少年誌に読み切り漫画を掲載されたことのあるディレクターが見どころを解説します

劇画怪談

4月16日(金)[BSプレミアム]後10:00(BS4K同時放送)

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身の毛もよだつ怪談語りと、漫画家がタッグを組んだら──。
「劇画怪談」は、そんな夢の“恐”演が実現した番組です。

怪談を語るのは、人気の怪談師や講談師。そこに10枚の漫画を組み合わせ、恐ろしい世界を作り上げます。最後は同じ怪談に三人の漫画家が挑戦。それぞれが見せる“違い”をお楽しみください。

今回は、人気少年誌に読み切りが掲載されたことがある担当ディレクター・大橋孔明さんの解説とともに、番組の見どころをご紹介。どんな怪談や劇画が見られるのか、じっくり聞いてきました!

ルールをご説明!

ルールはいたってシンプル。約12分の怪談に10枚の漫画が組み合わされます。どの場面を描いてもよし。コマ割りしても、1枚を大きく使ってもよし。漫画家のひらめきや技術が存分に生かされる仕組みになっています。

恐演①「布団部屋」
怪談師・城谷 歩
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怪奇漫画の巨匠・丸尾末広

あらすじ
北海道にある老舗旅館に泊まった、バスガイド。通された部屋は、「菊の間」という階段下の布団部屋でした。窓もなく薄暗い部屋を見渡すと、部屋の奥にもうひとつ入り口がありました。のぞいてみると、2畳半ほどの空間に時代がかった三面鏡が鏡面を開いたまま鎮座していて──。

怪談師・城谷 歩

みずからの体験や実話をもとに練り上げた怪談は120を超え、日本全国で口演を積み重ねてきた実力派。

怪奇漫画の巨匠・丸尾末広

その画風は、恐ろしくも美しく、過激。怪奇漫画を芸術の域にまで高め、国内外で多くのファンを魅了し続けている。

丸尾末広さんのコメント

印象的に描いたのは「髪の毛」と「扉絵」です。扉絵は漫画のシンボルなので省略したくないんですね。(三面鏡が登場するので)鏡を見ているとなんとなく後ろに人が立っているんじゃないかという妄想しませんか? そういった怪談話で語られなかった部分を少し漫画で入れました。

大橋Dの裏話 ~その①~

怪談師の城谷さんも僕も丸尾先生の大ファンということもあり、丸尾先生のたん美で妖艶な絵柄を見せるためにはどんな怪談がいいのか二人で相談し、“布団部屋の遊女の話”に決めました。こだわりは、丸尾先生が今回唯一のアナログ原稿だったので、そこから浮き立つ生々しさ、人の手が描いたものが透けて見えるように、ベタ塗りのムラやペンの擦れをそのまま取り込んで見せているところです。一時停止しながら画面をじっくり見ていただければと思います。お話と漫画家さんの個性がマッチした1作をお楽しみください。

恐演②「耳なし芳一」
講談師・神田山緑
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ファンタジー漫画の第一人者・萩原一至

あらすじ
阿弥陀あみだ寺に芳一という琵琶法師がおりました。芳一は、目は見えないのですが琵琶を語らせますと上手とのうわさ。ある晩、琵琶を弾いていると、男の霊に「主のために琵琶を弾いてほしい」と頼まれます。連日、霊に導かれ寺を留守にする芳一。それに気づいた和尚は、芳一の体中にお経を書いて助けようとするのですが──。

講談師・神田山緑

数あるレパートリーの中で怪談を得意とする講談師。その魅力を広めるため、「怪談教室」を開くほど。

ファンタジー漫画の第一人者・
萩原一至

1988年、週刊少年ジャンプで発表された「BASTARD!!-暗黒の破壊神-」は、累計発行部数3000万部以上。近年は、デジタルを駆使したイラストやゲームのキャラクターデザインを中心に活動。

萩原一至さんのコメント

おもしろい仕事でした。有名な原作だと、逆に膨らませがいがあるというか。このお話は壇ノ浦の戦いにまつわるものなので、まず合戦があった時期を調べてみました。すると、いまの暦で4月末あたりということが分かり、桜もあってらんまんとした雰囲気の中の怪談なんじゃないかと思いつきました。菜の花畑や春雷、藤の花が咲き始めるなど、日本の風光明美な自然描写って古典の怪談とすごく相性がいいなと感じました。

