【フランス芸術が集う】フォンテーヌブロー宮殿の美にまつわる物語

奇跡の宮殿 フォンテーヌブロー 王と王妃の“美の館”

10月9日(土)[BSプレミアム/BS4K]後7:30

パリの近郊にあるフォンテーヌブロー宮殿には、フランスの歴代君主たちが12世紀以来800年にわたって集めてきた“美”の姿が刻まれています。

宮殿を埋め尽くす膨大な美術品が語るのは、芸術の国フランスが歩んできた美の軌跡。隅々に潜む歴代君主たちの「暗号」を頼りに、ふだんは目にすることができない城の奥深くまで潜入します。

宮殿の全面協力のもと、神秘のヴェールに包まれた“美の館”を4Kカメラで撮影しました。

宮殿にはどんな王や王妃が住んでいた?

フォンテーヌブローとは「美しき水の泉」という意味です。その名の通り、建物の周りには泉の水をたたえる広大な庭園が広がっており、その美しさにひかれてここ住んだ歴代君主は実に36人。とりわけ大きな足跡を残したのは、この4人です。

フランスが芸術の国へと歩む礎を築いた16世紀の王
フランソワ1世

華やかな宮廷美術を持ち込んだ王妃
マリー・アントワネット

この城に魅了され、ここから国を治めた皇帝
ナポレオン1世

世界の至宝を集め、宮殿の美を揺るぎないものにした19世紀の皇后
ウージェニー

今回、宮殿を巡ったのは、フランス在住の雨宮塔子さん。放送に先駆けて、雨宮さんの解説とともに番組の見どころをご紹介します。

第1の美 王の暗号・フランソワ1世のギャラリー

迷宮のような部屋を通り過ぎると、見えてくるのは奥行き60メートルちかくもある回廊。16世紀のフランス国王・フランソワ1世が作らせたギャラリーです。

フランソワ1世が作らせた壮麗な回廊

フランソワ1世は遠征先のイタリアでルネサンス芸術を目の当たりにし、大きな衝撃を受けたといいます。「武力」ではなく「美」と「知」の力で国を治めようと決意した国王はフォンテーヌブロー宮殿の大規模な改修に乗り出し、壮麗な美の殿堂をつくりあげました。漆喰しっくいの像で囲まれた14面もの美しいフレスコ画が、回廊を飾っています。

16世紀に作られた「舞踏の間」

雨宮さんの解説メモ

フランソワ1世はとても偉大な王だったようで、フランス人にとって人気の高い王です。その王がつくった回廊は、ヴェルサイユ宮殿ほど“金ピカ”ではなく、シックで品がある印象です。フランソワ1世の品性が出ているのではと思いました。ギャラリーの作品1点1点はもちろんのこと、王が“芸術のゆりかご”とした建物の構造にも注目するので楽しみにしていてください。

第2の美 マリー・アントワネットの秘密の部屋

18世紀の後半、この宮殿をとりわけ愛した女性がいました。王妃マリー・アントワネットです。ヴェルサイユ宮殿に住み、なにかと誹謗中傷の的になることが多かった彼女にとって、フォンテーヌブロー宮殿は心静かに過ごすことができるやすらぎの地でした。

現実から離れて、まるで異国の地にいるかのように感じさせる美しい小部屋。部屋に描かれた王妃のお気に入りのデザインからは、彼女の悲しき心の内がうかがえます。

マリー・アントワネットのお気に入り「銀のブドワール」(※ブドワール=夫人の私室)

雨宮さんの解説メモ

マリー・アントワネットのセンスの良さは知られていますが、この部屋は、壁の装飾、大きな鏡、石膏せっこうの像などそのすべてが本当にすてきでした。「銀のブドワール」はフランス人でも知っている人は少ないかもしれない、隠れた至宝だと思います。マリー・アントワネットは、夏の間この宮殿で過ごしていたそうです。部屋の豪華さだけでなく、彼女のより内面に沿ったエピソードをじっくり堪能していただきたいですね。

