日系ブラジル人の「笑い」と「涙」の30年を
イッセー尾形が一人芝居!脚本は宮藤官九郎!

ワタシたちは ガイジンじゃない!

12月29日(火)[BS1]後9:00~後10:49
※後9:50~後10:00はBSニュース

外国人労働者が急増中のニッポン。いまから30年前、その先駆けとしていち早く日本にやってきたのは日系ブラジル人たちでした。1990年に法律が改正され日系外国人が労働者として日本で働くことができるようになり、ブラジルから日本へデカセギブームとも呼ばれる現象が起きました。夢を抱いて日本にやってきたブラジル人の青年たちが、30年間日本で見た光景はどのようなものだったのでしょうか。

イッセー尾形さんが、取材もとになった日系ブラジル人が多く住む団地の一角で前代未聞の“公開一人芝居”。脚本は、宮藤官九郎さん。日系ブラジル人から見た“日本人あるある”や、彼らを「ガイジン」「労働力」として見てきた日本社会の側面を、笑いあり、涙ありに描きます。

ドキュメンタリーパートでは、一人芝居を観劇した日系ブラジル人の人生、そして日系ブラジル人の写真家マエダ・ジュニオールさんが撮ってきた30年の歩みや日系ブラジル人が孤独死した団地で支援を続ける日本人の日々などを取材。

「ガイジン」と呼ばれてきた人たちが歩んできた物語とは?

 イッセー尾形さん インタビュー 

4幕 2020年「私たちの団地」日系ブラジル人のロベルト

イッセー尾形さんに聞く、番組への思い
報道でもドラマでもない“新しいジャンル”

日本における一人芝居の第一人者、イッセー尾形さん。日系ブラジル人の方々が多く暮らす九番団地(名古屋市港区)一角での「公開一人芝居」への思いを収録直後に伺いました。

──出演のきっかけ、テーマについてのご印象は?

おもしろそうだと思いました。うなずけるテーマで、難しいチャレンジですが冒険してみたいと思いました。「日系ブラジル人の方々は大変だ」と一辺倒に言われますが、一人一人に起きていることまでは現れてきません。番組として見つめ直し、日系ブラジル人の方にしか起こらなかった実際の話が脚本に盛り込まれ、紡いでいくことで豊かな内容になりました。

──ふだんの舞台との違いはありましたか?

「彼はどんな視点で、どんな態度だろう」と想像していくと、自然に身体からだが動いてしまう。ふだんやっていることとほぼ違いはないですが、話すことや持っている世界はすべて僕以外の人からもらって作ることで、人物の幅が広がりました。

初めて経験する野外劇場で心配していたのは皆さんの集中力でしたが、空間なんて関係ないと分かりました。だって皆さんの身体を通した記憶や体験が舞台にあるんだもの。皆さんが自分の人生と照らし合わせて見てくださった。僕は「こんな感じかな?」と演じますが、一人一人にあるそれ以上の経験が押し寄せてきて「やろうとしたことは間違いなかったんだな」と感じながらやっていました。こんな体験はないです。

3幕 2008年「公衆電話」現場監督のトシちゃん
2幕 1994年「工場」工場で働くカヨさん

──公演後、舞台に花束を届けたお客様がいらっしゃいました。

「天国にいるお父さんが喜んでるわ」と泣いていらしたんです。言葉を聞いて「日系の方なんだな」って。

思いはある。それを伝える言語が、少しつたない。気持ちと言葉の「差」です。苦い経験をどれだけされたんだろうと思います。悔しかったこと、つらかったこと、日本語にすると足りないでしょうね。自分の言葉で言いたい。でも言えない。自分そのものを伝えるときに、言葉を変えなきゃいけないのは大変なことです。日系ブラジル人だけでなく移民や亡命された方たちもそうした体験をするんでしょう。あの表情、抱き締めたくなりました。

──視聴者にこの番組を言葉で伝えるとしたら。

お客さんとのやり取りの中で作ってきた芝居でした。だから完成・未完成とは別の尺度で作られる番組になる気がします。報道でもドラマでもない新しいジャンル。ダイレクトに体験し、見た後に自分で名付けて欲しい。番組タイトルは「ワタシたちは ガイジンじゃない!」ですが、やろうとしたことについての新しいタイトルを付けて欲しいですね。

0幕 明治時期・ブラジルへ移民する日本人を激励する男

 制作者のことば

プロデューサー 板垣淑子

30年の歴史見つめ、彼らの現実を知って

日系ブラジル人の方々が来日してから30年がたっています。愛知県は日系ブラジル人がとても多い街です。30年の節目に、名古屋局として30年の歴史を見つめ直し、今もこんな現実があると訴えようということになりました。

2019年冬、ディレクターに「ある男の30年をドラマにしたい」と話したら「芝居はどうか? 芝居とドキュメンタリーの融合は初の試みだ」と逆提案を受け、企画開発が始まりました。高齢期を迎えた日系ブラジル人の方々のドキュメンタリーパートを取材しているとき、九番団地の孤独死が起きました。さらに取材を深めて蓄積した情報が一人芝居の脚本となり、この番組となりました。

宮藤官九郎さんとリモートで現場取材を重ね、ユーモアが詰まったリアリティーのある脚本になりました。イッセー尾形さんにも、状況を理解したうえで作っていってもらいました。エピソードは全て実話に基づいています。孤独死が起きた公園のベンチを舞台セットとして使うことも最初からの一致した意見でした。観客も実際に出来事を体験された方たちです。その反応も含めて一つのドキュメントにし、観客も出演者になっていただきました。

我々はまだまだ外国人の方に壁を作っています。壁の向こうに追いやられている外国人の方々にとって、それがどれほど残酷なことかを知り、日本社会の一員として受け入れる覚悟を、30年目にして持っていただくきっかけにしていただければと思います。

「ワタシたちは ガイジンじゃない!」

【放送予定】
12月29日(火)[BS1]後9:00~後10:49
※後9:50~後10:00はBSニュース

〈一人芝居〉

【作】宮藤官九郎 

【出演】イッセー尾形

〈ドキュメンタリーパート〉

【語り】安藤玉恵

取り上げた番組はこちらです!

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