横溝正史 × 市川 崑 × 石坂浩二 = 金田一耕助シリーズ

「女王蜂」「病院坂の首縊(くびくく)りの家」【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

[BSプレミアム]後1:00
6月9日(火)「女王蜂」
6月15日(月)「病院坂の首縊りの家」

名探偵金田一耕助を石坂浩二さんが演じる、市川 崑監督・横溝正史原作の傑作ミステリー。6月はシリーズ第4作「女王蜂」(1978)、第5作「病院坂の首縊くびくくりの家」(1979)を放送します。

出演者は言わずと知れた名優たち…
そして、あのかたも出演!?

まずは「女王蜂」。大道寺家の美しい娘・智子をめぐって、求婚者たちが次々殺害されてしまいます。背景には19年前の悲劇が。金田一耕助の名推理は…。
注目は豪華な出演者。「犬神家の一族」(1976)の高峰三枝子さん、「悪魔の手毬唄てまりうた」(1977)の岸 惠子さん、「獄門島」(1977)の司 葉子さんと、前3作で重要な人物を演じた名女優が共演しています。加藤 武さん、草笛光子さん、小林昭二さん、三木のり平さんといったレギュラー出演者、そして、初登場が仲代達矢さんと中井貴惠さんです。

仲代達矢さんは、三島由紀夫原作の「炎上」(1958)以降、6本の市川作品に出演、この作品では智子の義父・大道寺銀造を存在感たっぷりに演じています。ヒロイン・智子を演じる中井貴惠さんは中井貴一さんのお姉さんで、お父さんの佐田啓二さんは、大庭秀雄監督の「君の名は」(1953)、木下惠介監督の「喜びも悲しみも幾歳月」(1957)、小津安二郎監督の「彼岸花」(1958)などの名作に出演。37歳の若さで亡くなった、戦後の日本映画を代表する大スターでした。これが映画デビューの貴惠さんは当時まだ大学生で、初々しくフレッシュな魅力をふりまいてくれます。物語の重要なカギとなるのが、編み物。原作者の横溝正史は、編み物が趣味で、執筆の気分転換をしていたということです。

プレミアムシネマ「女王蜂」

6月9日(火)[BSプレミアム]後1:00〜3:20

15日は「病院坂の首縊りの家」。廃屋となった屋敷で美しい娘の婚礼写真を撮影する不思議な体験をしたという写真屋から依頼され、現場に行った金田一耕助が、男の生首を発見、事件の背後にある複雑で悲しい人間関係を解きほぐしていくという物語です。
原作は1978年、横溝正史が70歳を過ぎてから“最後の金田一耕助作品”として発表した小説で、いわば新作の映画化、このシリーズがいかに人気だったかが感じられます。原作は大長編で登場人物も多いためか、映画は独自の展開となっており、シリーズの中でも、ひときわ暗く感じる物語となっています。そんななか、当時20代後半、絶好調にハンサムな草刈正雄さんが、不精ひげを生やし、金田一耕助をサポートする青年をユーモアたっぷりに演じているのがうれしくなります。また、横溝正史も「犬神家の一族」に続き出演していますので、ご注目ください。

何度見てもおもしろい傑作シリーズ、存分にご堪能ください。

プレミアムシネマ「病院坂の首縊りの家」

6月15日(月)[BSプレミアム]後1:00〜3:20


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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