フランス映画の金字塔を4K修復版で放送!

天井棧敷の人々 4K修復版【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

1月27日(木)[BSプレミアム]後1:00

今回ご紹介するのはフランス映画。生涯のベストワンという人も多い映画史上の名作中の名作です。

舞台は19世紀のパリ。劇場が立ち並び、さまざまな人が行き交う“犯罪大通り”。パントマイム役者のバチストは、美しい踊り子・ガランスに恋をしますが、ガランスには無頼漢や俳優、伯爵とさまざまな男性がひかれています。一方、劇団座長の娘ナタリーはバチストに思いを寄せますが…。

愛と苦悩、愚かさ、人間の哀歓を情感たっぷりに描き大ヒット。数々の映画賞を受賞したこの作品、日本では1952年に公開され、この映画から自らの劇団を「天井桟敷」と名づけた劇作家・詩人の寺山修司をはじめ多くの人に愛されました。
この映画が製作されたのは第2次大戦中。ナチス・ドイツの占領下の苦しく厳しい時代に、これほどまでにゴージャスであでやかな映画を作れたのは、まるで“奇跡”のようです。

出演は第一級の俳優たち。恋に溺れるバチストを演じ圧巻のパントマイムを見せるのは、ジャン・ルイ・バロー。舞台・映画への出演や、劇団を主宰し演出家としても活躍した名優です。ガランス演じるアルレッティは当時40代。香り立つような大人の色気にあふれています。

2年の歳月をかけ、この映画を完成させたマルセル・カルネ監督は「北ホテル」(1938)「霧の波止場」(1938)「悪魔が夜来る」(1942)など数々の名作を発表した巨匠ですが、代表作は何といってもこの作品。愛に生きようとするさまざまな登場人物の運命を鮮烈に描く演出は今も見るものに迫ります。エスプリに富んだ名セリフの脚本は、カルネ監督とは名コンビの詩人ジャック・プレベール。プレベールと、この映画の音楽を手がけたジョセフ・コスマは、日本でも親しまれているシャンソン「枯葉」の作詞・作曲でも知られています。

物語の軸となる“犯罪大通り”は、南仏ニースに建てられた全長400メートルにもおよぶ巨大なオープンセット。1500人にもおよぶエキストラを動員し、壮大なスケールの映像を作りあげています。美術を担当したアレクサンドル・トローネルは半世紀以上にわたって国際的に活躍し、ビリー・ワイルダー、ハワード・ホークス、リュック・ベッソンとさまざまな傑作・名作を手がけた名美術監督です。

今回放送するのは最新のデジタル技術で映像と音声を修復した4K修復版。シャープで深みのあるモノクロの映像美がこれまでにない輝きを放っています。フランス映画の金字塔。じっくりご堪能ください。

プレミアムシネマ「天井棧敷の人々 4K修復版」

1月27日(木)[BSプレミアム]後1:00〜4:11


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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