異色ドキュメンタリー「漫勉 neo」に込めた思いとは?

浦沢直樹の漫勉 neo

10月1日(木)放送スタート!
毎週木曜[Eテレ]後10:00〜10:49

10月1日「ちばてつや」
10月8日「岩本ナオ」
10月15日「すぎむらしんいち」
10月22日「星野之宣」

<3本まとめて再放送!>
10月17日(土)[Eテレ]
後2:00「ちばてつや」
後2:50「岩本ナオ」
後3:40「すぎむらしんいち」

日本を代表する漫画家・浦沢直樹が、漫画家たちの創作の秘密に迫る異色のドキュメンタリー「浦沢直樹の漫勉 neo」。2014年にスタートして以来、これまでに18人の漫画家が登場し、その都度大きな話題となった「漫勉」が、装いも新たに3年ぶりに再始動!

ふだんは門外不出の漫画家たちの仕事場にカメラが密着。その貴重な映像をもとに、浦沢直樹さんが同じ漫画家の視点から切り込んでいきます。

今回は、番組の仕掛け人である浦沢直樹さんに、「漫勉 neo」にかけた思いをインタビュー! さらに、第1回と第2回のゲストである漫画家のちばてつやさん、岩本ナオさんの番組内の印象的なコメントを紹介します!

日本漫画の魅力をもっと深くまで伝えたい!

──2014年にスタートした「浦沢直樹の漫勉」の企画意図からお聞かせください。

これまで、漫画家たちが思っている漫画と世の中の漫画に対する見識があまりに違うことに、はがゆさを感じていました。テレビ出演のオファーを受ける際も、「日本漫画の魅力が紹介できるなら」という条件でOKするのですが、毎回、10のうち1も伝えられない間に終わってしまうんです。どうすればもっと深くまで伝えることができるのかずっと考えているうちに、とにかく漫画家のペン先が絵を生み出す瞬間を撮影するだけで、最高のエンターテインメントになることは確実だという思いに至りました。

そして、それに興味を持ってくれた制作チームと出会い、いよいよ会議が始まりました。テレビの画面をいくつかの窓に区切るマルチ画面も、僕が提唱したんです。漫画の制作風景はノーカットで撮り続けてもらい、それを流しながら、僕たち漫画家同士の対談を同時進行で見せていく。もしも2人の会話の中で分からないことがあれば、もっと細かい窓を設けて脚注のようなものを入れればいい。今ってテレビの画面が大きくなっていますから、それをふんだんに生かすことで、漫画の魅力を5から10くらいまでは伝えられるんじゃないかと。

同じ漫画家の視点から、浦沢直樹さんが各漫画家の制作の秘密に切り込んでいきます。

──漫画家の皆さんからの反響はいかがでしたか?

それはそれは大変なものでしたよ(笑)。皆さん、やはりほかの漫画家がどうやって描いているのか気になりますからね。何を隠そう僕自身が、この番組を通じて描き方が相当変わりましたから。浅野いにお先生のまねをして、下書きは印刷されない青鉛筆シャーペンで描くようになりましたし、今回ちばてつや先生をまねして、あて紙もペーパータオルに変えました。皆さんの技を、僕がいちばん盗んでますね(笑)。

──3年ぶりに再始動したのには、何かきっかけがあったのですか?

水面下で新作の準備は続けていたんです。そんな中、いちばんの原動力になったのは、ちばてつや先生が新作を描いているということですね。番組当初から「ちば先生のペン先を撮りたい」とずっと思っていたのですが、ちょうどお休みされている期間だったので、これまで実現できなかったんです。そのちば先生が「今描いていらっしゃる」。これは「ぜひ撮らせていただこう!」と。

第1回は、巨匠・ちばてつやさんが登場! 81歳になった今も描き続ける『ひねもすのたり日記』の制作現場に密着。

──実際にちばてつやさんが漫画を描かれる姿をご覧になって、どうお感じになりましたか?

