男性上司には、「生理」ではなく「毎月の体調の変化」と伝えるのが当然だと…【#生理の話ってしにくい】

突然ですが、みなさんは「生理」について、周りの人たちと話したことがありますか?

からだが女性の人であれば、誰もがなんだかんだと振り回されている。なのに、なぜかとーっても話しにくい。

もっとオープンに話せたらいいんじゃないか?
というわけで、NHK職員が「#生理の話ってしにくい」というテーマで、自分にとっての生理や、それぞれの職場で感じていることなどについて記事を公開していきます。

今回は、営業のMさん。
生理の話って、しにくい…?

NHKで営業職を担当して13年目になるMと申します。
生理の話ってしにくい…
と感じたことも、考えたことすらもなかったというのが私の本音です。

今回のお題をきっかけに職場や仕事のことを振り返ってみたら、いろんなことを思い出しました。

男性上司に「生理」という言葉を言えなかったこと、
“男性社会”な職場では、生理による不調を相談したいと「悩むことすらなかった」こと、
NHKについてご理解いただくための資料作りの中で、キャラクターの性別を巡って議論したこと。

それぞれの“当たり前”があって、そのどれもが正解で、どれにも向き合えることを大切にしていきたいと思っています。

「毎月の体調の変化」

「Mさん! Aさんが体調悪いみたいで…」

10年ほど前のある日。オフィスで仕事をしていると、同僚が私のところにやってきて、後輩の女性職員Aさんが医務室で休んでいると、心配そうに教えてくれました。
当時、その部では、女性の職員はAさんと私だけでした。

医務室に行ってみると、Aさんは顔色も悪く、つらそうに横になっていました。生理が毎回重く、貧血気味になってしまう…とのことでした。
そんな状況でも、責任感の強い彼女は、自席を外している時間が長くなることを気にしていました。

オフィスに戻ると、彼女の様子を気にした男性の上司に状況をたずねられました。
何と説明したらよいのか、直接的に説明することをためらいました。

そして結局、「毎月の体調の変化で…」というようなあいまいな返答をしたのですが、状況を察した上司との間に、少しだけ気まずい空気が流れたことを覚えています。

でも、そのときの私にとっては、男性である上司に“生理”という言葉を使うのはよくないのではないか、避けた方がよいのではないか?という認識が“当たり前”でした。

男とか女とか、気にしたことはなかった

私は、みなさまの受信料をおあずかりする営業部門で仕事をしています。

地域放送局在籍時、お客様からの厳しい言葉やお叱り、ありがたい言葉…本当にたくさんの声をおうかがいし、受信料制度にご理解をいただけるよう、現場に足を運ぶことも多くありました。

社会人になったころは、慣れない環境のせいか、じんましんの発症や、生理が数か月こないこともありました。

いまでこそ、同じ職種の女性職員は増えていますが、私が入局したころは同僚の女性職員も1割程度だったと思います。

『気合いと根性!』という雰囲気もあったかもしれません。身体の不調について同僚(=男性)と話すことはあまりなかったですし、特に生理のことについて話すことは一度もありませんでした。
そのことを相談できずに悩むことも、考えたこともなかったのです。

経験の浅い未熟な状況でも、やるべきことやお客様と向き合うことへの責任に対して、職員側の属性は関係ないという気持ちもありました。

なので、『女性だから』という枕ことばをネガティブに使うことはありませんでしたし、それは自分の自然な行動だったと思います。

「(営業の訪問員に)女性はいないんですか?」

昨年、仕事の上でその“属性”と向き合うことがありました。

受信料のお手続きに関するお知らせをお伝えするためのPR制作を担当した時のことです。

内容をわかりやすくお伝えするため、それまで活用していたご自宅におうかがいする訪問員のイラスト素材を活用して提案をしたところ、広報局のチームから、質問をなげかけられました。

