「ダーティハリー」シリーズを一気見!

ダーティハリー ほか【渡辺祥子のシネマ温故知新】

プレミアムシネマ4月の注目作品

今月は『ダーティハリー』のシリーズが全5作に『人生の特等席』(2012)を加えてクリント・イーストウッドの映画が6本そろった。1930年5月31日生まれだからもうすぐ90歳になる彼は、TVドラマ・シリーズ『ローハイド』(1959~65)で日本でも大人気。続いてイタリアに迎えられ、日本ではマカロニウエスタン、アメリカではスパゲッティウエスタン、と呼ばれた西部劇3作に出演した。このあとイタリアに長とう留することもなくアメリカへ帰り、ドン・シーゲル監督と組んで『マンハッタン無宿』(1968)『真昼の死闘』(1970)『白い肌の異常な夜』(1971)に出演。互いにすっかり気心が知れた仲になった時に出演したのが、彼をハリウッドの大スターにした『ダーティハリー』(1971)だった。

この『ダーティハリー』のオリジナル脚本の映画化権は、はじめ、ユニバーサル映画が持っていて、ポール・ニューマン主演で映画化が予定されていた。ところが、彼が「乱暴すぎる」と断わったところから映画化権はワーナー・ブラザースに売られ、フランク・シナトラやジョン・ウェインが主役にオファーされたが彼らも断った。そのあとで出演を依頼されたイーストウッドは監督をドン・シーゲルにすることを条件に承諾。ユニバーサルと契約していたシーゲルは、ワーナーに貸し出されて22年ぶりにワーナーで映画を撮ることになった。ジョン・ウェインは法律の枠を踏み越え、憎悪を糧として悪党を追いつめていくハリーのアクの強さを嫌って出演を断ったが、あとになって後悔した、という話が残っている。

イーストウッドは『ダーティハリー』で大成功を収めたあと『恐怖のメロディ』(1971)で監督に進出。といってもじつは『ダーティハリー』の中の映画館(ユニバーサル映画のセットだ)では『恐怖のメロディ』を上映しているから、実際には『恐怖のメロディ』が先に出来ていたのかもしれない。映画の中でスコルピオと名乗る異常な殺人者を演じているのはアンディ・ロビンソン。彼が映画の中で犯行後に残す紙にはスコルピオ(サソリ座)と書かれているが、これは映画のモデルに使った実際の殺人事件の犯人が名乗っていた名前ゾディアック(十二宮図)をヒントに生まれたと言われている。ロビンソンはドン・シーゲル監督の『突破口!』(1973)にも出演している。

俳優で監督になったイーストウッドは、主演に監督も兼ねた『許されざる者』(1992)と『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)、でアカデミー作品賞と監督賞を受賞。近年は『15時17分、パリ行き』(2018)『リチャード・ジュエル』(2019)のように監督だけの作も多いが、今回の放送は『ダーティハリー4』(1983)だけが彼の監督作だ。

プレミアムシネマ「ダーティハリー」

4月2日(木)[BSプレミアム]後1:00〜2:44

プレミアムシネマ「ダーティハリー2」

4月9日(木)[BSプレミアム]後1:00〜3:04

プレミアムシネマ「ダーティハリー3」

4月16日(木)[BSプレミアム]後1:00〜2:38

プレミアムシネマ「ダーティハリー4」

4月23日(木)[BSプレミアム]後1:00〜2:58

プレミアムシネマ「ダーティハリー5」

4月30日(木)[BSプレミアム]後1:00〜2:32

プレミアムシネマ「人生の特等席」

4月27日(月)[BSプレミアム]後9:00〜10:52

イーストウッド映画が6作ならこちらジョン・ウェインは監督作の『アラモ』(1960)を含む3作が登場。『駅馬車』(1939)でウェインを世に出したジョン・フォード監督が監修したと言われている『アラモ』は、西部開拓史に名高いアラモの戦いを描いていてウェインが演じたのは人気のヒーローで歌にも歌われたデイビー・クロケットだ。

プレミアムシネマ「アラモ」

4月24日(金)[BSプレミアム]後1:00〜3:43

プレミアムシネマ「赤い河」

4月10日(金)[BSプレミアム]後1:00〜3:14

プレミアムシネマ「エル・ドラド」

4月28日(火)[BSプレミアム]後1:00〜3:08


渡辺祥子

【コラム執筆者】渡辺祥子(わたなべ・さちこ)さん

共立女子大学文芸学部にて映画を中心とした芸術を専攻。卒業後は「映画ストーリー」編集部を経て、映画ライターに。現在フリーの映画評論家として、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等で活躍。映画関係者のインタビュー、取材なども多い。また映画にとどまらずブロードウェイの舞台やバレエなどにも造詣が深い。著書に「食欲的映画生活術」、「ハリウッド・スキャンダル」(共著)、「スクリーンの悪女」(監修)、「映画とたべもの」ほか。

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