ゾクッとして、教訓を学ぶ!日本各地に伝わる怖い伝説

こわでん ~怖い伝説~

9月11日(金)[BSプレミアム]後9:59

“怖い話”と聞くと、気が進まない方もいらっしゃるかと思いますが、日本各地で伝わる怖い伝説は、単に怖いだけではないのです! その裏側には、日本人が大切にしたい教えや、生きるヒントが、隠されています。そして、それを自分なりに導きだすおもしろさに気付いてしまう番組が、「こわでん」です。

昨年夏に第1弾が放送され、今回は第2弾! 前回を振り返りつつ、今回はどんな怖い伝説が紹介されるのか、加地克也ディレクターに聞きました!

「こわでん」とは? まずは、第1弾をおさらい!

「こわでん」とは、日本各地に伝わる“怖い伝説”を短編ドラマで再現し、伝説発祥の地を旅人が巡る番組です。

「怖い伝説ってどんなもの?」という方に、平安時代末期の説話集『今昔物語』に記されている怖い話を紹介いたします。

「女3人が歩いていたら見かけない顔の色男が手招きしてきた。近づいてみるとその男が急に鬼に変化して、女の一人を食べてしまった…」

このお話には続きがあり、“女性は知らない男に呼ばれても、考えもなくついていってはならない”という教訓で結んでいるそうです。
このように怖い伝説には、日本人が大切にしなければならない「倫理観」などが隠されています。また、後世に残したい教えを、興味を引くストーリーにすり替えて伝えていた歴史がうかがえます。

加地D

日本では昔話や怖い伝説を通して、「倫理観」などが伝えられていますが、童話も同じです。世界中で知られている「3匹の子ぶた」も“強固なものは苦労して作らないといけない”という教訓が込められていますよね。世界各国に教えを伝承するための物語があるんです。
今では、家族の形も変わり、おじいちゃんやおばあちゃんから直接、その土地に伝わる怖い話を聞く機会もなくなってきました。そこで、日本人が大切にしたい心などを堅苦しくなく、一つのエンターテインメントとしてたくさんの方に見ていただけたらと思い、この番組を企画しました。

第2段についてご紹介する前に、昨年放送された第1弾の怖い伝説の一部をおさらいします。怖い話が苦手という方も、怖さの加減を知るご参考に!

福井県・飯降山いふりやまに伝わる
「崖から突き落とす女」(原題:飯降山)

山で厳しい修行を行い、悟りを得ようとする3人の女がいた。山へ入り、獣道をひたすら歩く日々を重ねていたある日、目の前に、3人分の干飯ほしいいが置いてあった。3人は、何日かぶりに米にありついた。一度きりと思っていたら、次の日もまた次の日も、まるで降ってきたかのように3人分の干飯が置いてある。すると、「1人減ればより多くの飯が食べられる」と欲が出てきた女2人が、ある日、女の1人を深い深い谷底へ突き落とした。「今日は飯がたくさん食べられる」と思った2人だったが、置かれていた干飯は1人分少なくなっていた。これではなにも変わらない。さらに欲が出た女が、もう1人突き落とせば2人分を独り占めできると考え、あくる日、もう1人の女を崖から突き落とした。そうして残った女のもとには、干飯が降ってくることはもうなかった。全てを失った女は、よろよろと山を下りてきたと伝わっている。

この伝説には、「共有の恵みを独り占めしない」という教えが込められています。飯降山付近の里は昔から地下水が豊富で、みんなでそれを分け合ってきました。だからこそ、受け継がれてきた伝説なのかもしれません。

第1弾にはほかにも、「舌を抜かれた十六人の男たち」という、富山県のある谷に伝わる、環境破壊についての伝説や、人として言っていいことと悪いことがあるという教えを学ぶことができる、長野市犀川の「人柱伝説」。また、石川県金沢市の「お銀小銀」は、幼児虐待にまつわる伝説です。怖い話の裏側にある教訓は、さまざまです。

第1弾「舌を抜かれた十六人の男たち」より

第2弾は、伝説にまつわる“もの”が残されている物語をドラマ化

今回取りあげた怖い伝説は、栃木県栃木市の「屍肉しにくらう男」、広島県福山市の「血みどろの皿」、福井県あわら市の「張り付いたお面」、香川県高松市の「身代わりの娘」の4話です。

リストアップした40本の中から、選ばれた伝説。その決め手は、伝説にまつわる“もの”が実際に残っているかどうか。伝説にゆかりのある“もの”や“場所”を実際に目にすることで、物語がよりリアルに感じられます。

栃木県栃木市に伝わる
「屍肉を喰らう男」(原題:青頭巾)

