ストーリー
大学卒業以来勤めてきた横浜の老舗デパートが買収され、職を失った主人公・高岡駿馬、40歳。母の介護という事情もあって、故郷・大阪府なみはや市に妻・樹と共に戻り、亡き父が勤めていた市役所に再就職を果たす。平穏な第二の人生が送れると思っていた矢先の2007年3月。市の財政危機が発覚し、水元市長が急遽立ち上げた「財政再建プロジェクトチーム(PT)」の一員として、駿馬は召集される。民間企業での経験に白羽の矢が立ったのだ。
プロジェクトチームリーダーは定年間際の職員・間宮哲夫。かつて駿馬の父の部下だった男だ。メンバーは他に、財政課課長の桂木、保険収納課で現場一筋の女性職員・田村、エリート若手職員の橋本、そして民間経営コンサルタントの光野。わずか4か月という期間で“一律15%の予算削減”を目指す、PTメンバー6人の怒涛の日々が始まる。
削減対象は、市民の希望が託されているニュータウン計画などの都市計画事業、低所得層の生活を支援する市営住宅事業、さらには福祉、医療、教育といった「聖域」にまで及ぶ。市営住宅に住み貧困にあえぐ少女、仕事がなくて国民健康保険料が払えない一人親方、老老介護に苦しむ認知症老人などとの出会いを通じて、駿馬は切迫した現状と向き合い逡巡しながらも必死に「極限の削減案」を作成しようと奮闘していく。
財政再建案の作成に取り組む中で、駿馬は、10年前に父が町の財政状況の行く末を憂い、一度は再建案をまとめながら、“なみはやのドン”こと市議会議員・権藤と前市長の圧力で潰された事実を知る。父が平穏無事に仕事をしていただけでなく、死ぬ間際まで町のために闘っていたことに、駿馬は強い衝撃を受ける。一方、前市長の実子として「負の遺産」を一身に背負うことになった水元市長は、内心では改革の必要を感じつつも、父の代からの恩義もあって権藤の反発を止められず、苦悩の日々が続いていた。
1か月後、ついにPTによる財政再建に向けた試案が完成。間宮と駿馬は水元市長を説得し、その試案をもとにした公開部局折衝を実施し、民意を問う。町の長年の悲願であったニュータウン事業の全面凍結、市民病院の経営縮小など大幅な削減プランが世に公開され、市民の反発がPTに押し寄せる。ニュータウン事業絡みで利権を得ていた権藤からも痛烈な逆襲を食らう。
そんななか、リーダーの間宮が病に倒れ戦線離脱し、PTは一気に危機に陥る。PTメンバーに自分を選んだ間宮と亡き父の果たせなかった思いを背負い、駿馬は自らリーダーとしてPTを引っ張っていく決意を固める。果たして、「町の再生」に向けて一歩踏み出すことができるのか?駿馬たちPTメンバーは最終案をもって水元市長に決断を迫り、町の命運を賭けた最後の公開部局折衝に臨む…。
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各回のあらすじ
第1回「非情」
大学卒業以来勤め上げた横浜のしにせデパートが買収され、故郷の大阪府なみはや市に戻ってきた高岡駿馬(筒井道隆)。亡き父が勤めていた市役所に中途採用されるが、転職1か月にして市の財政破たんが発覚。水元市長(吉田栄作)は「財政再建プロジェクトチーム(PT)」の発足を宣言する。駿馬はリーダーの間宮哲夫(岸部一徳)ら5人のメンバーとPTに参加。4か月で“一律15%の予算削減”を目指す、究極の仕事が始まる。
第2回「敵」
財政削減を模索する高岡駿馬(筒井道隆)たちの仕事は、さまざまな方面からの抵抗を受けて困難を極める。駿馬は区画整理予定地を調査するなかで、新たにニュータウンを開発するより、市民の今の生活を守ることが重要ではないかと思いはじめる。だが、10年前に当時の財政課課長だった父が作った、ニュータウン計画凍結案は、推進派の前市長と市議会議長・権藤(近藤正臣)によってつぶされていた。
第3回「覚悟」
10年前に父の改革案をつぶしたのが今回のリーダー・間宮(岸部一徳)と知った高岡駿馬(筒井道隆)。間宮の真意を計りかねるが、駿馬は改革案提出に向けて福祉分野の削減検討に入る。田村(南果歩)から見せられたかつての改革案には、命がけで市民の生活を守る父の覚悟が記されていた。一方で、ニュータウン計画に疑問を感じ始めた水元市長(吉田栄作)は、議長・権藤(近藤正臣)から尊敬していた父の汚職を知らされ苦悩する。
第4回「責任」
間宮(岸部一徳)はニュータウン計画凍結を指示し、チームの財政改革案は完成した。だが公約破りの試案に水元市長(吉田栄作)が難色を示し、結論は公開部局折衝後へ持ち越される。各分野での折衝が困難を極める中、ニュータウン凍結を議論する日がやってくる。権藤(近藤正臣)ら推進派議員のどう喝に対し、反論に立ち上がった間宮だったが、突然倒れてしまう。高岡駿馬(筒井道隆)は後を引き受けリーダーになることを決意する。
第5回<終>「希望」
倒れた間宮(岸部一徳)の代わりにチームのリーダーを志願した高岡駿馬(筒井道隆)は、「縦割りと前例主義を廃し、市民に開かれた新しい行政への転換」を訴えるが、権藤(近藤正臣)は「ニュータウンこそが希望だ」と反論する。水元市長(吉田栄作)は市民の前で父親の汚職を告白、チームの試案支持を表明する。権藤は時代の移り変わりを悟って去り、ついに財政改革案が議会を通過し、成立する。