厳しい荒野を生き抜こうとする少年たちの
もの悲しく、深い味わいの名作

夕陽の群盗【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

5月29日(水)[BSプレミアム]後1:00

南北戦争末期、徴兵を逃れ、両親からお金をもらってミズーリへとやってきた少年ドリュー。ところが、同じ年ごろのジェイクに財産を取られてしまいます。ひょんなことからドリューはジェイクと再会、仲間たちと行動をともにするようになりますが…。
今回ご紹介するのは、美しい映像に彩られた青春ウエスタンです。

アメリカ映画に新風を吹きこんだ作品

厳しい現実にもまれていくドリューを演じるバリー・ブラウンは当時20代前半、この作品や、ピーター・ボグダノヴィッチ監督の「デイジー・ミラー」(1974)などに出演しましたが、27歳で亡くなりました。
小悪党で、どこか憎めないジェイクを演じるのはジェフ・ブリッジス。1949年生まれ、両親・兄のボーも俳優で、子どものころからテレビや映画に出演し、20代での「ラスト・ショー」(1971)やクリント・イーストウッド共演の「サンダーボルト」(1974)などでアカデミー賞にノミネートされ、「クレイジー・ハート」(2009)でついに主演男優賞を受賞しました。今年70歳、渋さをにじませる抜群の存在感で、今も名優として活躍しています。

脚本・監督はロバート・ベントン。「クレイマー、クレイマー」(1979)でアカデミー賞を受賞した名監督です。1932年、テキサス生まれのベントンは、アメリカ映画はもちろん、フランソワ・トリュフォーやジャン・リュック・ゴダールなどフランスのヌーベルバーグに深く影響を受け、友人のデビッド・ニューマンと、実在のアウトロー、ボニーとクライドの物語「俺たちに明日はない」(1967)の脚本を執筆、アメリカ映画に新風を吹きこんだ作品として高く評価され、これが初の監督作となりました。

中西部のカンザスで撮影されたこの作品、秋から冬の寒々とした森や荒れ地が印象的です。撮影のゴードン・ウィリスは、フランシス・フォード・コッポラ監督の代表作「ゴッドファーザー」3部作(1972~)や、ウディ・アレン監督のほろ苦いコメディー「アニー・ホール」(1977)、アラン・J・パクラ監督の社会派ドラマ「大統領の陰謀」(1976)など、数々の傑作をてがけた、アメリカ映画最高の撮影監督の一人です。ウィリスは、茶色を基調に、くすんだ色彩で、寒さを体感させるような、美しく、見ごたえある映像を作りだしています。

当時はベトナム戦争のさなか、ベントン監督は多くの若者たちが亡くなっていったことを意識しながら、この映画を作りあげたということです。
厳しい荒野を生き抜こうとする少年たちの、もの悲しく、深い味わいの名作、じっくりご覧ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「夕陽の群盗」
5月29日(水)[BSプレミアム]後1:00〜2:34

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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