“日美”が初のアニメーションを特集!
高畑勲のリアルとは?

日曜美術館

9月8日(日)[Eテレ]前9:00
【再放送】9月15日(日)[Eテレ]後8:00

2018年4月に亡くなった、日本を代表するアニメーション監督・高畑勲さん。
9月8日(日)の「日曜美術館」では、番組史上初めて、アニメーションを特集。高畑さんゆかりの方々とともに、“革命”ともいえる表現方法をひも解きながら、作品の秘密を探っていきます!

松岡伸行ディレクターに番組の見どころを聞きました。

美術番組で初のアニメーション!

──高畑さんを取り上げることになった経緯は?

高畑さんは生前、数々の長編アニメーションを作ってこられた方で、今や国立美術館で展覧会を行われるほどです。大学時代に1本のアニメーション映画を観て「アニメーションで思想が語れる!」と思ったという高畑さん。アニメーションを、人物はもちろん、音楽や色、空模様や建築にわたり全てを巻き込んだ“総合芸術”として制作しているところから、今回取り上げようということになりました。

取材をしていくと、高畑さんはアニメーションを子どもの娯楽だけと考えておらず、いつ、どの世代が見ても楽しめる作品作りを目指していた方だと分かりました。作品にさまざまな意味を込めているので、何度も繰り返して作品を見ることができるんですね。そういった作り手の強いメッセージがあるという部分からも、いつもの「日曜美術館」と変わらない読み解きが十分にできると思いました。

高畑さん監督映画『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)

50年前の手記や初公開の自宅書斎!

──番組の内容を詳しく教えてください。

今、高畑さんの業績を回顧する展覧会が行われています。その展覧会のために作品の整理をしていたところ、ご自宅から段ボール18箱分のメモや資料が出てきました。そこには、高畑さんが1960年前後に書いた“かぐや姫”にまつわる作品のアイデアもあったんです。『かぐや姫の物語』といったら、劇場公開したのは2013年。そのストーリーや表現方法など、当時のアイデアからブレることなくそのまま映画になっていて、当時から作品化に向けて、たくさんのアイデアを練っていたことがわかります。そういった50年もの年月が経っても変わらない高畑さんの思いや情熱も描けたらと思っています。

高畑さんが1960年前後に書いた“かぐや姫”にまつわる草稿

また番組では、初期の作品『アルプスの少女ハイジ』(1974年)、中期の『火垂るの墓』(1988年)、そして遺作となった『かぐや姫の物語』(2013年)を通じて、高畑さんが何を言いたかったのか、その答えを探っていきます。

高畑さんの遺作となった『かぐや姫の物語』(2013年)

今回、ご自宅にもお邪魔させていただきました。高畑さんの書斎や、美術書や哲学書、次回作になったであろう物語の資料などが詰まった蔵書庫も見せていただきました。自宅の書斎は日本初公開だと思いますし、膨大な書庫も見ごたえがあると思います。

──「日曜美術館」では、取り上げた作品や作者談義をゲストの方々と繰り広げていますが、今回はどなたがいらっしゃるのでしょう?

一人目は、映画『この世界の片隅に』の監督・片渕須直さんをお呼びします。片渕さんは、高畑さんの演出助手をしていた時期もあり親交が厚く、片渕さんなりの“高畑像”がしっかりある方です。高畑さんの仕事への考え方もお聞きできると思い、お声がけしました。

二人目は、女優の朝倉あきさんです。朝倉さんは、映画『かぐや姫の物語』のヒロイン・かぐや姫の声に抜てきされ、実際に高畑さんに演出指導を受けた方です。この映画は、役者さんの声を先に録音する“プレスコ”という手法をとっているんですね。収録のとき、どんな指導を受けたのかをお話しいただきます。

映画『この世界の片隅に』の監督・片渕須直さんと朝倉あきさん

アニメーションが持つリアリティーとは?

──ほかにも、さまざまな方が“高畑談義”をしてくださるんですよね?

高畑さんはアニメ業界に入った当初から、“アニメーションが持つリアリティー”を追求していたそうです。そのためには、キャラクターが実在するかのような表現方法にこだわり、考えを深めていきました。それを映像で見せるためには、ある演出テクニックを使うのですが…。高畑流の考えとその方法を、高畑勲展を担当した東京国立近代美術館主任研究員・鈴木勝雄さんと、高畑さんと宮崎駿さんが関わった作品を長年研究している映像研究家で亜細亜大学講師の叶精二さんにお聞きしました。

また今回は、『未来少年コナン』(1978年)、『火垂るの墓』、『天空の城ラピュタ』(1986年)、『もののけ姫』(1997年)などの美術監督・山本二三にぞうさんにもご登場いただき、高畑さん、そして高畑さんの作品についてお話を伺っています。

『火垂るの墓』の美術監督・山本二三さん

さらに、高畑さんと大学時代に同じ寮で同部屋だったという美術史家の辻惟雄のぶおさんには、高畑さんが考える“絵巻物はアニメーションの源流だ”というのはどういうことなのか、筆で描いた線や余白などが『かぐや姫の物語』でどう生かされているのかなどを解説していただきます。

高畑さんと大学時代に寮の同部屋だったという美術史家の辻惟雄さん

──高畑さんについて取材してみていかがでしたか?

あまりにも高畑さんが天才すぎて、描き切れないです(笑)。高畑さんはテレビを見ているときでも、誰かと話をしているときでも、いつも電子辞書を持ち歩いていたそうです。「知らないことが嫌だ」とおっしゃっていたそうで、まさに“知の巨人”。生きている間はどんどん“知”を増幅させていた方なんだそうです。

その“知”についても、一部ではありますが深掘りしています。高畑さんの言いたかったこと、見せたかったことがほんの一部でもたくさんの方に伝わるといいなと思います。

【予告動画】

取材していて、「高畑さんはとても美術を愛している」ということが分かったという、松岡ディレクター。美術番組ならではの高畑作品の秘密を、どうぞお楽しみに!

「日曜美術館」

【放送予定】9月8日(日)[Eテレ]前9:00
【再放送】9月15日(日)[Eテレ]後8:00

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