見る人を特別な気持ちにさせてくれる、そんなお話

ドクトル・ジバゴ【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

5月5日(火・祝)[BSプレミアム]後1:00

今回ご紹介するのは、革命の動乱にゆれる20世紀初めのロシアを舞台に、詩人であり、医師のジバゴの波乱の生涯と、2人の女性への思いを抜群のストーリーテリングと映像美で描き、映画史上の名作として多くの人に愛される超大作です。

ロシアの民族楽器バラライカの音楽と名優たちのハーモニー

監督はイギリスの巨匠・デビッド・リーン。「戦場にかける橋」(1957)「アラビアのロレンス」(1962)などのダイナミックな歴史大作で知られていますが、「逢びき」(1945)「旅情」(1955)など、きめ細やかな恋愛映画も発表しており、この映画では、両者の要素が一体となって結実しています。「アラビアのロレンス」の成功を受け、脚本のロバート・ボルト、撮影のフレディ・ヤング、美術のジョン・ボックスと、鉄壁のスタッフが再結集、当時のソ連では撮影できなかったため、スペインに巨大なセットが作られ、大規模な撮影が行われました。
さらに、リーン監督とは名コンビのフランスの名作曲家・モーリス・ジャールの美しい旋律。ロシアの民族楽器バラライカが効果的に使われ、物語でも重要なモチーフになっています。

雄大な映像、美術、音楽に加え、魅力的なのは、名優たちが演じるロシア人。ジバゴを演じるオマー・シャリフは、エジプト出身で、「アラビアのロレンス」でアラブ人のアリを演じて世界的なスターとなりましたが、この作品ではメークによって表情を変え、教養にあふれ、純真で、恋愛に苦悩するジバゴを演じ切っています。
ジバゴが愛する女性、ラーラを演じるのはジュリー・クリスティ。端正な美しさと官能性をあわせ持ち、ハスキーな声が印象的なイギリスの名女優です。ジバゴに献身的に寄り添う、気丈な妻・トーニャを演じるジェラルディン・チャップリンは、喜劇王チャップリンと、アメリカを代表する劇作家・ユージン・オニールの娘で、妻のウーナとの間に生まれ、この作品で一躍注目されました。さらにイギリスのリタ・トゥシンハムが、冒頭とラストを飾る労働者の女性を印象的に演じています。また、己の欲望と権力のままに生きようとするコマロフスキーを演じるアメリカの名優・ロッド・スタイガーの強烈な存在感も光ります。

「E.T.」(1982)や「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(2015)以降のシリーズの製作をてがけたハリウッドを代表する女性プロデューサーのキャスリーン・ケネディは、25回は見たと語り、最高の映画だと激賞しています。

見る人を特別な気持ちにさせてくれる稀有けうな名作、じっくりお楽しみください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「ドクトル・ジバゴ」
5月5日(火・祝)[BSプレミアム]後1:00〜4:21


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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