恐竜CG制作の裏側【ライティング&エフェクト&合成】

NHKスペシャル「恐竜超世界」

7月7日(日)、14日(日)[総合]後9:00

【再放送】
第1集 7月17日(水)[総合]前0:35 ※火曜深夜
第2集 7月18日(木)[総合]前0:55 ※水曜深夜

ラストは、ライティング、エフェクト、そして合成の制作についてご紹介します!

今回ご紹介するのは、写真左から渡部辰宏さん(ライティング)、北川茂臣さん(エフェクト)、加藤晴規さん(合成)の3人です。

──まずは北川さん。エフェクトとは、具体的にはどんなことをするのでしょうか?

北川:簡単にいうと、煙や水、火など、“形が定まらないもの”を作る業務になります。キャラクターが動いたときに足元で舞い上がる砂煙などが代表例ですね。ドラマだと人で実演できるのですが、恐竜の場合は実際にその場にいないため、砂煙も水しぶきも、現場では作ることができないのでCGで作らなければなりません。

基本的に自分がイメージするままにエフェクトを付けていきますが、ディレクターの思い描くものを想像しながら忖度そんたくして作っていくことも多いですね(笑)。

──渡部さんが今回担当したライティングの仕事とは?

渡部:現場の仕事でたとえると照明さんです。今回ニュージーランドなどで撮影してきた恐竜の背景部分と同じような明かりをCG空間に再現し、それで恐竜たちを照らしてあげる…といった具合ですね。CG空間のライティングはゼロから作るので、なるべく現実の世界に近い空間を画面上に作ってライティングする、その作業をカットごとに行っていきます。

何も明かりを調整していないシーンと、調整後

──ライティングを作るときは、なにか参考にしたりするのですか?

渡部:ロケに行ったチームはライティング作業のことも見越して、現場の明るさの参考になる写真をたくさん撮ってきてくれたんです。なのでその写真や映像を見ながら、ひとつひとつ調整を重ねました。その作業を経て、現実に近づけていきます。

──最後に、合成を担当する加藤さん。どんなことをしているのですか?

加藤:背景映像、動く恐竜、そして北川さんたちが作るエフェクト素材など、それらをひとつの画にしていくのが合成の仕事です。CGの色を背景の色と合わせたり、煙や水などのエフェクト素材をそれぞれのせたりしていきます。最後の総仕上げ的な立ち位置ですね。

【動画】合成の過程はこちらをチェック

 恐竜はおよそ30種類が登場!新たな試みも…!

──今回の「恐竜超世界」ならではの試みや、苦労したことはありましたか?

北川:これまでも恐竜番組を担当したことがあり、これまでの技術をブラッシュアップする形で流用している部分もあります。ですが、今回は恐竜同士の絡みに特に力を入れるということ、さらにいつもより時間もかけられるということで、水の「分散シミュレーション」を導入してみました。

──「分散シミュレーション」って、一体どんなシステムなんでしょうか? 導入したことでどんな変化が?

北川:エフェクトを作るとき、水はひとつひとつの「粒」単位で計算しているのですが、パソコン1台あたりで計算できる粒の数の上限が決まっているんです。そこで今回はパソコンを4~5台使うことに。すると、今までよりももっと繊細でキレイな水を表現することが可能になりました。逆にいうと、これまでだったら「出来ません」って言えることが出来ちゃうので大変ですが(笑)、なかなか普段は得られない経験なので、楽しかったですね。

迫力の水しぶきにも注目!

──渡部さんが苦労した部分は?

渡部:大変だったのは、「毛」です。そもそも毛は「生やしても生やさなくてもいいならやめておこう」というぐらいCGで表現するのは難しくて、同業者たちが避けたがるもののひとつで…。

毛並みを表現するということは、細い小さな毛を沢山並べることになります。それらを自然に見せるには、毛の細さや数など、あらゆる調整を行う必要があるんです。画像に変換する際、コンピュータで沢山の計算をさせるのですが、その計算処理自体におよそ一晩かかるので、帰りにセットして帰るんですね。でも朝出勤した時に処理がうまくいかずエラーで止まっていて、青ざめるみたいなことがありました(笑)。だから自分たちであやしい箇所をリストアップして、しらみつぶしに調べる地道な作業の繰り返しでしたね。

──合成を担当する加藤さんはいかがでしたか?

加藤:僕の場合、まずカット数ですね。今回は600強ぐらいあるのが大変でした。あとは単純に恐竜のキャラクターが多い! 今までの恐竜番組の場合、多くて10体いるかいないかぐらいだったのに、今回は全部で30種類ぐらいいたのかなぁ。わりとカラフルな恐竜も多いので、画作りは気をつけながら行いました。

──今回は第1集が陸上、第2集が海と舞台が分かれていますが、どちらがより難しいなどありましたか?

加藤:どちらかというと、海中の合成ですね。海中は「この空間はこういうもの」というのが明言しにくいんです。透き通った海中があれば、濁った海中もあるでしょうし。実際に撮影された素材を見ながら状態を判断していきますが、なかなか大変でした。

 これまでのNHK恐竜番組のなかで、一番良いものに!

──番組のみどころ、注目ポイントを教えてください。

北川:新たな試みで作ったという思い入れもあり、やはり個人的には「水」がみどころかなと。カット数が多く時間も長い、ここまでやっているところは他ではなかなかないのではと思っています。特に第2集は海が舞台ですし、ぜひ、ご覧ください。

渡部:1時間番組でちょっとだけCGの恐竜が出てくると「あ、CGの恐竜が出た!」という印象になりがちですが、今回はカット数の多さやクオリティー的にもあまりCGに注目するというより「こういう生きものが昔いたんだな~!」という気持ちでご覧いただけるのではと思います。そういうところに楽しみを持っていただけたらすごくうれしいですね。

加藤:カメラワークなども、今までの恐竜番組と変えているところが結構あるんです。CGやエフェクトのクオリティーも今までのNHKの恐竜番組で一番良いものが出来ていると思いますし、合成チームはそれをよりよい形で動画に仕上げていっているので、絵のカッコよさやキレイさもみどころのひとつと思います。個人的にはトロオドンがかわいくて一押しです(笑)。

【動画】トロオドンの動き、見てみてください!

これまで3回にわたり、「恐竜超世界」のCG制作チームにお話をお伺いしましたが、実はチームの総勢は50人近い人数とのこと! NHKのCG・VFX技術が結集した「恐竜超世界」、どうぞお見逃しなく! 大人も子どもも、楽しめること間違いなしです♪

NHKスペシャル「恐竜超世界」

【放送予定】[総合]後9:00~9:49
7月7日(日)第1集 見えてきた!ホントの恐竜
7月14日(日)第2集 史上最強!海のモンスター

【再放送】
第1集 7月17日(水)[総合]前0:35 ※火曜深夜
第2集 7月18日(木)[総合]前0:55 ※水曜深夜

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