「美しすぎる城には恐ろしい“トゲ”が隠されている…」
“城マスター”こと千田嘉博教授(奈良大学)が語る世界遺産「二条城」の謎。
全国各地の名城の秘密を解き明かすシリーズ「絶対行きたくなる!不滅の名城」の8月7日放送回では、この二条城の秘密に迫ります。豪華絢爛な姿の裏に潜む“見えないトゲ”を、千田先生と城歩きをしながら解明します!
今回も、千田先生に番組の見どころをお聞きするとともに、城歩きを2倍も3倍も楽しめるグッズを教えてもらいました♪
二条城は、造形美と防御力を兼ね備えた城
──二条城といえば、美しい装飾やふすま絵などが有名ですよね。
そうですね。世界遺産に登録されている二条城は、京都に行けば一度は訪れる、京都屈指の観光スポットです。国宝の二の丸御殿をはじめ、重要文化財をいくつも擁する、非常に豪華絢爛なお城という印象を持たれていると思います。
そもそも一般的なお城は、最初に高麗門という小さな門をくぐって90度向きを変えたところに櫓門が立っているという形をとることが多いのですが、二条城は東大手門という豪華な櫓門がいきなりバーンと出迎えてくれます。これは、二条城が「京都という伝統的な権力が根付いている場所で、新しく政権を取った江戸幕府の権威を示さなければならない」という大きな役割を担っていたからなんです。
ですが、二条城の魅力はそれだけではないとぜひお伝えしたいですね。


──美しいだけではないと?
徳川三代で築いた二条城は、ついつい豪華さばかりに目を奪われてしまいがちだと思いますが、非常に理論的に造られた、近世の城郭の行き着いた姿を示しているんですよ。二条城ほど美しく、かつ合理的なお城ってほかにないのではないかとさえ思います。
──“合理的なお城”? それは、城歩きをすればわかりますか?
わかります。一見シンプルな構造で、お城としての機能が十分知られていないのですが、実は、至る所に大変強固な防御の仕掛けが施されているんです。例えば、東大手門。ここは見た目がおしゃれなだけでなく、門を通るものを攻撃するための設備(石落とし)がちゃんと備わっています。さらに中に向かって進めば進むほどほど、敵兵を惑わすたくさんの仕掛けが隠されているんです。特に城の中心部、本丸の防御力はすごいものがあります。実戦のセオリーを踏まえた、とても合理的な設計がされていることが分かるんですよ。豪華な装飾ばかりに気をとられていると、うっかり命を落としてしまいますよ!


──まさに、二条城ならではの機能が、今回の「不滅の名城」で明らかになっていく部分ですね。豪華な作りだけが取り沙汰されて、どこか「戦」とは無縁のように思われている二条城ですが、そこには江戸幕府の“隠されたトゲ”があるという。
そうなんです。二条城は、単に城主である将軍の権威を示すだけでありませんでした。幕府安泰のため、何者かに向けた“トゲ”が隠されていたのです。今回番組では、そのトゲが誰に向けて仕掛けられたのかが明らかになっていきますので、ぜひご覧いただきたいですね。

二条城の“トゲ”、それはどこに向いていたのか…
美しい二条城に隠されていた、徳川家の壮大な策略が、次々と解き明かされます。放送をお楽しみに!

連載コラム「教えて!千田先生」
“城歩きのコツ” その2
単眼鏡で、お城の隅々まで楽しもう!


単眼鏡は、絵画や彫刻などを拡大して見やすくするアイテムです。遠くを見るための双眼鏡では近くの展示物にピントが合いませんが、美術鑑賞用の単眼鏡なら細部のディテールが手に取るようにはっきり見えるので、絵画や工芸品など人の手が加わったものの細部に宿る美しさまでも堪能することができるのです。城歩きでは、主に、建物内部の高い場所、障壁画や展示品などの近寄れないものを観察するのに、とても有効です。単眼鏡を通して見ると、見慣れた光景の中に新しい発見があります。


番組では、二の丸御殿の内部も紹介しますが、部屋の中には立ち入ることができません。そこで、単眼鏡の登場です。虎やヒョウなどを描いた障壁画を、単眼鏡で観察すると、廊下からでもそのディテールがはっきり分かり、美しさに感嘆させられます。虎の目が青く光るように描かれているなど、単眼鏡を用いなければ気付くことができませんでした。
絶対行きたくなる!ニッポン不滅の名城「二条城」
【放送予定】8月7日(金)[BSプレミアム]後10:00