成海璃子さん&眞島秀和さん&室井 滋さんに、生理について聞いてみた【#生理の話ってしにくい】

過酷な撮影現場に女性スタッフが少なく、不自由なこともあったという成海璃子さん、「PMS」という言葉を今回の撮影で初めて知ったという眞島秀和さん、「滋」という名前ゆえ、子どものころからジェンダー問題を身近に感じてきたという室井 滋さん。

まだまだ語られることの少ない「生理」を、雨の日になぞらえて物語る、特集ドラマ「雨の日」(11月3日(水・祝)総合よる10時~)に出演されます。

みなさんに、「生理」や「ジェンダー」について考えていることを聞いてみました。

特集ドラマ「雨の日」

【放送予定】11月3日(水・祝)[総合]後10:00~

グラビア雑誌のカメラマンに抜てきされた主人公・小島ヒカリ(コムアイ)。その勝負の日の朝、雨がPMS(月経前症候群)の症状を悪化させ、体が全く言うことを聞かない!
同じく、女優になる夢へのステップとして初めて巻頭で水着写真を披露するはずだった芹澤あおい(工藤 遥)も、途中で突然生理がきてパニックに。撮影スタッフたちが「珠玉の一枚」を狙う片隅で、人に言えない思いが膨らむ。あおいの心を知ったヒカリは、大胆な賭けに出る!

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成海璃子さんが語る「生理」

成海璃子さん

(かつてのヒカリの友達・ミドリ 役)

ヒカリが高校時代、家出していたときに出会った友達。ヒカリと写真をつなぐ重要な役目をはたす。

物事が大きく変わるというような劇的なお話ではないですけど、いろいろな立場の人たちがいて、人って見た目通りの人間ではないよなということを演じながら思いました。何がどう変わるというわけではなくても、登場人物たちが心の中で、何か新しいことを知るとか、少し変化があるところがすてきだなと思いました。

私が演じるミドリは、自分の育った家庭に対してさびしさを抱えている、居心地の悪さを抱えて育った女の子です。そして、自身も妊娠してしまうっていう。…どういう気持ちかというと難しいんですけど、やっと、狭い世界から抜け出せるというか、自分の力で生きていく決意をしたシーンは印象に残っています。
詳しいところが何も描かれていなくて、ただ2人で会話するシーンで、2人の関係性を想像して組み立てるのはすごく難しかったのですが、互いに共鳴しているところがありました。ミドリが去っていってしまって残されたヒカリの喪失感には、「ああ10代ってそういうことあったかもなあ」みたいなことを思い出していました。

■最近の制作現場に女性が増えたことについて

こういう撮影現場って、これまでは男性の比率が高かったですが、最近女性が増えてるかなとは感じています。監督と撮影監督が女性という今回の現場はとてもめずらしいですね。この作品をつくるうえですごく理想的なつくり方なんじゃないかなと思います。
女性が現場に増えることで、いい影響はあると思います。撮影現場って本当に過酷で。例えば、お手洗いにも行きたいタイミングでは行けないし(笑)、そんなことも言い出しにくい場面がすごく多いと思うんですよ。だから、そういうことが自然にケアできるように変わってくるといいかなと思います。

■柔軟な心で見ていただければ

人に対して、自分の主観で決めつけないということが大切なんじゃないのかなって思いました。人にはいろいろな可能性があるし、柔軟な心で人を見てほしいなと思います。

眞島秀和さんが語る「生理」

眞島秀和さん

(グラビア雑誌の編集・山村誠一 役)

デリカシーがなく、“業界”的な調子のいい男に見えるが、実は写真に特別な思いがある。

女性の生理のPMSがテーマになっているんですが、PMS自体初めて耳にする言葉だったので、そういうことなんだって思ったり、あとストーリーとして、ある雨の日の1日を描いたストーリーなんですけど、台本を読み終わったあとに何かとても穏やかな気分になれましたね。
自分が出演するシーンではないのですが、興味深いやり取りだなと印象に残っているのは、女性アイドルのマネージャー役の須藤さんとドライバーが一緒に女性の生理用品を買いに行くというシーンです。早く完成した作品を見てみたいなと思いますね。

■眞島さん演じる雑誌編集者・山村という役について

山村の悪気のないデリカシーのなさをどう芝居でつくっていくのかというおもしろさはありましたね。雑誌の編集者ということで、監督やスタッフの方が事前に取材をされた資料をいただいて、こういう雰囲気の感じの人だというのは伺っていました。
ドラマの設定上、山村は、悪気なくデリカシーのないことを言うようなキャラクターなんですが、多分それって、一番大多数の男性像というか…って、それを決めつけるのもまた問題かもしれないですけど、本当に何も分からないまま口に出しちゃってる感覚の人ですね。一見チャラいんですけど、仕事はきちんとできて、別に誰かを傷つけようとも思っていないっていう、ごくごく自然に想像できる編集者として演じました。

