベンたちが引き受けた市井の小さな事件から、現代社会の問題点が、各回ごとに浮かび上がる。そして、涼子は、検事時代に自らが関わったえん罪事件に立ち向かっていく。
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各回のあらすじ
第1回 「法廷は涙にめざめる」
放火事件に巻き込まれて最愛の娘を失った母・河瀬みゆき(松田美由紀)は、弁護士・天地涼子(江角マキコ)に民事訴訟を依頼した。すでに保護観察処分が決定している相手に河瀬が訴訟をおこしたのは、自らの手で放火犯に復讐するためだった。裁判の日、河瀬は犯人に襲いかかり警察に連行される。被害者家族に冷たい法制度に失望している河瀬の気持を知った涼子は「真実だけが人を救う」という信条の下、ある法廷戦術を思いつく。
第2回 「依頼人を裏切れますか?」
誘拐事件の犯人として誤認逮捕された高校教師・鈴木博史(大倉孝二)は、学校から解雇通知を押しつけられる。鈴木の無実を何とか証明しようとする天地涼子(江角マキコ)に、鈴木はある告白をする。誘拐の当日、鈴木はある理由で教え子の谷村茉衣(悠城早矢)と一緒だった。しかしその日、茉衣に何があったか絶対に口外しないと約束したため、アリバイを語ることができなかったのだ…。
第3回 「死刑囚を救えますか?」
連続保険金殺人の容疑者・愛川サチ(若村麻由美)に死刑判決がでた。愛人と共謀して美容院の従業員を殺害し、さらに愛人をも殺したというのだ。天地涼子(江角マキコ)は愛川の弁護に名乗りをあげる。愛川は涼子に、昔愛人からもらった絵を愛人の妻から取り返してほしいと頼む。その絵をめぐる駆け引きの中で、事件の真相が浮かび上がる。「希代の悪女」と騒がれた愛川の素顔を知った涼子は、愛川の死刑判決を覆すべく二審に挑む。
第4回 「安楽死を裁けますか?」
天地涼子(江角マキコ)は、新田(岸部一徳)が入院する病院を訪れた。後藤田(沢田研二)は、昔、新田が営む投資会社の顧問弁護士をしていたが、新田が詐欺事件を起こし、「後藤田の指示で行った」と虚偽の証言をしたため、後藤田は弁護士資格を失う寸前にまで追いこまれた。涼子に会った新田は、がんで余命半年だと告白。早く死を迎えたいと言う。1回目の法廷。新田はそこで発作に襲われ、裁判は思わぬ方向へ向かう…。
平成18年度文化庁芸術祭のテレビ部門テレビドラマの部で芸術祭優秀賞を受賞(平成18年度11月23日再放送・芸術祭参加)
〔受賞理由〕
井上由美子の脚本は、安楽死について云々することではなく、最期の時間をちゃんと生きることに主眼をおいたストーリーにうまく転換している。より深い人間の感情の機微を、極上のエンターテイメントとして完成させたことが見事だった。
第5回 「無実を信じますか?」
天地涼子(江角マキコ)は、深川事件の再審を起こすことを宣言した。深川事件とは、4年前、土居勝成が通り魔に殺された事件。当時、検事の涼子は深川保(竜雷太)を殺人犯と断定し起訴。深川には無期懲役の判決が下された。しかし涼子は、これがえん罪であることに気づく。涼子は、事件の鍵を握っている深川の娘の八重子(森下愛子)に会って、真相を正そうとするが…。
第6回 「真実がこわいですか?」<終>
天地涼子(江角マキコ)は殺人未遂で逮捕された。神原(山本耕史)らは、涼子が深川八重子(森下愛子)を殺そうとするはずはなく、八重子の自作自演だろうと推測するが、涼子自身は一切を語ろうとしない。詰め寄る神原に涼子は、「四谷事件の真犯人は、深川保(竜雷太)や八重子が命をかけて守りたい人」だとし、保が出廷すればすべてを話すと誓う。そして、とうとう涼子が法廷で保と向き合う日がやってくる…。