“人生最後の会話”を通して見えてくるものは?

シェア・ストーリーズ 〜人生最後に誰と何を話しますか?〜

10月2日(土)[総合]後10:40〜11:10

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「もし、これが人生最後の会話だとしたら、あなたは誰と何を話しますか?」

友人や恋人、家族など大切な人との間で交わす、長い間言えなかった話、大切な思い出の話、感謝の気持ち……。

番組では、この問いかけに答えてくれる人を募集し、全国各地で「人生最後の会話」を撮影。たくさんの人の「人生最後の会話」を集めることで、同時代を生きる人の思いや空気感を共有していきます。
多様な人々の会話に耳を傾けると、「誰の人生にも大切な価値がある」、そんなふうに感じられて、身近な人との時間を見つめ直すきっかけになるかもしれません。

「この番組を見た方が、“自分ならどうするか”を考えるきっかけになったらうれしい」と語る寺越陽子ディレクターに、番組制作を通じて見えてきたことなどを聞きました。

寺越陽子ディレクター(以下:寺越D):
「人生最後に誰と何を話しますか?」を問う企画内容を初めて目にしたときは、実はあまり気持ちが乗らない自分がいました。「ありがとう」や「愛している」といった想定できる会話を集めて、“泣ける”番組を作るのはあまり好きではなかったからです。そのときに、「自分自身は誰と何を話すだろうか」と考えたところ、兄のことが浮かびました。兄とは仲がよくなく、正直二度と会いたくないのですが…、でもどこかでずっと気になっていたので、“人生の最後”だと考えてみたら、はじめて兄と向き合えるような気がしたんです。そう思ったときに、なかなか向き合うことができない人とも対じできるきっかけをつくることができる企画なのだと気づき、この問いに対して人それぞれの解釈を見ることができたら興味深い番組になるのではと思いました。

番組に寄せられた
さまざまな「人生最後の会話」

番組制作にあたり募った「人生最後に誰と何を話しますか?」というアンケートには、さまざまな回答がありました。その中から実際に会話を撮影。それぞれの人生最後の会話が詰まった番組になっています。

■40代男性
息子(長男15歳)に、彼が小学4年生のときにいじめっ子と空手の大会で戦うために1か月間毎日一緒に早朝練習をして、準決勝で見事に勝利したときに、心の底から感動して勇気をもらったことにお礼を言いたい。これからもその努力と勇気を忘れないで、すてきな人生を送ってほしいと伝えたい。

■30代男性
大好きな奥さんに、一緒になってくれて本当にありがとうと伝えたい。

■30代女性
今一緒に住んでいる彼氏と、たあいない話をすると思います。食べているご飯がおいしかったね、など日常的な会話をすると思います。

■60代男性
絶対に実現しないことですが、青春時代の若かりしころの自分との会話がしたいです。過去の自分に、もう少し人生をよく考えるように、真面目にやれと強く言いたいですね。できることなら、今の自分の人生を見せてやりたいです。

など

現場に立ち会い、「想像できなかった意外な会話を聞くことができました」と語る寺越Dが、印象深いと感じた会話をご紹介します。

母親を病気で早くに亡くした女性と、
3人の息子たちの会話

寺越D: 応募してくれた女性は、この「人生最後に誰と何を話しますか?」という質問を見たときに、自分の母親のことを考えたそうです。お母さんが突然亡くなり、自分のことをどう思っているのか知ることができずにいて、「自分の子どもには“どんなときでもあなたたちを肯定するよ”とはっきりとことばで伝えておきたかった」と応募理由を語ってくれました。まだ小学4年生と2年生の双子の息子たちに、その思いを込めて「大好きだよ」と伝えていたんですね。私は現場で音声だけを聞いていたのですが、その女性のまっすぐなことばに、表情を見ていなくてもグッときて泣いてしまいました。息子さんたちも感じたものがあったようで、彼らの反応がとても印象深かったですね。