■「PMS」という言葉のおかげで理解し合える

今回「PMS」という言葉が出てきますけど、その言葉自体、僕もいままで知りませんでしたし、そういう不調があって、それをPMSという、ということを知れば、ああ、そういう状態なんだって理解しやすいし、多分状態が悪い人もそういうことで不調なんだって、変に不安にならずにすむのかなと思いました。
言ってしまえば、PMSって、それこそ人類の歴史分、同じことがあったわけじゃないですか。それを表す「PMS」という言葉があるから、お互い理解しあえると思うんです。でもそういう言葉がなくても、人と人との関係には、不調の人をいたわることが自然にあったと思うので、そんなに何か大きな変化が起きたというわけじゃないと僕は思っています。
それに、例えばおなかの調子が悪いとか、のどが痛いとか、そういう性別関係ない不調はフラットに扱うじゃないですか。だから、PMSもそんなに難しく捉えなくていいんじゃないかなって、ぼく個人的には思うんですよ。
現場では、主演のコムアイさんが、かなり純粋でフラットな見方をされる方なので、それが現場の雰囲気につながっているのかなと感じますね。やっぱりアーティストの方ならではの何か鋭い視点もあるし、本当にフラットな目線もあるしということで。例えば成宮 涼君のことに関しても、自然といろんな話ができて、とてもいい雰囲気ですね。

■周りの人への思いやり、いたわりが大事

僕自身は、ゲイの友達もたくさんいるし、ジェンダーの問題に関しても、いろいろな人種の問題に関しても、あまり垣根がないほうだと思っているんです。
ただ、改めて世の中全体でジェンダーの話をするタイミングがきているのかなと思う部分もあって。結局その当事者個人個人が心地よく生きられればいいよねという話であって、いろいろな多様性が生まれてくる中で、今までのシステムや社会制度みたいなものが、もう追いつかなくなってきているんだなというふうに感じます。
ただ、それは間違ってるとか、そういう話じゃなくて、いろいろな意見があるのが社会だとも思っています。だから、繰り返しになりますが、人と人、周りの人への思いやり、いたわりだと思うんですよ。
ジェンダーの問題に関しても、人と違うこともたくさんあって、ただ制度が追いつかないから苦しんでいる人たちがいるというか。少しでも多くの人が人生をハッピーに生きられるように、そういう方向に向かっていけばいいよねって話だと思います。

室井 滋さんが語る「生理」

室井 滋さん

(スタイリスト・MIYAKO 役)

あらゆるグラビアの修羅場をくぐってきた生き字引。仕事の完遂に命をかけている。

今、コロナ禍ということもあって、世の中がいろいろな変わり目にきているなと感じる中で、NHKで、ズバリと女性の性の問題とか、体の変わり目の問題にまともに切り込んでくるドラマって、とても珍しいし、でもこれからそういうふうになるのかなと思いました。
私、もともと名前が「滋」なので、ジェンダーの問題はもう生まれたときからというか。いじめにあったわけではないんですけど、どうして私だけ男の子みたいな名前なんだろうとか。
特に私の時代は、女の子の名前は「〇〇子ちゃん」、「〇〇美ちゃん」が圧倒的に多くて、「男の子みたいな名前だね」って言われながら育ったので、もしかしたら、「〇〇子ちゃん」たちよりは、そういう問題に目覚めていたかもしれませんね。
でも、嫌だったかというとそんなこともなくて、変わった名前だから早く覚えてもらえたり、女優としてデビューしたときも名前で覚えられて得をする部分もあったと思います。

■知識としてお互いを知って理解するのは大切なこと

ホルモンのバランスがどんどん変わってきて、男の人にはそのことがなかなか理解してもらえない、もちろん生理の問題だけではなくて、おばさんになったら今度は更年期の問題もあるので。
でも、男性の更年期もあるし、もしかしたら私たち女性が知らないだけで、苦しんでいたり、つらい思いをしていたりする方もきっとおいでになると思うんですよね。だから、やっぱり知識としてお互いを知って理解することはとても大切なんじゃないかなと思いますね。
昔は、生理の悩みやジェンダー的なことをあまり表に出しちゃいけないというような教育を受けていたし、生理でつらくても、しょうがないと思っていた部分はありますよね。でも、それで苦しんでる人が大勢いらっしゃることを表に自然な形で伝えることは大切だし、伝えられる時代に入ってよかったかなと思います。
ただ、正直なことを言うと、今度は逆に気を使いすぎちゃって、「えっ、それってそんなに問題にしなきゃいけなかったんだっけ」って思っちゃうきらいがあって。あまりにもみんなおしはからって、お互いに気を使いすぎるようになると、それはそれですごく息苦しいんじゃないのかなと思ったり。難しいですよね。

■得意な部分、弱い部分を認め合って一緒に頑張る

撮影現場でも以前より女性のスタッフがものすごく増えて、重い物を持ったり、日に焼けたりしているのを見ると、もちろんやる気は感じるんだけど、私なんかは自分が母親だったら「そんなもの置いてすぐ帰りなさい」って言いたくなっちゃうんですよね。
女性だから特別扱いをしてほしい、ということではないんですけど、お互いの得意な部分、弱い部分を認め合って、一緒に頑張るのが本筋じゃないかと思うんです。大事なのはお互いにお互いのことを、特に同じ仕事をしていたら思いやる気持ちとか、それは女性だろうが男性だろうがですよね。
だって、ケガをしている人が重い物を持っていたら代わりに持ってあげようとするじゃないですか。それと同じですから。
今どこの現場に行っても、本当に女性のスタッフが増えているんですよね。しかも女の子のほうがしっかりしていたり(笑)。本来だったら女性の仕事としてはなかなか社会に認められづらいかもしれないけれども、ここで頑張っていくんだという覚悟が男の子より強いんじゃないんですかね。
だから、その分、責任感もあるし、頑張れるのかなって。もちろん、男性でもすばらしい人は大勢いらっしゃいますし。でも、職業で「これは男の仕事」とか、「これは女の仕事」ということこそ、本当にばかばかしいね。私もそのうち男役をやってみたいと思います。

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