〜もの書く人々のかたわらには、いつも、猫がいた〜。
夏目漱石、谷崎潤一郎、幸田 文、三島由紀夫…。愛猫家の作家たちは今も昔も数知れず。もの書く人々はなにゆえに猫を愛する?
「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」では、もの書く人と愛する猫との日常のドキュメントをベースに、猫をめぐる書き下ろしの文章を作家たちに依頼。自由気ままな猫の姿と、彼ら彼女らを愛し、同時に翻弄される?作家たちの生活を映像化してきました。
4月1日は、連続テレビ小説「梅ちゃん先生」、ドラマ「結婚できない男」などで知られる、脚本家・尾崎将也さんと猫の暮らしをご紹介します。 6匹の猫、グー・ばなな・ダリ・ロビン・鏑・さくらとの生活を書き下ろしたエッセイを朗読するのは、尾崎さんの作品「結婚できない男」「まだ結婚できない男」で主演を務めた、俳優の阿部 寛さん。 お二人に、ナレーション収録後にお話を伺いました。

──朗読をされてのご感想をお聞かせください。
阿部:実は、朗読やナレーションをあまりやったことがないんですよ。録音しながら録ったものを聞き直しましたが、なかなか自分のイメージ通りにならないことが多かったですね。でも、僕も猫が好きなので、尾崎さんがエッセイでつづられた思いは、よくわかる気がしました。
──気になったセリフはありましたか。
阿部:「猫は、ただ存在するだけで肯定される」という文章があったんだけど、まさにその通りだなと。人間も猫と同じで、ただいるだけでいいのかもしれないですね。僕も、「何かを成さねば」と思い続ける必要はないと思っているので、いいセリフだなと思いながら、読ませていただきました。

──猫との生活を撮影するという、今回のお話を聞いたときはいかがでしたか?
尾崎:恥ずかしいという思いはありましたけど、今までの放送を見て、私が芸をする必要はないとわかったので、ありのままでよければとお受けしました。
阿部:6匹も飼われているんですね。いつからですか?
尾崎:2007年から飼い始めて10年くらいですね。
阿部:昔、僕もブリティッシュ・ショートヘアを飼っていて、実は、尾崎さんのところと同じ「グー」という名前だったんです。
尾崎:そうですか!
阿部:猫ってかまうと逃げちゃうんだけど、ほったらかしていると寄ってきたりして。それぞれの空間があるなかで、お互いを意識し合っている猫との暮らしはすばらしいですよね。

──阿部さんの朗読の感想を。
阿部:勘弁してください(笑)。
尾崎:エッセイには、正直な僕の心の声みたいなものを書かせていただきました。脚本を書いた「結婚できない男」「まだ結婚できない男」では、僕自身を投影した役を阿部さんにやっていただきました。僕が書いたものをどなたに朗読してもらうかとなったとき、やっぱり阿部さんにやっていただくのが、いちばんしっくりくるんですよね。もし、今回朗読がほかの方だったとしたら、書く内容も変わっていたかもしれません。今回のキャスティングが実現してすごくうれしいですね。
阿部:僕自身はね、実際に尾崎さんが朗読をやったらすごくいいのにな、と思いましたよ。こうして今、尾崎さんのお声を聞いていても、ああいい声だなと。尾崎さんのとつとつした感じがね、すごくいいですね。僕は、まねできないんだけど、そこをもし僕ができたら、自分の中で最上だと思うくらいのできになっただろう、と思いましたね。
尾崎:そうですか?
阿部:ぼくは芝居をしてしまって、変な感情を入れちゃうんですよ。そうすると、尾崎さんが話す雰囲気が出てこなくなっちゃう気がして。最初、尾崎さんのようにとつとつとやろうと思ったけど、それもなかなか難しかった。「結婚できない男」の主人公・桑野信介風に朗読するか、感情を入れずやるのか迷ったけど、尾崎さんの話し方でやるのがいちばんいいなと。今度書いてくださるときは、尾崎さんの話し方に近づけるように、研究してきたいと思います。
尾崎さんと暮らす、6匹の猫をご紹介♪

グー

ばなな

ダリ

ロビン

鏑

さくら
猫との生活で感じる思いをありのままに表現したエッセイには、猫たちのそれぞれの特徴も。 口数少なく、寄ってくる猫たちにかまわず仕事に没頭する尾崎さん。そのまなざしから見える猫の世界とは? 阿部さんの朗読とともにお楽しみください♪
こんな動画もあるニャン♪
「ネコメンタリー 猫も、杓子も。 尾崎将也とグーとばななとダリとロビンと鏑とさくら」
【放送予定】 4月1日(水)[Eテレ]後10:50