内戦下のカンボジアで何が起きていたのか…
実話をもとに描いた衝撃のドラマ

キリング・フィールド【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

5月19日(火)[BSプレミアム]後1:00

1970年代、内戦下のカンボジア。アメリカ人記者のシドニー・シャンバーグは、カンボジア人の助手・ディス・プランとともに取材を続けていました。アメリカ軍の爆撃で多くの被害がでるなか、クメール・ルージュが首都プノンペンを占領しカンボジアを支配、シャンバーグは帰国、プランは農場へ送られてしまいます。洗脳や虐殺が繰り返される過酷な日々のなか、プランはついに脱出を試みますが…。
今回ご紹介するのは、深い絆で結ばれた2人のジャーナリストの友情を軸に、戦火のカンボジアを描く、実話をもとにした衝撃のドラマです。

“カンボジアで何があったか”を世界に伝えるため、カンボジア人医師が出演

シャンバーグを演じるサム・ウォーターストンは、演技派のバイプレーヤーとして映画やドラマで活躍、この作品では、正義感と使命感に燃えて行動し、記事はピュリツァー賞を受賞したものの、プランを危険な場所に残した罪悪感にさいなまれるアメリカ人記者を力強く演じています。

プランを演じ、アカデミー助演男優賞を受賞したのがハイン・S・ニョール。ニョールは、実際にクメール・ルージュに連行され、強制労働を経験、難民としてアメリカにわたったカンボジア人の医師でした。演技経験はなく、演技への関心もあまりなかったとのことですが、カンボジアで何があったのかを世界に伝えてほしいという亡くなった妻のことばを思い出し、出演を決意、自身の経験も踏まえたこん身の演技は絶賛され、数々の賞を受賞しました。誠実で優しく、毅然きぜんとした表情、時折見せる笑顔が印象的です。とりわけ“虐殺の野”とよばれる荒涼とした沼地の場面での立ち姿は忘れられません。この作品によって世界的に有名となったニョールは、その後も映画に出演、回想録の発表や人権活動にも携わっていましたが、96年、強盗事件に巻き込まれ、55歳で亡くなりました。

タイでロケ撮影されたこの作品、製作のデビッド・パットナムはじめ、スタッフはイギリス人が中心で、これが映画デビューとなったローランド・ジョフィ監督の迫力の演出、アカデミー賞に輝いた撮影、編集も高く評価されました。
音楽をてがけたマイク・オールドフィールドは、アルバム「チューブラー・べルズ」が「エクソシスト」(1973)に使われ、世界的に有名になったイギリスのミュージシャンです。さらにポール・マッカートニーの「バンド・オン・ザ・ラン」、ジョン・レノンの「イマジン」が印象的に使われています。

深く重い感動に包まれる名作、じっくりご覧ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「キリング・フィールド」
5月19日(火)[BSプレミアム]後1:00〜3:23


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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