ノルマンディー上陸作戦を
ドキュメンタリー・タッチで映画化

史上最大の作戦【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

8月12日(水)[BSプレミアム]後1:00

1944年6月、第2次世界大戦の転換点となったノルマンディー上陸作戦。
今回ご紹介するのは、その歴史的戦いを壮大なスケールで映画化した、名作として名高い超大作です。

国際的なスターの共演!
戦争のむなしさをさまざまな視点で重層的に描く

この作品を企画し、心血を注いで作りあげたのがダリル・F・ザナック。サイレント時代に脚本家として映画界に入り、その後、ジョン・フォード監督の「荒野の決闘」(1946)や「怒りの葡萄ぶどう」(1940)など、数々の名作を世に送り出したハリウッドの大プロデューサーです。監督に代わって追加撮影を行うなど、演出にも積極的に関わってきたザナックは、ジャーナリストだったコーネリアス・ライアンのノンフィクション『史上最大の作戦』の映画化を決意。フランスで大規模なロケを行い、さまざまな困難を乗り越えて完成させました。アメリカ、イギリス、ドイツと、それぞれのパートを別々の監督が演出、最終的にザナックがまとめあげ、3時間に及ぶドキュメンタリー・タッチの作品に仕上げました。

話題になったのは大スターたち。アメリカのジョン・ウェイン、ロバート・ミッチャム、ヘンリー・フォンダ、イギリスのリチャード・バートン、ピーター・ローフォード、ドイツのクルト・ユルゲンス、フランスからは「天井棧敷の人々」(1945)のジャン・ルイ・バローやアルレッティ、さらに「ウエスト・サイド物語」(1961)のリチャード・ベイマーや歌手のポール・アンカと、当時の若者に人気のスターまで、多彩で国際的なキャストが出演しています。

迫力の戦闘場面はもちろんですが、ユーモア、ペーソス、命のはかなさ…、戦争のむなしさをさまざまな視点からのエピソードで重層的に描く密度の濃い作品になっているのも大きな魅力です。脚本には、原作者のライアンのほか、2人の小説家が参加しています。フランスのロマン・ギャリ―は、現在のリトアニア生まれ。フランスに移住、外交官を務めながら小説を執筆し、映画監督・脚本家としても活躍した作家で、この映画の公開時は「悲しみよこんにちは」(1958)「勝手にしやがれ」(1959)の大スター、ジーン・セバーグと結婚、話題となっていました。もう一人はアメリカのジェームズ・ジョーンズ。太平洋戦争下のハワイを舞台にした、アカデミー作品賞受賞作「地上ここより永遠に」(1953)、テレンス・マリック監督が映画化した「シン・レッド・ライン」(1998)の原作者であり、自身の戦争体験をもとに、骨太の小説を発表した作家です。

ベートーベンの交響曲「運命」も印象的な戦争映画の名作、じっくりご覧ください。

プレミアムシネマ「史上最大の作戦」

8月12日(水)[BSプレミアム]後1:00〜3:59


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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