大橋Dの裏話 ~その②~

1本は古典にしようと思い、怪談が得意な講談師・神田山緑さんにお声がけしました。講談師さん特有の扇を使ったリアルな音表現や、どんどん引き込ませてくれる話口調が魅力です。萩原先生は「BASTARD!!~」で西洋風のファンタジーを描いているので、和風の作品のイメージがあまりなかったんですね。画力がすごいのは分かっていたので、だからこそ古典作品が題材の漫画が見たいと思い、お願いしました。「高級なVFXを使って耳なし芳一を作ってみたら」のようなハリウッド版的漫画になっています。

恐演③「思い」
怪談師・牛抱せん夏
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ホラー漫画の異才・児嶋 都

あらすじ
夫を交通事故で亡くし、子どもたちを育てることになったトウコさん。小料理屋を始めると、ヤスダさんという常連客が毎日やってきては口説いてきます。ある日、ヤスダさんにプロポーズをされ、断ったトウコさん。その翌日、トウコさんは警察からの連絡でヤスダさんが自殺したと聞かされ──。

怪談師・牛抱せん夏

俳優でもある牛抱せん夏は、その経験を活かした豊かな人物描写で、怪談師としての地位を確立。扱うのは主に、取材をベースにした怪談。ときには現場に出向きディティールを追求している。

ホラー漫画の異才・児嶋 都

その画風は 、恐ろしくてグロテスク。それでいて、どこかコミカル。代表作「怪奇大盛!!肉子ちゃん」では、底なしの胃袋を持つ女子高生という常軌を逸したキャラクターが話題に。

児嶋 都さんのコメント

新しいことだったのですごく楽しくやらせてもらいました。主人公のトウコさんが、ヤスダさんのことをそこまで好きではないというのを表現したくて、あえてはっきり描いていません。最後にはその気持ちが伝わるように表現したんですけど、ちょっと怖すぎたかなと思っています(笑)。

大橋Dの裏話 ~その③~

児嶋先生は陰影が強く出る力強い画風の方で、かつキャラクターの驚いている顔、恨めし気な顔など、表情を印象的に描くのもお得意です。人間ドラマがある怪談だとおもしろいのかなと思い、牛抱さんには人間関係のもつれや怨念がこもる話をお願いしました。実は児嶋先生は、番組の自由なフォーマットが原因でお願いしていた枚数の倍のネームを描いてくださったんです。作画の労力を考えて、恐縮ながらコマを一緒に考え直させていただいたのですが、そのかいあってかなり強力な作品になりました。

恐演④「バス通学」
怪談家・ぁみ
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三人が描く漫画

あらすじ
ある日、バス通学をしている高校生がバスに乗っていると、ひとりの女性が乗ってきました。女性は乗客の顔を順番にのぞき込みますが、誰もリアクションをしていません。そのことに気づいた高校生は、ついに自分の番が来ると──。

怪談家・ぁみ

お笑いコンビ「ありがとう」として活動するかたわら、数々の怪談コンテストで優勝する実力派。稲川淳二もその才能を認めている。

同じ怪談を3名の漫画家がそれぞれに描くとどうなる…?

丸尾末広の「バス通学」

萩原一至の「バス通学」

児嶋 都の「バス通学」

大橋Dの裏話 ~まとめ~

漫画というメディアを広げる番組…と言ったらかっこいいんですけど、とにかく怪談と漫画のいいところをお見せしたいなと思い制作した番組です。怪談話に絵をつけてしまうこと自体がやぼなことだと思ったりもしましたが、みなさんおもしろいねとおっしゃってくださり、そんな方々と一緒に作品を作れたのがうれしく、そして楽しかったです。
僕自身が漫画を描いていたこともあり、吹き出しを入れ替えたり、作画のデフォルメ部分を考えたりすることはスムーズに運べたかなと思っています。貴重な漫画家さんたちのインタビューもありますので、ぜひ見ていただければと思います。僕のファン丸出しのインタビューで恥ずかしいんですけど(笑)。怪談もスッとその世界に入っていけますし、漫画もとても美しく怪しいです。これまでになかった番組になっていると思いますので、楽しみにしていてください。

恐ろしくも怪しい「怪談×漫画」の世界へ、飛び込んでみてはいかがですか?

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