清朝最後の皇帝となった男…
中国の実話に基づいた超大作

ラストエンペラー【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

1月29日(水)[BSプレミアム]後1:00

激動の時代に翻弄され、数奇な生涯を送った清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀。その半生を描き、アカデミー作品賞はじめ9部門を受賞したのが、イタリアのベルナルド・ベルトルッチ監督の超大作です。

溥儀の自伝に基づきながらも、大胆にアレンジされた作品

青年時代からの溥儀を演じたのは、当時30代半ばだったジョン・ローン。香港出身で、アメリカで舞台やTVドラマに出演、冷酷なギャングを演じたマイケル・チミノ監督の「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」(1985)でゴールデングローブ助演男優賞にノミネートされ、一躍注目されました。端正な顔だちとクールなたたずまいで、貴族から平民となった溥儀を演じ切ったこの作品で世界的なスターとなりました。

さらに、アジア系の俳優たちが数多く出演しています。美しく聡明でありながら、薄幸の皇后を演じるジョアン・チェンは当時20代半ば、今もドラマや映画で活躍しています。映画の重要なモチーフ、少年時代の溥儀のペットとなる虫をプレゼントする教育係を演じるのがビクター・ウォン。サンフランシスコ生まれの中国系アメリカ人で、チャイナタウンが舞台の「ゴーストハンターズ」(1986)など、数々のアメリカ映画で個性派俳優として活躍しました。日系アメリカ人のケイリー・ヒロユキ・タガワも、この作品で注目され、最近ではフィリップ・K・ディック原作で話題となったSFドラマ「高い城の男」にも出演しています。

1941年生まれのベルトルッチ監督は、21歳の若さで監督第一作「殺し」(1962)を発表、イタリア映画の俊英として注目されました。「暗殺の森」(1970)「ラストタンゴ・イン・パリ」(1972)「1900年」(1976)など、歴史、政治と個人との関係や性の問題に深い関心を抱き、卓抜な映像美の演出で国際的なセンセーションを巻き起こす作品を発表しました。溥儀の自伝を読み、映画化を決意したというベルトルッチ監督は、自伝に基づきながらも大胆にアレンジし、独自の美学のドラマチックな作品に仕上げています。

そして映像美。多くのベルトルッチ作品をてがけた撮影監督のビットリオ・ストラーロは、この映画で3回目のアカデミー撮影賞を受賞しました。赤、黄、青、緑と、鮮やかな色彩と流麗な移動撮影は、何度見てもため息がでてしまうほどの美しさです。
映画ならではの魅力にあふれた傑作をお楽しみください。

※1月28日(火)は、予定を変更し、宍戸 錠さんをしのんで「ギターを持った渡り鳥」(1959)を放送します。「七人の無頼漢」(1956)は日を改めて放送いたします。

【放送日時】
プレミアムシネマ「ラストエンペラー」
1月29日(水)[BSプレミアム]後1:00〜3:44

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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