村の廃寺に、若い男と少年が流れてきて住み着いた。身寄りのない者同士、2人はよく働き、暮らした。しかしあるとき、少年が病にかかり亡くなり、若い男は死を受け入れることができず、少年を埋めることなく過ごしていた。少年が朽ち果てていくことが耐えられなかった男は、とうとう、その少年のからだを…。
その村に立ち寄ったある僧侶が、生き地獄のような日々を送る男に、抜け出すための“問い”を与える。

一年後、僧侶が男のもとを訪れると…

僧侶が持っていたつえを男の墓標として土に刺したところ、それが藤の木になったとされています。その藤の木は「根無ねなし藤」と呼ばれ、今も残っています。

福井県あわら市に伝わる
「張り付いたお面」(原題:嫁脅しの面)

夫(息子)に先立たれた嫁としゅうとめの物語。本当の家族のように仲のよかった2人だったが、息子が亡くなって以来、夕方に決まって出かけるようになった嫁に、姑は不審感を抱きはじめる。

納屋で鬼のお面を見つけた姑は、それを使って嫁を脅かすことを思い付き…

福井県の願慶寺というお寺に、伝説ゆかりのお面が今も保管されています。

そのほかにも、広島県の「血みどろの皿」(原題:まぼろしの姫谷焼き)は、都の姫だったユキと駆け落ちをした、焼き物師の市右衛門の物語です。
香川県の「身代わりの娘」(原題:ほうこさん)は、大きなお屋敷に女中として仕える娘「おまき」と奉公先のお嬢様の、身分を超えた友情の物語です。

▶︎皿の絵付けに使う、赤い顔料を求めるあまり、市右衛門は…(「血みどろの皿」より)
▶︎お嬢様が重い病にかかり、奉公人のおまきは…(「身代わりの娘」より)

加地D

怖い伝説の裏側に、正確な教えというのは、明記されているわけではありません。伝説はそれぞれの解釈で伝わってきているもの。番組ではその教えが分かりやすく伝わるようにしていますが、伝説ゆかりの地を訪ねる“旅人”の方にも、ご自身の見解を語ってもらっています。ぜひ視聴者のみなさんも、怖い話にゾクッとしながら、その裏側のメッセージを自分なりに考えていただけたらうれしいです。
また、注目してほしいのは、再現ドラマはまだ知られていない俳優さんが出演しているなかで、「張り付いたお面」に、女優のふせえりさんが出演していることです。ふせさんは鬼のお面をかぶり、嫁を脅かす姑役です。鬼と対面した嫁を姑が想像する場面では、ふせさんが二役を一人芝居のように演じています。なので、このドラマは舞台のように撮りたいと思い、照明も劇場のようなライトを当てています。ふせさんは姑役をおもしろがりながら、思う存分演じてくれました。

“こわでん”誕生の地を訪ねた旅人は?

旅人として“怖い伝説”ゆかりの地を訪ねるのは、ドランクドラゴンの塚地武雅さん、TIMのレッド吉田さん、佐藤藍子さん、足立梨花さんです。代々伝わる伝説とその教えをかみしめます。

▶︎塚地武雅さんは、「根無し藤」がある栃木県へ
▶︎レッド吉田さんは、「血みどろの皿」に登場する市右衛門の窯跡へ
▶︎佐藤藍子さんは、「張り付いたお面」に登場するお面を求め福井県へ
▶︎足立梨花さんは、「身代わりの娘」をきっかけに作られた人形の工房へ

加地D

ロケ中には、たびたび不思議なことが起こりました。塚地武雅さんが伝説にまつわる藤の木の前で自分なりの解釈を語っていたんです。すると、蝶々ちょうちょうが “すー”っと、塚地さんのもとに飛んできて、「ちょっと!なにこれ!」と驚いていましたね。
足立梨花さんも外でロケをしていたとき、怖い話の概要を書いた紙をスタッフが渡すのですが、それまで晴れていたのに、彼女が受け取った瞬間に雨が降りはじめたんです。足立さんは「怖い〜!やめて〜」という感じで。番組を後押しするような奇跡に、たびたび遭遇しました。

また、「身代わりの娘」という伝説には、新型コロナウイルスの一日も早い終息への願いを込めています。病気を患うお嬢様への、おまきの献身的な行いが、病を代わりに治してくれるとされている「奉公さん」という人形となって今もその土地に残っています。高松市内の歴史資料館でも「奉公さん」の企画展を行っていて、足立さんがその人形を前に「コロナ、早く終息してほしいですね」と語り、みなさんの思いをそこに込める形で番組が終わっています。ぜひ、最後まで見ていただけたらと思います。

時代を問わずに響く、怖い伝説に込められた教え。自分なりに解釈して、“こわでん”を楽しんでください!

「こわでん ~怖い伝説~」

【放送予定】9月11日(金)[BSプレミアム]後9:59

取り上げた番組はこちらです!

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