不思議な魅力のある、壮大なスケールのSF超大作

デューン/砂の惑星【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

9月4日(水)[BSプレミアム]後1:00

空間を超え、未来を予知する絶大な力を与える香料メランジ。ときの皇帝シャッダム四世は、メランジを産出する唯一の星、砂の惑星・アラキスをアトレイデス公爵に与えますが、それはアトレイデス家の宿敵ハルコネン家と結託した陰謀でした。襲撃された公爵の息子ポールと母ジェシカは、広大な砂漠へと逃げ、砂漠の民フレメンとともに反撃の準備を進めていきます…。
今回ご紹介するのは、壮大なスケールの作品です。

重厚でユニークな映像世界は、色あせることのない魅力を放ち、何度も見たくなる

原作は1965年から20年にわたって6作が執筆されたフランク・ハーバートの大長編SF小説。人間にとって過酷な環境では、どんな生物がどう生きるかを緻密に描き、エコロジーという概念を広く知らしめ、イスラムや中世ヨーロッパの哲学や世界観を取り入れて、政治・宗教、権謀術数を詳細に描写しながら、主人公が救世主として大帝国に反抗するという物語は、当時の反体制文化の若者たちが熱狂し、ベストセラーとなりました。イマジネーションに満ちた物語と世界は、多くの映像作家を魅了し、デビッド・リーン、アレハンドロ・ホドロフスキー、リドリー・スコットが映画化を試みましたが、ついに成し遂げたのが、鬼才デビッド・リンチ監督です。

長編第1作「イレイザーヘッド」(1977)がカルト映画となり、「エレファント・マン」(1980)で世界的に注目されたリンチ監督は、イタリアの大プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスのもと、強烈なビジュアルを作りあげました。まるで怪物のようなハルコネン家の人間たちや、ナビゲーターと呼ばれる異形のミュータント、ベネ・ゲセリットという学校で鍛錬し、研ぎ澄まされた精神力をもつ女性たち、黒や金の衣装や美術、アラキスの巨大生物サンド・ワームなど、グロテスクな美学が見るものに迫ります。

ポールを演じるカイル・マクラクランは、これが映画デビュー作。「ブルーベルベット」(1986)や「ツイン・ピークス」(1989)にも出演し、リンチ監督の分身的俳優として活躍しています。
音楽は、当時世界的な成功を収めていたロックバンドTOTO。荘厳なテーマ曲はブライアン・イーノも参加しています。また、ミュージシャンのスティングが、凶暴な悪役・フェイドを演じたことも話題となりました。

公開当時は、興行的に成功せず、批評も芳しくありませんでしたが、重厚でユニークな映像世界は、色あせることのない魅力を放ち、何度も見たくなってしまいます。不思議な魅力のSF超大作、ぜひご覧ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「デューン/砂の惑星」
9月4日(水)[BSプレミアム]後1:00〜3:17

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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