ちば先生って「僕はペンが遅くてねえ」と口癖のようによくおっしゃるのですが、いざ拝見するととてつもなく描くスピードが速くて! ご本人も驚かれていました。きっと視聴者の皆さんも驚かれると思いますよ。漫画家はみんなそうですが、自分が描いている姿を客観的に見たことがないんです。自分の頭の中にあるビジュアルを、いかに原稿の上に具現化していくかにしか関心がなくて、自分の利き手がどんなにせわしなく動いているかなんてこれっぽっちも気にしていないんです。

浦沢直樹自らが、出演オファー

──今回も著名な方が続々と登場されますね。漫画家の皆さんに出演を承諾してもらうのも、大変ではないですか?

まずは僕が、漫画家が集まるパーティーのような場で「出てみませんか?」とスカウトすることが多いですね。ですが、自分が漫画を描いている姿を人に見せたくないし、そもそもテレビに出ることが嫌という方がほとんどですので、毎回、キャスティングは非常に難航します。今回は8人の方にご出演いただきますが、実際はこの何倍もお声がけさせてもらってますから…。皆さん、テレビに撮られるために漫画を描いているわけではないので、断られて当然なんですけどね。「顔を出したくなければ、キャラクターの顔を当てはめて見えないようにすることもできますよ」なんていう交渉を積み重ねるうちに、ポツリポツリと「出てもいいよ」という声をいただくようになったと。

第2回に出演する岩本ナオさんは、顔をアイコンで隠しての登場。『マロニエ王国の七人の騎士』の制作現場に密着。

そのうえで「作品のジャンルをなるべく広げたい」という思いもあります。知り合い関係で出演を承諾してくださりそうな方々もいるのですが、できるだけタッチの違う方のペン先を撮りたくて、今回も各ジャンルを代表するような方に出演をお願いすることにしました。少女漫画やSF漫画など作風のバリエーションはもちろん、デジタルで描かれている方や、キャリアの異なる方など、さまざまなジャンルをまたいだ8人の方にお願いすることになったんです。

第3回のすぎむらしんいちさんは、パソコンを使って制作する漫画家。『最後の遊覧船』の制作現場に密着。
第4回には、SF漫画の巨匠・星野之宣さんが登場。『海帝』の制作現場に密着。

──今から、番組スタートが待ち遠しいです!

漫画家の皆さんって、短命な方が多いんですよ。僕は今年60歳になりましたが、手塚治虫先生も石ノ森章太郎先生も、僕の年でお亡くなりになりましたからね。きっとそれは、漫画を描くことそのものがとてつもなくおもしろいからだと思います。あまりにもおもしろいものだから、漫画家たちは知らず知らずのうちに、自分の命さえも削って没頭してしまうんです。漫画家たちが、日々、白い紙の上にペン先で起こし続けている「奇跡」。ぜひそれを、多くの方々に目の当たりにしていただきたいですね。

浦沢さんのなみなみならぬ思いが込められた「浦沢直樹の漫勉 neo」。最後に、第1回、第2回に出演のちばてつやさん、岩本ナオさんの番組内の印象的なコメントをどうぞ!

第1回より

自分がこんなにペンが速いと思わなかったです。(僕の漫画を)読んでくれて、ほっとしてくれて、癒やされたり、元気になったり、あるいは何かを感じてくれたら一番うれしいですね。

ちばてつや

第2回より

漫画ってみんなが楽しめる振り切ったものを描かなきゃいけないのに、それが結構苦手で…。でも年をとったらやっといろいろ恥ずかしくなくなってきて、今は「エンタメでいこう!」って気持ちが強いです。

岩本ナオ

「浦沢直樹の漫勉 neo」

【放送予定】10月1日(木)放送スタート!
毎週木曜[Eテレ]後10:00〜10:49

10月1日「ちばてつや」…描く作品『ひねもすのたり日記』
10月8日「岩本ナオ」…描く作品『マロニエ王国の七人の騎士』
10月15日「すぎむらしんいち」…描く作品『最後の遊覧船』
10月22日「星野之宣」…描く作品『海帝』

<3本まとめて再放送!>
10月17日(土)[Eテレ]
後2:00「ちばてつや」
後2:50「岩本ナオ」
後3:40「すぎむらしんいち」

【出演】浦沢直樹、(語り)葵わかな

【今後のラインナップ】
「諸星大二郎」、「西 炯子」、「惣領冬実」、「坂本眞一」

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