かつてドラクエ開発チームの“デバッグ”に憧れた僕が開発したアプリが今月リリースされました!!

時は1980年代、当時小学生だった僕を魅了した1つのゲームがありました。当時社会現象にもなった「ドラゴンクエスト」です。

その世界観のとりこになった僕は、ある日本屋で1冊の本を見つけました。「ドラゴンクエストへの道」というドラクエ開発チームの開発秘話を漫画にした物です。その中でなぜか僕の心を捉えたのは、「デバッグ」という作業でした。

ゲーム開発の終盤、バグを1つ1つつぶし、ゲームバランスを調整するために細かいパラメータを修正する作業を続ける開発チームのメンバー。連日徹夜で作業を続け、ボロボロになったある朝、作業を完了させてそれをBGMの作曲者すぎやまこういちさんに報告すると、電話越しに、BGMの1つ「広野を行く」を生演奏して、それを聞いた一同が涙を流すというシーンがあります。

なぜか、このシーンは当時の僕の心を揺さぶりました。
徹夜で仕事して、終わるとみんなで涙を流して喜ぶ「デバッグ」ってすげえなって。「デバッグ」、やってみたいなって。

さて、時は流れて2022年春。

僕は、NHKでとあるアプリの開発に携わっています。これまで決まった時間にしか放送されなかったテレビ番組を、好きな時間に自分の家のテレビで見ることのできるサービスです。

テストアプリが出来上がってからのこの数か月、毎日毎日報告されてくるバグをどう対処していくか判断し、デバッグ作業を繰り返してきました。

80年代のファミコンと違って、アプリ開発においてリリースの瞬間は完成ではなくて、さらなるアップデートのスタート地点でしかないという違いはありますが、ひとまず世の中に送り出すことができたことに安どしています。

どんなサービスなのか、この場を借りてちょっと紹介させてください。

NHKの見逃し配信をテレビで!

「推しが出演した番組を知らなくて見逃したけど、見る方法ないの?」
「外出先にテレビがないけど、いまやっている試合の結果を見たい」

NHKの放送番組(の一部)が、実はインターネットでもご覧いただけること、ご存じでしょうか。いつでもどこでも、NHKの番組をお楽しみいただけるインターネット配信サービス「NHKプラス」。

総合とEテレの番組を放送から1週間(一部番組は2週間)配信しています。

これまでスマホやパソコンなど向けのサービスでしたが、この4月から新しくテレビ向けのアプリもリリースしました。

Android TVを搭載したテレビ受信機、またはAmazon Fire TV Stick、Chrome Cast with google TVなどの外付けデバイスにこのテレビ向けアプリをインストールすると…。

こんな風に、テレビの大画面で見逃し番組を見ることができるようになりました。

子どもの頃の夢、かなったかも…!

会社内で知人に会ったときにすれ違いざまに交わす「いま何やってんの?」という挨拶。

この1年、「いまテレビでNHKプラスを見られるアプリ作ってるんだよ」と答えて、けげんな表情をされる経験を何度も繰り返してきました。

つい数年前まではテレビ番組を作る仕事をしていた僕にとって、4月のサービス開始を迎えたいま感じているのは、「なんか子どもの頃の夢かなったかも…!」という思いです。

テレビ番組のディレクターになり、仕事で徹夜することは何度も体験しました(いまはほとんどありません)。涙はちょっとこぼれる程度だったけど、終わった瞬間をみんなで喜び合う現場も幸いにして何度か経験することができました。

最後に残った1つのピースが、そう「デバッグ」だったのです。

NHKプラスのアプリ開発担当となり、とうとう格闘することになった「デバッグ」。テストアプリが出来上がってからのこの数か月アプリと向きあい、毎日毎日報告されてくるバグをどう対処していくか判断し、デバッグ作業を繰り返してきました。

そして、子どものころの憧れとは違い、現実にはこれからアプリを改良し、よりよいサービスを実現するための仕事が続いていきます。

あなたの「あってよかった」の一瞬のために

朝、遅刻しそうになって見られなかった朝ドラを金曜日の夜にまとめてみることもできます。夕方、夕食作る間、子どもに見せるために「みいつけた!」「おかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」を録画しておかなくても、アプリを開けば自動で連続再生してくれます。

このアプリでできることは、たったそれだけのことですが、それでも、あってよかったと思ってくれるような場面が生活の中で1つでも増えれば、それがこのアプリの価値ではないかと考えています。

世の中には「Netflix」や「Amazon Prime Video」、「TVer」などのさまざまな動画配信サービスがあり、その中でどうやって「NHKプラス」を使ってもらうかということを考えないといけないと思っているのですが、正直それはアプリの機能の問題ではなく、NHKというメディアのコンテンツ力が勝負の鍵です。

見たいコンテンツがあるから人は見るのであって、アプリを使いたいと思って使う人はいないですよね。だから今回のアプリ開発で目指したのは、誰もが使いやすい道路を作ることでした。

シンプルにサクサク動くこと、オリジナリティよりもユーザビリティを目指して、他の配信サービスで使い慣れた操作は、素直に取り入れる。そんな方針で開発してきました。ふだん動画アプリを使っている人なら、違和感なく使えるはずです。

6月30日までは動作検証期間で、ログインすることなく、利用できます。一人でも多くの人に使ってもらって、情報提供をいただきながらよりよいアプリにしていきたいと思っています。

そして再び「デバッグ」が始まる…!

アプリの使い勝手を良くするための、手がかりとなる声やつぶやきをあげてもらえるといいなと思っています。

NHKプラステレビアプリ PM 安田達一郎

2001年NHK入局。「クローズアップ現代」や「NHKスペシャル」などの番組制作を経て、2017年に「クロ現+」のデジタル展開の業務を担当することになり、突如、放送からネットコンテンツ制作の世界に携わることに。その後、放送だけでは届かないところにNHKのコンテンツを届けるための数々のトライアルを続ける中で、2021年1月からテレビアプリの開発担当となり今に至る。

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