第一線で活躍する音楽家たちが、音楽でエールを送る!

ららら♪クラシック「音楽でできること」

5月8日(金)[Eテレ]後9:00「第1回 離れていても思いはとどく」
5月15日(金)[Eテレ]後9:00「第2回 心に寄り添う音楽」

新型コロナウイルスの感染拡大によって外出制限が広がる今、
「Stay home(家にいよう)」が人類共通の合言葉となっています。

家に閉じこもり、人と会うことができない日々…
不安を感じている日本人の胸に、クラシック音楽の力で「希望の火」を灯したい──。

第一線で活躍する音楽家たちが、2週に渡って視聴者の皆さんにエールを送ります。

第1回のテーマは「離れていても思いはとどく」。
コンサートの中止が相次ぐ中、最新のテクノロジーを使ってファンに音楽を届けようと奮闘する演奏家たちをご紹介します。

ホルン奏者ばかりのグループを結成したN響首席ホルン奏者・福川伸陽さん

※3月上旬撮影

我々音楽家にとって、音楽というのはどうしても発表の機会というか、人前で演奏したり、人と演奏したりする場がないと、自分の中の音楽をキープすることが難しいんですよね。そんな自分たちのためにも、何かを発表する機会が大事だなと思ってこの企画を思いつき、レコーディングまで一週間ほどの急ピッチで進めました。
日頃から、いろいろな人と演奏したいと思っているけれども、距離やそれぞれのスケジュールの問題でなかなか実現しないものなんです。コンサートシーズンの平日や土日は皆それぞれに音楽の仕事があるので、なかなか一緒になれません。
じつは僕、音楽自体には力は無いと思ってるんです。じゃあ音楽の何がそんなに愛されるのかというと、聴いた人たちそれぞれが、自分の心に何を抱くかというそのエネルギーの方が大事なんじゃないかと思っていて。
ですから音楽家は、本当にやりたい音楽やそういうものを出すけれども、それを聴いて下さった皆さんが、元気づけられたとか、優しい気持ちになれたとか、そうやって感情が動くことこそが「音楽がもつ力」なんじゃないかなと思います。

※現在は集まっての活動ができないため、番組ではテレワーク演奏に初挑戦します。メンバー33人のメッセージとともにお楽しみください。

♪プレイリスト①
ホルスト作曲 大橋晃一編曲 組曲『惑星』から「木星」
演奏:Japan Horn Sound

インターネット中継による有料コンサートを立ち上げた
反田恭平さんと上野耕平さん

<ピアニスト・反田恭平さん>
僕は、自分のソロリサイタルツアーなどは運営も自分で行なっていますので、アーティストとしての気持ちと、コンサートを運営・企画する方々やサポートしてくださる関係者の皆さんの気持ちもわかる立場だと思ってるんですよね。
日本の場合、クラシック音楽界が今後どうなっていくのかというのが、まず疑問に浮かびました。そしてこれからはアーティストが自分たちでコンサートを企画し、運営していかなければいけない時代に入ったのかなというのも同時に思ったことでした。
僕が真っ先に思うことは、クラシック音楽も含めて「音楽」という芸術は、なくてはならないものだということです。もし仮に、世の中から音楽が消えてしまったら絶対に生きていけないと思うし。世の中には音楽療法もあるわけですから、クラシック音楽は人の心を浄化してくれるものだと信じています。 ドイツでは文化相が声明を出しましたよね。「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要な存在なのだ」と述べられたのは、勝手ながら僕の考えを肯定してくれているかのように思って勇気づけられました。
いま本当に世界中が大変な危機に直面していますが、皆ここで一緒に手を取り合って、前を向いていけたら、絶対に乗り越えられると思っています。そのためには、絶対にクラシック音楽が必要だと僕は思っています。

♪プレイリスト②
ショパン作曲「小犬のワルツ」
ピアノ:反田恭平

<サクソフォン奏者・上野耕平さん>
ふだん当たり前のように行なわれていた演奏会がほぼ全てなくなってしまった。これは我々演奏家にとっても悲しいことだし、聴衆の皆さんにとっても日々の楽しみの場所が奪われてしまったことと思います。そういう中で、演奏会を自宅にいながらにして楽しんでいただける場を提供し、それをオンライン上で共有するとことがとても大事だと思って取り組みました。
最初はどうしても客席にお客様がいないという状況に慣れていなかったので、お互いに緊張感がすごかったと思うんですけど、でも演奏会が進むにつれて、画面の向こうにいる皆さんと一つになれたように感じられることがあったんです。その感覚を掴んでからはすごく楽しかったですね。 4/1の時点では、自粛が始まってまだ一ヶ月だったとはいえ、演奏をしたり聴いたりする機会に皆飢えているんだなと感じました。なので「これをやってくれてありがとう」という声をいただいた時は本当に嬉しかったです。
もちろん同じ空間で共有することが音楽の最大の魅力ではあるんですが、それができないとなると、インターネットを通じてオンラインのコンサートをお届けするということが、今できるベストの形だろうなと思います。
新型コロナウイルスが終息した後も、この形にはすごく可能性があると思っています。演奏会場に行けない方にも楽しんでいただけるし、普通の演奏会ではできないことができるシステムかなとも思いますね。

