8月の注目は、R・レッドフォード
C・イーストウッドの名作!

スティング ほか【渡辺祥子のシネマ温故知新】

プレミアムシネマ8月の注目作品

去年、引退を表明、『さらば愛しきアウトロー』(2018)が最後の主演作になりそうなロバート・レッドフォードが一番好きな出演作と言っているのが彼の出世作『明日に向って撃て!』(1969)。これと同じジョージ・ロイ・ヒル監督、ポール・ニューマン、レッドフォードが共演した『スティング』(1973)(こっちの方がカッコいい!)が今月の楽しい見もの。なんといっても作曲・ピアノ演奏だけでなくラグタイムという演奏スタイルを広めたスコット・ジョプリンの歯切れのよいピアノ曲を使ったのが魅力。相棒を殺されたチンピラ詐欺師のレッドフォードがシカゴの賭博師ポール・ニューマンに助けられてあだ討ちに乗り出す、という設定。討たれる敵側の親分がこの映画の公開当時大評判だった『ジョーズ』(1975)でサメと死闘を繰り広げたロバート・ショー。ここには予想外の殺し屋(ビックリ!)なども出現、思いがけない展開になるのが楽しいが、手の込んだ脚本なのでちょっと目を離すと話がわからなくなるかも!?

【放送日時】
プレミアムシネマ「スティング」
8月15日(木)[BSプレミアム]後1:00〜3:10

もう1本。ジョージ・ロイ・ヒル監督、人気と美貌の絶頂期レッドフォード主演の『華麗なるヒコーキ野郎』(1975)は、第1次大戦後、バーンストーマーと呼ばれる曲芸飛行士になった男の物語。戦時中はパイロットとして出撃、ドイツの偉大な撃墜王ケスラーと闘い、かろうじて生き延びた、というマユツバの自慢話をするウォルド・ペッパー(レッドフォード)は、度重なる事故で飛行禁止になり、ハリウッドでスタントの仕事を見つけた時、空中戦映画の技術顧問に招かれていたかつての撃墜王ケスラーその人に対面した。さてここからどうなる、というあたりがジョージ・ロイ・ヒルの腕の見せどころ。この監督が見せる語り口の巧さは絶妙だ。

【放送日時】
プレミアムシネマ「華麗なるヒコーキ野郎」
8月16日(金)[BSプレミアム]後1:00~2:49

今月はクリント・イーストウッドが俳優ではなく、監督として太平洋戦争中の硫黄島での激戦をアメリカ軍側から描く『父親たちの星条旗』(2006)と、日本軍側から描いた『硫黄島からの手紙』(2006)の2作にご注目を。どちらもイーストウッドのマルパソ・カンパニーとスティーブン・スピルバーグのドリーム・ワークスの共同製作。『父親たちの星条旗』は、アメリカでは3セント切手の絵柄に使われているほど有名な6人の兵士が硫黄島全体が見渡せる摺鉢山(海抜166メートル)山頂に星条旗を立てて写真を撮ったときのエピソードや、彼らの中から生き残った兵士が戦時国債を売るために利用されるなど、日本では知られていないエピソードが描かれていく。

主な出演者はハリウッド映画には珍しく全員が日本人俳優の演じる日本兵。アメリカ側の予想以上にアメリカ軍を苦しめる日本軍の戦いぶりを描くのが『硫黄島からの手紙』。これは在米日本大使館付き武官だった栗林忠道(渡辺 謙)、のちに陸軍大将になる指揮官が硫黄島に着任して始まる。映画が生まれるもとになったのは、2006年、硫黄島の地中から発見され、61年前にこの島で散った兵士たちが家へ書き送りながら配達されなかった手紙だ。

【放送日時】
プレミアムシネマ「父親たちの星条旗」
8月5日(月)[BSプレミアム]後9:00~11:13

プレミアムシネマ「硫黄島からの手紙」
8月12日(月)[BSプレミアム]後9:00~11:22


渡辺祥子

【コラム執筆者】渡辺祥子(わたなべ・さちこ)さん

共立女子大学文芸学部にて映画を中心とした芸術を専攻。卒業後は「映画ストーリー」編集部を経て、映画ライターに。現在フリーの映画評論家として、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等で活躍。映画関係者のインタビュー、取材なども多い。また映画にとどまらずブロードウェイの舞台やバレエなどにも造詣が深い。著書に「食欲的映画生活術」、「ハリウッド・スキャンダル」(共著)、「スクリーンの悪女」(監修)、「映画とたべもの」ほか。

取り上げた番組はこちらです!

検索 NHKサイトでもっと探す

関連記事

その他の注目記事