SF作家・神林長平、時代小説作家・澤田瞳子の愛猫と過ごす日々を見つめる

ネコメンタリー 猫も、杓子(しゃくし)も。

「神林長平とビタニャ」
5月18日(水)[Eテレ]後10:00
朗読:三上博史
語り:森下絵理香アナウンサー

「澤田瞳子とそら」
5月25日(水)[Eテレ]後10:00
朗読:波瑠
語り:森下絵理香アナウンサー

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作家と愛猫の日常を描く異色ドキュメンタリー「ネコメンタリー」。自由気ままな猫の姿と、彼ら彼女らを愛する作家たちの生活を映し出すとともに、作家による描き下ろしエッセイまでも堪能できる人気シリーズです。

5月18日、25日に、待望の新作がお目見え! 今回登場するのは、作家・神林長平さんと時代小説作家・澤田瞳子さん。それぞれの愛猫との日々を描きます。

番組制作に携わる斎藤充崇プロデューサーと川田克幸ディレクターによる撮影こぼれ話を交えながら、番組の見どころをご紹介します。

神林長平&ビタニャ編

5月18日放送回に登場するのは、作家の神林長平さんと、愛猫・ビタニャ。主要キャラクターの1人が猫型異星人という『敵は海賊』シリーズや『言壺』で知られる神林さんは、硬質で緻密な描写と独特の文体が特徴の日本SF界の大御所です。そんな神林さんが愛してやまないのが、ビタニャです。2005年、野良猫として玄関ポーチに現れたビタニャ。それから約17年、長野県で、家族の一員としてともに暮らしています。

68歳の神林さんと、17歳のビタニャ

神林さんが猫について書いたエッセーがあるのですが、そこに書かれた視点がおもしろかったんです。飼い猫を「うちの子」と表現する方が多数派だと思いますが、神林さんは「猫は家族だけど、自分の子どもではない」と書かれていて。そのスタンスが独特だなと感じて、今回取材をお願いした決め手のひとつでもあります。(斎藤P)

神林さんが作家になろうと決めたきっかけをくれたのも猫だったそうです。自分の好きなように生きている猫の姿を見ているうちに、「自分は小説が好きだ、やってみるか」と決意したそう。猫の自由な生き方に勇気をもらったとおっしゃっていました。(川田D)

番組では、神林さんとビタニャの日常を、淡々と映し出します。およそ17歳になるビタニャは、高齢のため、えさを食べているとき以外は、たいていコタツの中。でも、神林さんが執筆を始めると、そばに来てちょっかいを出してきます。そんなビタニャをひざに抱き、「猫はいいな〜」と、楽しげにため息をつく神林さん。

寒い日は、ビタニャをアンカ代わりに抱く神林さん。「“にゃんか”と呼んでいるそうですよ」(川田D)

猫たちのかわいい姿ももちろん押さえますが、それだけではないのが「ネコメンタリー」。意識的に狙っているのは、作家さんの人間性、作家性がのぞき見られるような場面です。猫に話しかける言葉はもちろん、猫に何を投影するかも、作家さんそれぞれで全然違っていて、とても興味深いですよ。
撮影方法については、以前は、われわれスタッフがご自宅にお邪魔して密着取材するという形をとっていたんです。コロナ以降は、小型のカメラをお送りして、ご本人やご家族の方に自撮りしていただきつつ、ポイントとなりそうな場面にだけロケで伺うという形をとることが多いですね。(斎藤P)

自撮りしてもらった映像は、猫と人との距離感がどうしても近くなってしまいます。だから、ロケの際は、あえて猫と人との距離感のあるカットを意識して狙うようにしています。猫と人とが作る空気感を表現するようなカットと言いましょうか。ナレーションをあえて少なくしているのも、空気感を演出するため。行間を読むように、見る方に自由に思いを巡らせていただけるよう意識しています。(川田D)

作家が書き下ろした猫のエッセーを、俳優が朗読するパートも、「ネコメンタリー」の大きな見どころです。ビタニャとの出会いや、先代猫・ゲンマイの話…。神林さんならではの独特な文体で書かれたエッセーを、三上博史さんが思いを込めて朗読します。

エッセーは、「猫について書いてほしい」とだけお伝えして書いていただいています。単純にご自分の愛猫との日々を描写するだけではなく、普遍的な「猫と人との関係性」といった内容も少し盛り込んでいただけるとうれしい、というようなリクエストはしますが、基本的にはおまかせですね。(斎藤P)

澤田瞳子&そら編

5月25日放送回に登場するのは、時代小説作家の澤田瞳子さんと、愛猫・そら。昨年、『星落ちて、なお』での第165回直木賞受賞が記憶に新しい澤田さんは、いま最も勢いのある時代小説作家のひとりです。8歳になるメス・そらちゃんとの出会いは、SNSでの里親募集を夫が見つけたことがきっかけ。京都の我が家に迎えいれることにしたそうです。

澤田さんは、以前取材した朝井まかてさんと東山彰良さんからの推薦で、取材させていただくことになりました。驚いたのは、ご自宅のリビングがそらちゃんグッズだらけだったことですね。天井にはキャットウォークが設置されていて、そこかしこにキャットタワーや爪とぎなどがありました。さらに、トイレも3つあって、あまりの数に、よく「一匹しかいないんだよね?」と聞かれるそうですよ(笑)。そらちゃんを、とてもかわいがってらっしゃいましたね。(斎藤P)

リビングの天井にしつらえられたキャットウォーク

澤田さんが寝っ転がると、すかさず背中やおなかの上に乗っかって、足をふみふみするそらちゃん。キッチンカウンターに置かれた鍋敷きの上にちょこんと座って、料理をする澤田さんに時折ちょっかいを出したりも…。甘えん坊でおてんば娘のそらちゃんに振り回されながらも、猫愛たっぷりの澤田さんの姿を描いていきます。

澤田さんに、そらちゃんについてインタビューしたときのことです。最初は「猫は役に立たない」「猫なんて」と話されていたのですが、最後に「猫がいなくなったらどうですか?」とお聞きしたら、何も言わず目にうっすら涙を浮かべていて。それまで、あまり感情を表に出さないようなしゃべり方をされていただけに、とても印象的でした。(川田D)

澤田さんが、そらちゃんとの日々をつづった書き下ろしエッセーを朗読するのは、波瑠さん。そらちゃんと暮らすようになって、そんなに大きな変化があったわけではない。けれど、薄い色ガラスが一枚挟まれたように、見えるもの、感じることが変わってきた…。そう語る澤田さんによる、そらちゃんとの物語です。

「薄い色ガラスが一枚挟まれた」という表現、すごくすてきですよね。「ネコメンタリー」は、作家さんが猫との日々をどんな言葉で表現してくださるのかが、私自身も毎回楽しみなんです。
この番組をご覧いただく方々には、「猫との暮らしっていいな」と感じてもらうのと同時に、ぜひ作家さんの作品にも興味を持ってもらいたいと思います。(斎藤P)

ネコメンタリー 猫も、杓子しゃくしも。

【放送予定】

「神林長平とビタニャ」
5月18日(水)[Eテレ]後10:00
朗読:三上博史
語り:森下絵理香アナウンサー

「澤田瞳子とそら」
5月25日(水)[Eテレ]後10:00
朗読:波瑠
語り:森下絵理香アナウンサー

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