シュワちゃんが火星で大暴れ!

トータル・リコール【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

7月5日(月)[BSプレミアム]後9:00
<BS4K同時放送>

今回ご紹介するのはアーノルド・シュワルツェネッガー主演のSFアクションです。

2084年、工事現場で働くダグは行ったことのない火星の夢にうなされていました。ダグは、望みどおりの記憶を手に入れられるというリコール社のプログラムで火星旅行を試しますが、すでに別の記憶が植え付けられていることを知ります。自分は一体誰なのか? 真実を求めて火星へ向かいますが…。

何といっても見どころは“シュワちゃん”の愛称で日本でも親しまれたシュワルツェネッガー。1947年オーストリア生まれ、磨きあげた肉体美でボディービルを世界中に広め、アメリカへわたってからは俳優となり数々のアクション映画で活躍してきたシュワルツェネッガー。この映画でも未来の火星で大暴れします。

原作はフィリップ・K・ディックの短編小説。「ブレードランナー」(1982)「マイノリティ・リポート」(2002)「スキャナー・ダークリー」(2006)など、その作品は相次いで映画化され、SF文学の巨匠として世界中で愛読されています。1950年代、パソコンやスマホが欠かせない生活なんて、SFでしかなかった時代から執筆をはじめたディックは、「現実とは何か?」「人間とは何か?」を問う傑作を次々発表しました。53歳の若さで亡くなってからおよそ40年、SNSやインターネット、仮想世界が身近になった21世紀の今こそ、ディックのテーマはより切実なものになっていると思います。

ディックの原作をもとに現実離れした派手なアクションや、赤や青、オレンジといった原色を強調した演出で、独自の世界を構築したのがオランダ出身のポール・バーホーベン監督です。1938年生まれのバーホーベン監督は、第2次大戦の戦火のなかで幼少時代を送り、60年代から映画作家となります。その後、暴力とエロティシズム、シュールでグロテスクな作風で注目され、アメリカに移って監督したSFアクション「ロボコップ」(1987)が世界的な大ヒットとなりました。シュワルツェネッガーのリクエストで演出を務めることになったというバーホーベン監督。期待に応え、見せ場たっぷりの活劇に仕上げています。

共演はシャロン・ストーン。20代前半での映画デビューから苦節10年、体を鍛え、迫力のアクションを演じたこの作品が出世作となりました。美しく誠実なようで、ちょっと怪しげなダグの妻にピッタリです。

デジタル映像が主流となる前の時代に製作されたこの作品、メキシコのスタジオに作られた巨大な火星のセットも魅力的です。どうぞお楽しみに!

プレミアムシネマ「トータル・リコール」

7月5日(月)[BSプレミアム]後9:00〜10:54
[BS4K]後9:00~ 同時放送


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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