♪プレイリスト③
バザン作曲 山中惇史編曲 歌劇「パトラン先生」からロマンス
サックス:上野耕平 ピアノ:山中惇史

ファンを元気づけようとSNSで積極的に音楽を発信する
ピアニスト・金子三勇士さん

今の時期、テレワークや在宅勤務をされている方、あるいは学校の休校によって学校に行けない子供たちも多いと思います。毎日ご自宅で過ごされて、少し息が詰まるような思いがしたり、フラストレーションがたまる時間帯もあるかと思うんですけど、そういった方々に向けて、場所と時間を選ばず、さまざまなライフスタイルのシーンに合わせた音楽を発信できたらと思いました。
新型コロナウイルスのような感染症が拡大していく中で、まずはじめに頭によぎるのは、どうやったら自分の免疫力をアップさせて健康でいられるか、自分の家族を守れるかということじゃないでしょうか。もちろん食生活や運動も大事ですが、心のケアも健康には非常に大きく影響してくるんじゃないかなと個人的には強く思っていまして。笑顔になったりリラックスできたり、楽しい時間を過ごしたりすることも、おそらく自身の免疫力アップにつながるのではないかと思いますので、ご自身が本当に聞きたい音楽を、作曲家やジャンル問わず楽しんでいただきたいと思います。
今回は、私のもう一つのふるさとでもあるハンガリーのロマン派を代表する作曲家フランツ・リストの『愛の夢』をお聴きいただこうと思います。実はこのリストも19世紀当時のヨーロッパで、音楽家としてさまざまな活動に取り組んでいました。それこそ水害といった自然災害や、当時も伝染病がヨーロッパ各地に広がってしまったことがありましたが、そんな時にも彼は音楽を通して人々に語りかけたりメッセージを届けたりして、チャリティーコンサートの形で社会に貢献してきたんです。あらためて素晴らしい音楽家だったなと思います。ぜひ今回もこのリストの作品を通して、皆様に少しでも癒やしをお届けできればと思います。

♪プレイリスト④
リスト作曲「愛の夢」第3番
ピアノ:金子三勇士

60人規模のテレワーク合奏で話題になった
新日本フィルハーモニー交響楽団

<新日本フィル・山口尚人さん>
2月下旬に政府からコンサートの自粛要請が出て、私たちのオーケストラもコンサートが全て中止になりました。ほかのオーケストラが無観客ライブ配信に取り組まれる中、私たちも同じことを行って多くの方にお聴きいただけないかと模索したんですけども、ホールの中に入ることすらできない状態になりまして。
それでも何かできないかなと思っていた時に「テレワーク」のニュースが飛び込んできました。オーケストラは、テレワークに最も向かないと思っていたんですけれど、ここは何としてもテレワークで挑戦してみたいなと思い、取り組みました。
でもいざやってみると、とても難しかったです。まずは曲を聴きながら、それぞれのメンバーが音源に合わせて演奏する方法をとりましたが、皆同じものを聴いて演奏しても、テンポやリズムの取り方に癖がありますし。でもふだんオーケストラで隣り合ってやっている経験と感覚を生かすようにして。実際には一人で演奏してるんですけども、オーケストラで隣り合い、80名で演奏している時のようにイメージしながら演奏することをメンバーにはお願いしました。 企画を立ち上げた時は「テレワークで合奏ができるか」という実験的な試みに過ぎず、当初想定していた答えも、テレワーク合奏は「何とかできました」もしくは「全然うまくできませんでした」ということになるのかなと思っていたので、これだけの反響をいただけて本当にありがたいと思っています。
いただいたメッセージの中に「自分も何かできることを探してみたいと思う」というコメントがたくさんあって、それが一番うれしかったですね。何が届いたのかは分かりませんが、メンバーそれぞれが何とかして音楽を伝えたいという思いが画面の中の60個のフレームから伝わったのかなと思います。

♪プレイリスト⑤
ロッシーニ作曲 「“ウィリアム・テル”序曲」
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

ららら♪クラシック「音楽でできること」

【放送予定】
5月8日(金)[Eテレ]後9:00「第1回 離れていても思いはとどく」

〈出演〉
Japan Horn Sound、反田恭平、上野耕平、金子三勇士、新日本フィルハーモニー交響楽団

5月15日(金)[Eテレ]後9:00「第2回 心に寄り添う音楽」

〈出演〉
ラン・ラン(ピアニスト)、庄司紗矢香(バイオリニスト)、鈴木優人(鍵盤楽器奏者・指揮者)、仲道郁代(ピアニスト)、グザヴィエ・ド・メストレ(ハープ奏者)、エマニュエル・パユ(フルート奏者)、ジャン・ギアン・ケラス(チェロ奏者)、森 麻季(ソプラノ歌手)、パク・キュヒ(ギタリスト)

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