コムアイさん&工藤 遥さんに聞いてみた【#生理の話ってしにくい】

常日頃から、ジェンダーについて考えているというコムアイさん、子どものころから女の子と男の子が分けられることに違和感を覚えていたという工藤 遥さん。

まだまだ語られることの少ない「生理」を、雨の日になぞらえて物語るドラマ「雨の日」に出演されます。

お二人に、「生理」や「ジェンダー」について考えていることを聞いてみました。

特集ドラマ「雨の日」

【放送予定】11月3日(水・祝)[総合]後10:00~

グラビア雑誌のカメラマンに抜てきされた主人公・小島ヒカリ(コムアイ)。その勝負の日の朝、雨がPMS(月経前症候群)の症状を悪化させ、体が全く言うことを聞かない!
同じく、女優になる夢へのステップとして初めて巻頭で水着写真を披露するはずだった芹澤あおい(工藤 遥)も、途中で突然生理がきてパニックに。撮影スタッフたちが「珠玉の一枚」を狙う片隅で、人に言えない思いが膨らむ。あおいの心を知ったヒカリは、大胆な賭けに出る!

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コムアイさんが語る「生理」

コムアイさん

(主人公のカメラマン・小島ヒカリ 役)

人の魅力を撮りたいと思って写真を撮り続け、グラビア雑誌のカメラマンに抜てきされる。雨の日のPMSは最強の悩みの種。

日本のジェンダーギャップってすごく開いているし、男女の格差もまだ大きくて、しかも認識されてないこともあるうえに日本人の美学みたいなことも絡み合っていて、すごく難しいですよね。

一歩引いてる女性が美しいという感覚や、おとなしい女性が美しいとか。もちろん私も、着物を着ている女性がおとなしくふるまう姿はきれいだと思います。でも、そういうことが私たち自身を苦しめてたり、これでよかったんだっけ?みたいなこともたくさんあって。

みんなが「この人は男だからこうなんだろうな」「女だからこうだろうな」って決めつけずに、一人ひとり「この人はどんな人なんだろう、どんなことを考えてるんだろう」と考えることが大切だと思うんです。

ジェンダーのことも生理のことも、なかなか男性に分かってもらえなかったり、言いづらかったりするけれど、きちんと言葉で伝えることも大事ですよね。

生理は汚いものと思っている人もいるかもしれませんが、生理がないと私たちは誰も生まれてきていないはずですし。男女関係なく、どんなジェンダーの人も、生理って他人事ひとごとじゃないという認識を持つべきだと思います。

■ピルは飲んでみることもやめてみることも勧められる

私は10代のときは生理がすごく重くて、貧血もあって、立てないし吐き気もするし、大変だったんです。おなかも下しがちだからトイレから出れなくて、実家のトイレに毛布を持ち込んで床で寝てました。苦しくて、何やってるんだろう私…みたいな。

それであるときからピルを飲み始めたんですよね。仕事も忙しくなってきたころで、生理がライブと重ならないように調整したらすごく楽で、生理自体も重くなくなって。

なので、生理が重すぎてしんどいのに無理してる人には、ピルを試してみてもいいんだよって伝えたいです。

でも何か月か前に、月経周期を自分でコントロールしてるというのが、何かを抑え込んでる感じがして嫌になって、ピルを飲むのをやめてみたんです。

そうしたら生理が軽くなっていて、経血の量も少ないし、元気とかやる気も出やすくなった感じなんです。年齢と関係しているのかもしれないし、気のせいかもしれないんですけど。
もちろん、人によって違うと思うと思いますが、私の場合はそうだったんですよね。だから、ピルを飲んでみることも勧められるし、やめてみることも勧められますね。

■社会に出る前に学んでほしい「ジェンダー」

学校教育の中でも、生理のことはもっとしっかり男女共に教えてほしいです。
いま、シングルファーザーが娘さんを育てている家庭ももちろんたくさんありますから、お父さんが娘さんの生理についてきちんとわかっていなかったら困ると思うんです。実践的で、実際に役立つ知識をしっかり教えてほしいと思います。

生理だけでなく、性についても「いやらしい」ものとして教えるのは危ないと思います。性欲や性癖も人それぞれですよね。

子供たちは自分の中にそれが芽生えてきたとき、どう扱っていいか分からなくて混乱すると思うんですけど、それがいけないものだと思ってしまうことが一番危険で、それを認めたうえで、社会と折り合いをつけていくためにどうしたらいいかを学ばせることが教育だと思うんです。

今回、ドラマという媒体で、ジェンダーや生理のことをご覧いただき、見た方がどんなことを思っているのか知ることができたらうれしいです。

そして、社会の中で女性が反論したり、怒りを示したりすることは当然だし、そこはプライドを持って生きることもとても大切だと思っています。私自身も、どんなに面倒くさいって思われようが、黙り込む女性でいるつもりは全然ないです(笑)。