「女性はいないのですか?」

ちなみに、それまで活用していたイラストはこちら(現在は使用していません)。

「女性はいないのですか?」

恥ずかしながら、この質問にハッとさせられました。近年、女性の訪問員も徐々に増えてきていました。

私自身、職員としてお客様のご自宅におうかがいした際に、「NHKの営業職に女性もいるのですね。」と言われたことがありながら、NHKの訪問員を表現してきたものは、すべて男性を想起させるものであることに違和感を抱くことなく、過ごしてきたのです。

男性が大半を占める環境で仕事をしてきたからなのか、それが当たり前だったのだと思います。

「女性の営業職」だっているよね

周囲の環境、女性が少数である営業職のジェンダーバランス、それらを当たり前としながら仕事をしてきましたが、
ダイバーシティやインクルージョンを“当たり前”としていく時代の流れと共に、私自身の中にある“当たり前”もアップデートし、変えなければいけないのだと気づいたのです。

訪問員の描き方について、議論を重ねました。

これまでどおりでいいという意見も出る中で、女性の営業職がどれくらいいるのか、NHKがお客様と向き合っている実際の姿はどういうものなのかなど、
これまで十分なされてこなかったであろう検討を進め、結果的に、男女2人を描くこととなりました。

このような議論を上司や同僚としたのは、私にとっても初めての経験でした。

わたしも、みなさまも、多様である世の中

そして、現在、訪問に代わって受信料に関するお知らせやご案内をお伝えするキャラクターの活用を進めています。

▶︎ 動画はこちら

このキャラクターの制作にあたっては、訪問員を男女二人として描いたときの議論がベースとなりました。

みなさまの受信料をおあずかりしているからこそ、おひとりお一人に寄り添い信頼していただける、そんなNHKの営業でなければいけないというおもいも、姿や表情に込めています。

その表現については、これから先も模索し、柔軟に変化させ続けていきたいと考えています。

また、年齢、性別、職業、すべての属性を問わず、日本中すべての方がお客様であるNHKとして、お客様の描き方についても、“当たり前”を見直しています。
ライフスタイルや家族、パートナーのあり方などは、多種多様です。

お伝えする方法や描き方はもちろん、NHKの営業全般の根幹として、多様なすべてのみなさまに寄り添い、公共メディアとしてどのような価値が提供できるのかということをいまいちど見直し、考えていかなければいけないと思っています。

あの時の後輩と、もう一度生理のこと、話してみた

“当たり前”を、維持することと変えることの大切さを日々感じながら仕事をしています。

あの時の後輩と、あのころのこと、生理にまつわることを話してみました。

彼女は、いまも、症状があるときや体調がすぐれないときは、周囲の『女性たち』に話しておくそうです。「生理の時はお互いさまだよね。だから自分も言うし、つらいときは言ってね。」という感覚で。

この感覚は、とても大事なのだろうと思います。彼女は、つらい症状が出るかもしれない生理と常に向き合っていて、彼女にとってはそれが“当たり前”。
だから、周囲に話しておくことで、生理が重くない女性たちにも、気付けることがあるかもしれない。

そして、会話の中で自然と「今日、生理なんだよね」というやりとりができると、体調によって少しつらい業務があることも気軽に話せて、心地が良いのだそう。

一方で、男性たちには話す必要がない、とも。きっと理解してもらうのは難しいから…だそう。
もしものときのために、周囲に知っておいてほしいけれど、その共有の範囲は彼女のなかでの考えがあるようです。

あのとき、上司にはっきりと“生理”というべきだったか? 正解はわかりません。

でも性別も年齢も関係なく、
生理の話ってしにくい…と思っているひとが、いるかもしれない。気にしていないひともいるかもしれない。話をすることは避けたいひともいるかもしれない。

それぞれの“当たり前”があって、そのどれもが正解で、どれにも向き合えることを大切にしていきたいと思っています。

営業M

関連記事

その他の注目記事