「雨の日」もいいね!といえる時代へ【#生理の話ってしにくい】

突然ですが、みなさんは「生理」について、周りの人たちと話したことがありますか?

からだが女性の人であれば、誰もがなんだかんだと振り回されている。
なのに、なぜかとーっても話しにくい。

もっとオープンに話せたらいいんじゃないか?
というわけで、NHK職員が「#生理の話ってしにくい」というテーマで、自分にとっての生理や、それぞれの職場で感じていることなどについて記事を公開していきます。

今回は、広報局の西入さん。
生理の話って、しにくい…?

「ちょっといいですか…」

部下からのこの言葉は、身構えワードの一つです。今回の記事への寄稿も、この一言からでした。

…申し遅れました。広報局の西入と申します。みなさんとNHKの橋渡しを進め、NHKを身近に感じてもらいたいと模索を続けている56歳です。

男性管理職の立場から「生理」に関する話を書いてほしいと部下(女性)たちに持ち掛けられ、退路を断たれて(?)引き受けました。

しかし即、行き詰まりました。困ったときには、基本に立ち返るのが一番。私はもともとディレクター職で、Eテレの番組制作に長く携わってきました。そこでの出来事からひもとくことにします。

EテレのEって?

Eテレは、正式には「教育テレビジョン」。

つまりE=Educational(教育)なのですが、“E”には他の意味もあると思っています。その一つが“equality&diversity(平等性・多様性)”です。

子ども番組から学校教育番組、福祉番組、伝統芸能番組、趣味実用番組、語学番組など、幅広いジャンルをカバーするEテレ。

ユニバーサル放送や多文化共生にもいち早く取り組んできた独自のチャンネルです。地味な存在かもしれませんが、EテレはSDGsの先駆け、公共放送の原点、NHKらしさの象徴ともいえます。

女性パワーの中での気づき

Eテレには、女性が当たり前の存在として位置づけられています。
届ける先(視聴対象)にも、届ける側(制作現場)にも、多くの女性がいる構図です。

30年前、私が駆け出しのころの上司(プロデューサー)は女性でした。その後の職場でも、幅広い年代の女性陣が活躍していました。

しかも、個性派ぞろいで、談論風発。
さまざまな考え方や背景を持つスタッフがいることで、新鮮な発見や刺激があり、(その一方で衝突もありますが、)より豊かで多彩な番組を届けることができると、肌身で感じてきました。

私がよく仕事の相談に乗っていたスタッフの中に、重い生理痛に苦しんでいるAさんがいました。

子宮の病気によって引き起こされる症状で、毎回、動けないほどの痛みに襲われるというのです。番組収録の本番と重なることになれば休むしかなく、悔しいやら申し訳ないやらという胸の内を明かしてくれました。

この先もテレビの仕事を続けていくには、本格的な手術をするしかないかもというAさんの吐露に、私はただ耳を傾けるしかありませんでした。

生理を受容する

幸い、投薬治療などで徐々に症状は軽くなっていきましたが、休みは必要で、生理時の悩みは続きます。

人間関係の愚痴なども交えた、1on1のやりとりをAさんと重ねることで、私なりの生理の捉え方が見えてきました。

「生理は厄介なものかもしれないが、ライフサイクルの中で欠かせないもの。生物学的な宿命として受容し、男性もすべからく向き合うべきもの」

これではまだ浅くて不十分と言われるかもしれませんが、自分事として生理を受け止めることになった体験でした。

その一方、女性が多い職場を渡り歩く中、私の周りで生理が身近な話題になることは、めったにありませんでした。

制度の整備も進み、生理を理由に休むことが認められているのに、「休めない、休まない」という選択をせざるを得ないような組織文化もあったと思います。個人レベルを超えての受容は、まだ途上と言わざるを得ません。

ちなみにAさんはその後も、体調と折り合いをつけながら、すてきな番組を生み出しています。

働き方改革とこれから

近年、働き方改革が叫ばれ、NHKでもこれまでの働き方の見直しや新しい働き方の導入が進んでいます。

その中で、誰もが生理と向き合う新たな時代を迎えていると感じています。
在宅リモートワークやフレックス勤務、生理休暇などを柔軟に運用し、ワークライフバランスを充実させていくことが可能になったと思うからです。

ジェンダーを超えてそれぞれが認め合って効率的に働き、生産性を高めていく。そして、さまざまなニーズに向き合い、みなさんに求められるコンテンツを提供していく。

NHKは今、変わろうとしています。…ちょっと、広報局っぽくなりました。

今回のドラマ「雨の日」と、それに連なるこの「#生理の話ってしにくい」プロジェクトの取り組みは、その変化に向けてのささやかな一歩です。

▶︎ 特集ドラマ「雨の日」番組ホームページ

語られることの少ないテーマを取り上げてきたEテレのDNAも生かして、もっともっと生理の問題がそれぞれの自分事になっていけばと願っています。

Eテレに限らず、NHKのさまざまな活動がE(いい)ねとみなさんに言ってもらえるようになることが、私の最大の目標です。

広報局noteをはじめとしたさまざまな発信に触れていただき、きたんない声を寄せていただければ幸いです。

広報局・西入

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