5月はヒッチコック5作品
放送レア作品「ハリーの災難」は見逃せない!

アルフレッド・ヒッチコック 5作品【渡辺祥子のシネマ温故知新】

今月は『ラストエンペラー』(1987)『地獄の黙示録 ファイナル・カット』(2019)『シャイニング 4K版』(1980)など映画史に残る大作・話題作がそろっているが、その合間をぬって放送されるのが彼のファンなら絶対に見逃せない5本のヒッチコック映画だろう。

プレミアムシネマ「ハリーの災難」

5月30日(日)[BSプレミアム]前0:00〜1:40(土曜深夜)

中でもあまり見る機会がないのがシャーリー・マクレーンの映画デビュー作『ハリーの災難』(1955)。ブロードウェイの無名のショーガールだったマクレーンは、主演女優の代役で立った舞台『パジャマ・ゲーム』で認められて大プロデューサーのハル・B・ウォリスと契約。『ハリーの災難』で映画デビュー後、『アパートの鍵貸します』(1960)などが大好評、『愛と追憶の日々』(1983)でアカデミー主演女優賞を受賞して大女優へと成長した。

『ハリーの災難』は死体をめぐる騒動を描いた軽妙なコメディー。
大好評『裏窓』(1954)『泥棒成金』(1955)に続いて製作されただけにファンの期待は大きかったが劇場公開の結果はさんざんの不入り。ただ1館、パリの映画館だけが記録的大ヒットになった。ヒッチコック好みのユーモアが全開、死体でさえ怖くないから…なのかどうか、あなた自身の目で確かめてください。舞台になるのは米国東海岸。折しも秋ということで美しい紅葉が見られるが、ヒッチコックは「一晩で木の葉が紅葉して散ってしまうので、撮影中はおちおち寝ている間もなかった」とぼやいている。

プレミアムシネマ「知りすぎていた男」

5月6日(木)[BSプレミアム]後1:00〜3:01

6日放送の『知りすぎていた男』(1956)は、1934年の『暗殺者の家』のリメーク。といってもただの再映画化ではなく、多彩な趣向を盛り込んだ。ヒロイン、ジョー役を演じる人気歌手で女優のドリス・デイが元人気歌手の設定で歌い、息子のハンクに口笛でその曲を吹くことを教える“ケ・セラ・セラ”が挿入されて世界的に大ヒットしている。

プレミアムシネマ「サイコ」

5月12日(水)[BSプレミアム]後1:00〜2:50

ヒッチコックとしては珍しいショッカー(恐怖・驚愕映画)が12日放送の『サイコ』(1960)。ユーモラスなエピソードは皆無、恐怖が見る者を直撃するのでご用心! ヒロインが事務所に入る際、ガラスの向こうに見えるヒッチコックは白いカウボーイ・ハットをかぶって立っている。おなじみのワンカット出演シーンだ。この翌年、彼の大ファンだったフランスの監督アラン・レネに頼まれたヒッチは、『去年マリエンバートで』(1960)に特別出演。廊下にたたずんでいる。

プレミアムシネマ「めまい」

5月19日(水)[BSプレミアム]後1:00〜3:09

世界の映画監督が選ぶお気に入りのヒッチコック映画のトップに選ばれることが多いのが19日放送の『めまい』(1958)。ヒッチコック映画の中でも甘美な風情を漂わせるロマンチックな映画とされているが、その甘さを強調しているのがヒロイン役 キム・ノヴァクの謎めいたまなざしだろう。舞台になったサンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジ、サン・ファン・バウティスタの教会など印象的な景色も目に焼き付く。

プレミアムシネマ「引き裂かれたカーテン」

5月26日(水)[BSプレミアム]後1:00〜3:09

60年代ハリウッドを代表するスターのポール・ニューマンと『メリー・ポピンズ』(1964)でアカデミー主演女優賞を受賞して間もないジュリー・アンドリュースの共演作が『引き裂かれたカーテン』(1966)。ヒッチコックは、当時大ブームだった『007』シリーズや『寒い国から帰ったスパイ』(1965)などのスパイ・サスペンスに対して元祖はこちら、とばかりに大物スターを使って挑戦している、彼の50本目の監督作だ。


<5月のそのほかの注目作品>

プレミアムシネマ4K「シャイニング 4K版」

5月1日(土)[BS4K]後11:30〜1:55

プレミアムシネマ4K「地獄の黙示録 ファイナル・カット」

5月8日(土)[BS4K]後1:30〜4:33
5月30日(日)[BS4K]後10:50〜1:53

プレミアムシネマ「ラストエンペラー」

5月27日(木)[BSプレミアム]後1:00〜3:44


渡辺祥子

【コラム執筆者】
渡辺祥子(わたなべ・さちこ)さん

共立女子大学文芸学部にて映画を中心とした芸術を専攻。卒業後は「映画ストーリー」編集部を経て、映画ライターに。現在フリーの映画評論家として、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等で活躍。映画関係者のインタビュー、取材なども多い。また映画にとどまらずブロードウェイの舞台やバレエなどにも造詣が深い。著書に「食欲的映画生活術」、「ハリウッド・スキャンダル」(共著)、「スクリーンの悪女」(監修)、「映画とたべもの」ほか。

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