7年前に妻を亡くした男性の会話

寺越D: 妻を胃ガンで亡くした男性からのアンケートに、「最後の別れのとき、実際のところ何も言えませんでした」と書いてありました。私も長くお世話になっていた方とのお別れのときに、同じような体験をしていて、この方の考えに強く共感しました。いざ人生最後の会話を目の前にすると、大したことも言えなくて、ドラマのような別れ方はできないんですよね。この男性の語る、実体験をふまえた「人生最後の会話」のエピソードはとても重みがあり、印象に残っています。

「人生最後に話したい相手はいません」

寺越D: アンケートに対して、「どう考えても人生最後に会話をしたい相手はいません」と返答した方がいました。詳しいお話を伺うと、これまで命を絶ってしまいたいと思ったことがあったそうです。
そのときに「誰かと話したいと思ったことがなかったし、話したい人がいないから死にたかったんだと思う」とおっしゃったんです。さらに「最後の会話って、たぶんなってしまうものだから今から考えるものではないと思う」という意見を聞いて、「はっ」とさせられましたし、番組の質問に対しての答えに正解も不正解もないなと改めて感じました。

用意したのは、マイク2本

家族への本音、大切な人への感謝、愛の告白……。人生の最後の会話はどのように撮影されたのでしょうか?

寺越D: 番組を作るうえで大事にしたのは、撮影の際に会話をする人たちだけの空間を作ることでした。コロナ禍という状況もあり、参加者が自然体で会話に向き合えるようにと意識しました。スタッフはセッティングとあいさつをしたら別室に行き、会話の様子を見守っています。そうしたなかですごく感じたのが、表情や目の合わせ方、相づちの間合いなどが、会話をする方々の関係性を物語っていたということ。会話を書き起こしたら伝わらないものまで映像に残すことができ、興味深いドキュメンタリーを撮ることができました。

なので、ほかの番組では削ぎ落としてしまう相づちは、大事に見せたいと思い、なるべくそのままにしています。また、音楽で場面を盛り上げることはできるだけやめ、参加者の詳しい年齢や職業などの情報は入れないようにしています。
番組編集の際にイメージしたのは、喫茶店で聞こえてくる隣の人たちの会話です。その人たちの背景がわからなくても妙におもしろく感じたり、共感してしまう“喫茶店の会話”のように、余計な情報を入れずに見ていただけるように意識しました。

収録後のそれぞれの思い

人生の最後を想像し、会話にのぞむという体験をした参加者のみなさんは、収録後どんなことを感じたのでしょうか?

収録後に届いた参加者からの声

■30代女性:3人の小学生の息子たちとの「人生最後の会話」
人生最後の会話ということを考える機会に、本当に感謝しています。
自分の心を掘り下げる、特別なきっかけをいただきました。

■50代女性:40代親友との「人生最後の会話」
貴重な体験をさせていただきありがとうございました。
自分にとっての大切なものを再確認し(お互いに)、それを胸に新たな気持ちで再スタートしたような日となりました。本当にありがとうございました。

■30代女性:30代の夫との「人生最後の会話」
日々の忙しさや大変さの中で埋もれてしまう気持ち(大切な家族と平和に暮らしていること、今元気に生きていること、など)を、改めて実感することができました。

■50代女性、5歳の娘との「人生最後の会話」
娘の気持ちも聞くことができ、日頃の罪悪感が軽くなりました。

など

寺越D: 収録が始まると、ほとんどの人が「何を話すの?」と最初はソワソワしていましたが、応募した方から「今日、人生最後だと思って言いたいことがある」と相手に素直に思いを伝えていました。私自身、みなさんどのくらい会話に向き合うのか最初はわからなかったのですが、ある意味番組が用意した“仕掛け”の中とはいえ、真剣に思いをぶつけ貴重な時間を過ごされていました。

いろんな方の“人生最後の会話”を見ることで、「こんな考え方があるんだ」と新たな発見もできると思います。番組を見てくださる方も、「自分だったらどうするかな」と考えながら見ていただけたらうれしいです。

番組を通してさまざまな会話に触れることで、自分にとっての話したい相手やどうしても伝えておきたいことが発見できるかもしれません。


「シェア・ストーリーズ ~人生最後に誰と何を話しますか?~」

【放送予定】
10月2日(土)[総合]後10:40~11:10

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