新聞記者が政治家の暗殺を目撃…
二転三転するスパイアクション

海外特派員【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

1月24日(金)[BSプレミアム]後1:00

今年没後40年となる天才映画監督アルフレッド・ヒッチコック。「バルカン超特急」(1938)に続いて放送するのは、スピーディーな展開でハラハラドキドキのスパイ・アクションです。

ヒッチコック監督ならではの、華麗な映像テクニックの数々

舞台は第二次世界大戦が迫るヨーロッパ。アメリカの新聞記者ジョーンズは、アムステルダムで政治家の暗殺を目撃、犯人を追跡するうち、国際的な陰謀に巻き込まれてしまいます…。イギリスでの成功を経てアメリカに渡ったヒッチコックは、「レベッカ」(1940)でアカデミー作品賞を受賞、続いて発表したのがこの作品です。アメリカでの公開は1940年、ヨーロッパでは戦争の最中で、物語はもちろんフィクションですが、当時の国際状況を反映しているのも興味深いところです。

この作品もヒッチコック監督ならではの華麗な映像テクニックに貫かれています。例えば、主人公のジョーンズが暗殺を目撃する場面。雨が降りしきり、黒い傘をさした大勢の人に囲まれた階段で銃撃がおきますが、上からの視点で、雨と沢山の黒い傘を見せ、その傘が揺れ動くことで暗殺犯の逃走を表現する演出は、何度見ても感嘆してしまいます。さらに数々の特殊撮影も取り入れられ、「風と共に去りぬ」(1939)のウィリアム・キャメロン・メンジーズが担当しています。

ジョーンズを演じるのはジョエル・マクリー。数々の西部劇で知られていますが、この作品では、正義を信じる純朴でまっすぐな、でも美女には弱いアメリカの青年を演じています。

ジョーンズと対照的なのが、イギリスの名優2人が演じる人物。平和運動家として登場し、陰謀のカギを握るフィッシャーを演じるのがハーバート・マーシャルです。1890年、ロンドン生まれのマーシャルは、ブロードウェイでも活躍、コメディーから西部劇、ホラーまで幅広い人物を演じましたが、この作品では、裕福で知的でノーブル、しかしどこか陰のある紳士を見事に体現しています。

ジョーンズと行動をともにするフォリオットを演じるのがジョージ・サンダース。1906年、当時のロシア・サンクトペテルブルグに生まれたイギリス人のサンダースは「レベッカ」にも出演、ドライでシニカル、ユーモアをにじませるたたずまいが、何とも魅力的です。イギリスのロックバンド、キンクスは、ハリウッド・スターを歌った名曲「セルロイドの英雄」に、サンダースを登場させています。さらに2人とも印象的なのは、低くてよく通る声。ぜひ声にも注目していただきたいと思います。

【放送日時】
プレミアムシネマ「海外特派員」
1月24日(金)[BSプレミアム]後1:00〜3:02

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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