「君の瞳に乾杯」の元ネタはこの映画

カサブランカ【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

10月28日(水)[BSプレミアム]後1:00

「君の瞳に乾杯」「美しい友情の始まりだな」…、今なお語り継がれる名セリフと名曲「時の過ぎゆくままに」。今回ご紹介するのは映画史上永遠の名作です。

舞台は第2次大戦時のフランス領・モロッコ、カサブランカ。戦火を逃れ、アメリカを目指すヨーロッパからの亡命者が集まるこの街で、酒場を営むアメリカ人・リックのもとに、かつてパリで出会い、恋人だったイルザが現れます。抵抗運動の指導者で夫のビクターを脱出させたいとリックに懇願するイルザ。そしてリックは…。

脚本・音楽も素敵すてきですが、魅力的なのは出演者たち。リックを演じるのは“ボギー”の愛称で愛されたハンフリー・ボガートです。タフでクール、正義感と絶妙のユーモア。キザなセリフでも、ボギーだとカッコ良くなってしまうのは、まさにスターのスターたる所以ゆえんです。当時は40代前半ですが、さまざまな人生経験を経て、少し年上に感じられるのもたまりません。イルザはイングリッド・バーグマン。当時20代後半、輝くような美貌と演技力で内に秘めた強い意志を持つ大人の女性を表現しています。

第2次大戦のさなかに製作されたこの作品。撮影はもちろんアメリカですが、映画さながら、さまざまな国からハリウッドへやってきた俳優が共演しています。

フランスの警官を抜群のユーモアで演じるクロード・レインズはイギリス、マルセル・ダリオはフランス、ピーター・ローレはハンガリー。悪役のドイツ将校を演じるコンラート・ファイトは実生活ではナチス・ドイツに抵抗し、アメリカにやってきたドイツの名優です。そして、ブルガリアの若い夫婦のハンサムな青年を演じているのが、当時20代、オーストリア・ウィーン生まれのヘルムート・ダンティンです。ダンティンも10代で反ナチ運動に携わったのちアメリカに逃れて俳優となり、数々の映画で冷酷なドイツ軍人を演じました。晩年はサム・ペキンパー監督と意気投合、「ガルシアの首」(1974)「キラー・エリート」(1975)では製作も務めました。

監督のマイケル・カーティスもハンガリー出身。当時のハリウッド映画から次々と名作が生まれたのは、こうしたヨーロッパからのさまざまな才能が集っていたことが大きな理由だとされています。
現代アメリカ文学を代表する作家・スティーヴ・エリクソンも、この映画を自身のトップ5に入れ、最高の作品と評価しています。

アカデミー作品賞、監督賞、脚色賞受賞。不滅の名作をお楽しみください。

プレミアムシネマ「カサブランカ」

10月28日(水)[BSプレミアム]後1:00〜2:44


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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