恋に落ちた、中国出身の医師とアメリカ人の特派員
しかし、朝鮮戦争が勃発し…

慕情【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

10月21日(水)[BSプレミアム]後1:00

今回ご紹介するのもメロドラマのクラシック、主題歌も広く愛される名作です。

1949年の香港。中国人とイギリス人との間に生まれ、医者として働くスーインは、アメリカ人の特派員マークと恋に落ちます。妻と別居中だったマークは、離婚し、スーインとの結婚を決意しますが、朝鮮戦争が勃発。マークは戦地に向かうことになります。そして…。

さまざまな障壁を乗りこえ絆を深めていく2人、そして2人だけの思い出の丘…。まるで砂糖菓子のようにスイートな物語は、中国出身の医師ハン・スーインの自伝的小説。映画化したのはベテラン・ヘンリー・キング監督です。

主役の2人を演じるのは、大人の恋愛物語にふさわしい、当時30代半ばの大スター。

スーインを演じるのはジェニファー・ジョーンズ。ジョーンズは、両親が俳優で、子どものころから舞台に立ち、映画にも出演。「風と共に去りぬ」(1939)の大プロデューサー、デビッド・O・セルズニックのスタジオのオーディションを受けた際、才能を感じたセルズニックに認められ契約を交わします。その後、「聖処女」(1943)でアカデミー主演女優賞を受賞。西部劇大作「白昼の決闘」(1946)「ジェニイの肖像」(1948)などに出演し大スターとなります。

そして恋に落ちたジョーンズとセルズニックは、それぞれ離婚し、再婚。ジョーンズはその後も「終着駅」(1953)など、数々の名作に出演しました。

マークを演じるウィリアム・ホールデンは「サンセット大通り」(1950)「麗しのサブリナ」(1954)「戦場にかける橋」(1957)「ワイルドバンチ」(1969)と、数々の名作に出演した名優です。タフでハンサム、魅力的な男性を体現してきたホールデン。この映画での、優しく誠実なマークはピッタリです。

この映画の約20年後、2人はパニック映画の大作「タワーリング・インフェルノ」(1974)で再共演しています。その後、ジョーンズは引退し2009年、90歳で、ホールデンは1981年、63歳でこの世を去りました。

そして主題歌。作詞のポール・フランシス・ウェブスター、作曲のサミー・フェインはアカデミー賞を受賞。ナット・キング・コールはじめ、世界中でカバーされている名曲中の名曲です。

60年以上前、香港各地で撮影が行われましたが、聖地巡礼やロケ地巡りをする観光客が後を絶たないということで、人気の高さがうかがえます。ピーター・チャン監督、レオン・ライとマギー・チャン共演の香港映画の名作「ラヴソング」(1996)でも、この映画が大きなモチーフとして登場します。

メロドラマの古典、改めてお楽しみください。

プレミアムシネマ「慕情」

10月21日(水)[BSプレミアム]後1:00〜2:43


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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