工藤 遥さんが語る「生理」

工藤 遥さん

(初めてのグラビア撮影に挑戦・芹澤あおい 役)

アイドルを卒業したて。人気を得て、いつか女優になるのが夢。

初めて台本を読んだとき、まるで自分の話かと思うくらいに、本当に同じ状況に出会ったことが10代のころにあったんです。

本当に水着の撮影の日に生理になってしまって、私は当時それをメイクさんや衣装さんの女性スタッフだけで作戦会議をしながら乗り切ったんですけど、彼女(あおい)は、自分が無理をしないことを選んで、きちんと言葉にした点が違って、私も当時ああいうふうに声を上げられていたら、どれだけ楽だっただろうと思いました。

この作品をきっかけに、そういう方たちにもピンポイントに届けられたら、同じ立場としてうれしいなと思いました。

あおいは本当にすごい。ある意味とても素直だと思います。10代の思春期のころを大人の世界で過ごしていると、どうしても相手の顔色をうかがうことばかり覚えてしまいがちなんですよね。

自分が我慢することで場が円滑に進むとか、スタッフさんたちに気を遣わせないとか、嫌な思いをさせたくないとか、そういう気持ちが先走ってしまいがちな中で何か言えるのはすごいと思います。

本当は声を上げることが正しいことなのに、それができなくなってしまうのって、思春期の特徴というか。誰かに何か訴えることの大切さって、ティーンエイジャーのうちは分からないんですよね、きっと。

■デリケートな題材だからこそみんなで話す機会も増えた

題材がすごくデリケートだからこそ、キャストもスタッフもみんなで話す機会が増えますし、男性からの「これってどうなんですか」という質問に対しても、こちらがためらうことなく答えれば、「あ、聞いていいんだ」と思ってくれるからコミュニケーションを深められて。

キャストもみんな仲いいんですよ。みんなで輪になってしゃべっている時間が本当に多くて、こんなに居心地のいい現場はないなって思いますね。

作品だから、せりふだから、という認識で「タンポン」とかのフレーズも言葉に出していきやすかったことが、とてもいいきっかけになったと思います。

■私はたまたま恵まれていたけど…

「ジェンダー」というくくりはものすごく幅広いと思うので、当てはめていいのか分からないですけど、私、昔から別に女の子であることが誇りだったわけでもないし、変な話、男の子で生まれたかったという気持ちがあったりもしたんです。

小さいとき、そうだったんですよね。シンプルにスカートが嫌い。制服でスカートをはかなきゃいけない意味が分からないのに「女の子だから」という一言で片づけられて。

あと幼稚園のトイレも女の子用は個室になってるんですけど、男の子用はオープンでラクそうでいいなって。女の子はいちいち個室に入ってスカート脱がなきゃいけないのに、男の子は立ってすればいいのかって。

どうして女の子ばかり大変な思いをしなきゃいけないんだろう、身動きが取りづらいなという意識が小さいときからあったんです。

幼少期ほど男の子、女の子で分けられる機会が多くて、それに対する違和感は抱き続けてきたものの、アイドルという職業になったので「女の子であること」が大前提ですし、スカートも露出も当たり前という世界で。

でも私はそこで、この声や性格的な面から「ボーイッシュさ」を武器にしてたら、「イケメン女子」みたいなものを受け入れてもらえたんですよね。

それを認めてくれる環境がたまたまそのときにあって、それをおもしろがってくれる人たちがいたから、私はそこに対する違和感を持つことなく、自分がやりやすいようにアイドル活動を続けられたと思っていて。

だから今、急速にジェンダーの話が進んでいく中で、「あ、わたし恵まれてたんだ」と気づきましたし、今の問題に対して敏感になるのもすごく分かります。

男性側、女性側、それぞれの意見があるとは思いますけど、「人類みな平等」になれば一番すてきなのにって思いますね。ジェンダー論が急速に進み過ぎるから、逆に意識し過ぎちゃって…というのが、きっとこれから出てくるもう一個の壁だろうなと思っています。

■ドラマや映画の形で伝えていきたい

人によってはとてもナイーブな問題だから難しいと思いますけど、でもそういうときにきっとSNSが役に立ってくるだろうなとも思っているので、今後SNSとかで自分たちで発信することがもっともっとできるようになったら周りの意識も変わってくると思います。

何だろう、どういうことだろうってやっぱり気になるじゃないですか。その疑問をぶつけたときに、当たり前のように優しく返してくれたら、それだけでこっちは大丈夫なんだってなるし、本当にそういうことの繰り返し、積み重ねだと思うので。

今、そういう作品も増えてるじゃないですか。ドラマや映画といったもののほうが絶対分かりやすいと思うから、ひとつのきっかけになってほしいなと常々思っています。

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