第3の美 ナポレオン1世の玉座の間

フランス革命で荒れ果てた宮殿を再び「君主の館」にした男が、皇帝ナポレオン1世(ナポレオン・ボナパルト)です。

戴冠式たいかんしきの正装の皇帝ナポレオン」フランソワ・ジェラール

一介の軍人から皇帝へとのぼりつめたナポレオンは、歴代フランス王にとって最も神聖な場所だった寝室にみずからの玉座を置きました。執務室や図書館などナポレオンが宮殿に残した足跡からは、彼が目指した「新しい世界」の理想が見えてきます。

ナポレオン1世の「玉座の間」に隠されたメッセージとは…?

雨宮さんの解説メモ

ナポレオンは、理想や信念がすごく高かった人だと思います。「王座の間」ももちろん豪華ですが、ほかの部屋の装飾と比べると地味で、どちらかというと機能的だという印象です。飾りや模様があっても、“美をでる”的な発想ではなく理念に沿う方向なんです。そこが潔いなと思います。
フランソワ1世との違いを楽しみながら、見てくださるみなさんも一緒にお部屋を巡っているような気分になっていただけたらと思います。

第4の美 皇后ウージェニーの至宝の間

フランスの美の歴史が刻まれてきたフォンテーヌブロー宮殿の一角に、東洋随一の至宝を集めた驚きの部屋があります。中国・清王朝の美術品を納める「中国美術室」です。

世界屈指のコレクションを誇る「中国美術室」

この部屋をつくったのは皇后ウージェニー。19世紀の半ば、2度目の帝政時代を築いた皇帝ナポレオン3世の妻です。激動の時代を生きた皇后がこの宮殿に寄せた愛情と、後半生の悲しき運命をたどっていきます。

雨宮さんの解説メモ

歴史的な年表などでお名前は知っていましたが、いちばん人物像が分からなかったのがウージェニーでした。なので、今回とても興味深かったです。「中国美術室」を拝見しましたが、近年、フランスのブルジョア階級の人たちもアジア趣味が意外に多いんですね。貴族のアジア趣味という意味では、先駆けとなる人がウージェニーだったのではと思いました。ウージェニーの人生を見つめるとともに、金の水差しなど豪華絢爛けんらんな400点以上の美術品もじっくり見ていただきたいです。

宮殿の隅々にフランスがたどってきた“美の歴史”がうかがえます

雨宮さんのまとめメモ

以前にこの宮殿を訪れたときは未公開の場所ばかりで、あのとき見たのはほんの一部なのだと改めて思いました。その当時とは違い、私も母になったことでウージェニーの思いなど、なにか見えてきたものがあったような気がしています。また、お庭もすてきで、そこにはパリにはない空気が流れていました。テラスから見ると王になった気分を味わえるのではないかと思います。
番組で登場した王や王妃もそうですが、フランス人は本当に“美しいもの好き”が多いんです。コロナウイルスのまん延で不自由な時代ですけど、フランス人は少しでも美術に触れられること、美術がそばにあることの幸せを感じて暮らしているところもあるんですね。その美への感覚はすばらしいなと思っています。この番組を通して、みなさんにもぜひその幸せを感じていただきたいなと思います。

宮殿にたたずむ雨宮さん

ナレーションは雨宮さん自身に加え、俳優の眞島秀和さんも担当。お二人のすてきな声に癒やされながら、王と王妃の知られざる歴史を見つめてみませんか?

「奇跡の宮殿 フォンテーヌブロー 王と王妃の“美の館”」

【放送予定】10月9日(土)[BSプレミアム/BS4K]後7:30

日曜美術館では雨宮さんとともに、おととしフォンテーヌブロー宮殿で発見された日本の美術品を訪ねます。幕末の徳川将軍がナポレオン3世に贈った超一級の贈答品。フランスで江戸の美を堪能します。

日曜美術館「将軍からの贈りもの ~フランスの古城で新発見 幕末の美~」

【放送予定】
10月17日(日)[Eテレ]前9:00
再放送10月24日(日)[Eテレ]後8:00

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