フミっ!「義経のスマホ」の向こう側とは?
番組ディレクターがそっとつぶやく“舞台裏”

義経のスマホ

6月11日(土)[総合]前0:25~1:05(金曜深夜)
※全8話を一挙再放送

第1話「スマホに憧れる男」
第2話「兄との出会いにドギマギする男」
第3話「いきなり総大将になった男」
第4話「ようやく居場所を見つけた男」
第5話「わかりやすく調子づく男」
第6話「肝心なことを見落とす男」
第7話「バレちゃった俺」
最終話「さよなら、大好きな男」

(5/24〜27、5/31〜6/3に放送したものです)

▶︎ 番組ホームページ

NHKの異色のミニドラマ「〇〇のスマホ」シリーズの第3弾は、「義経のスマホ」。今回は「義経がスマホを持っていたら」というコンセプトで、“史上最も陰キャな義経”を川栄李奈さんが演じています。

全編スマホ画面のみという斬新な演出が話題となり、第1弾から多くのファンを獲得している同シリーズ。各話5分のミニ番組ですが、スマホ画面を通して繰り広げられる激動の人生は、見る人をひきつけてやみません。

今作では、川栄さん演じる義経のキャラクターに魅了され、小澤征悦さん演じる弁慶のやさしさに泣いた人も多いのではないでしょうか。

さて、そんな「〇〇のスマホ」ファンに朗報です。6月10日(金)深夜に、「義経のスマホ」全8話が一挙放送されることが決定しました!!!

そこで、この番組の企画と演出を担当した田中涼太ディレクターに、番組を10倍楽しむためのとっておき情報を取材! 気になる舞台裏や小ネタについて聞いてみました。

──今回、義経が川栄李奈さんだと知って驚きました!

源義経は男性ですが“美しい顔立ちで背が低く色白”というイメージがあるので、脚本の竹村武司さんから女性もありでは? とアイデアをいただきました。

ちょうど僕もハマっていた連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」のなかで、川栄さん演じる主人公・ひなたが、松重 豊さん演じる時代劇の大部屋俳優・伴虚無蔵さんから「時代劇を救ってほしい」と言われており、これは!と思いオファーしました。ちなみにこれはあとで知ったのですが、川栄さんと義経はほぼ同じ身長のようです(笑)。

川栄さんは、ひなたのように天真爛漫らんまんで明るい役を多く演じられている印象があったので、今回の“陰キャ義経”をどう演じるのかは楽しみでもありました。ご覧のとおり、ひなたとはまったく違う、見事に陰キャをこじらせた義経を演じきってくださいました。

ちなみに、これまでのシリーズもそうですが、主人公の義経の声やスマホを握る手も川栄さん本人です。衣装は大河ドラマで使うような重厚な衣装をしっかり着ていただき、スマホを持ちながら演技してくださっています。

──そもそも、スマホ画面がメインの5分番組の理由は?

発想のヒントは、少女がSNSの闇にのまれていく様を、画面センターにスマホを置いた演出で描いたベルギーのドラマ「#tagged」から得ています。その演出方法をお借りし、「歴史上の偉人がスマホを持っていたら…」という歴史時代劇にしてみました。

尺(番組時間)は編成から提案で各話5分になりました。ちょっとした隙間時間でも楽しむこともできるうえに、短いからこそ小ネタをふんだんに詰め込めるところもあり、ちょうどよかったのではと思っています。

──劇中に出てくるセリフは現代のことばですが、そのねらいは?

「歴史を身近に、おもしろく見てもらえる」という点を意識しています。ただ、漠然と現代的な要素を取り入れるのではなく、しっかりと“歴史”を取材したうえで、それらを今風に置き換えることを心がけています。

例えば、新しい武士の世を目指した頼朝や鎌倉御家人たちは、社会のアップデートを目指す現代の“意識高い系”と呼ばれる方々とも重なるところがあるのではないか…と、脚本の竹村さんや時代考証の清水克行先生とも話し合い、あえて横文字をふんだんに使わせてみました。このあたりは遠慮せず、マジメにフザケることを毎回心がけています。

──ちなみに、第5話の冒頭に出てくる平宗盛のツイートには、リプライ11、リツイート85、いいね324。これは、壇ノ浦の戦いで平家が滅亡した年月日を意識されていますか?

その通りです。すべてではありませんが、番組の中で登場する数字にも、何かしらの意味をもたせるべく、歴史と関係のある数字にしたりしています。番組の随所に散りばめた隠しアイテムのひとつで、気づいた方に楽しんでもらえたらいいなと思っています。こうした小ネタは、歴史系のネタで人気のクリエイター、スエヒロさんやジブさんほか、内外のスタッフのアイデアを随所に詰め込んでいます。

──義経のスマホに入っていた、地図アプリ「合戦図」もアイデアを感じました。ところで、スマホのホーム画面にあったゲームアプリ「公家モンGO」が第4話からなくなっていたような…。

ご指摘の通り、義経のスマホのホーム画面からは途中からゲーム系アプリがなくなっています。
ネトゲ廃人になるんじゃないかと指摘されていた義経が、実際にそうなっていく第2話、第3話では、ホーム画面にはゲームアプリが多い。

第4話以降は、“意識高い”頼朝(塚本高史)に感化され、頼朝に気に入られたいと思っていくので、ゲームアプリの使用頻度は下がり、代わりに頼朝も使っていそうなニュースやSNSなど“意識の高い”雰囲気のアプリがホーム画面に目立ってくる。

わたしたちのスマホのホーム画面も、年齢や職業、人間関係によって変わりますよね。義経も頼朝と出会って、変化していく様はホーム画面で表現できると考えました。ホーム画面は一瞬しか映りませんが、「義経、ちょっとキャラが変わった!?」と、スマホから読み取っていただけるだろうと思いました。

──実際に義経のTwitterアカウント(@nhk_yoshitsune)があったり、第5話の屋島の合戦で出てくる扇に表示されたQRコードが実際に読み取れたりと、視聴者を楽しませる仕掛けにあふれた番組ですね!

ドラマの中だけで完結せず、ドラマ内で登場するアレコレが現実に拡張する仕掛けは個人的に大好きなんです。ちなみに、主人公の一人称Twitterアカウントはシリーズ第1弾の「光秀のスマホ」のときからつくっています。これはTwitterの一大カルチャーでもある“武将なりきりアカウント”を大いに参考にさせてもらっています。

屋島の合戦で那須与一が扇を矢で射抜くシーンは、『平家物語』に登場する有名なシーンなので入れたかったのですが、脚本家の竹村さんが“扇にQRコードが貼ってある”という秀逸なアイデアを出してくださいました。

これをドラマで映像化したら、絶対に画面に出てくるQRコードを読み取りたくなりますよね。その期待に応えるためにも、スマホでQRコードを読み取ったら、ドラマ内の義経と同じ画面がスマホに出てくるようにしたいと考え、遷移先のページをデジタルチームにつくってもらいました。

QRコードが登場するのはたったの2秒なので、読み取れる人はほとんどいないだろうなと思っていたのですが、思いのほかたくさんの「読み取れた!」という声をSNSで見ることができてうれしかったですね。

──印象的なのがメッセージアプリの「FUMI」。“アグリースタンプ”は、視聴者のあいだでも大人気です。販売はありませんか(笑)?

多くの反響をいただきありがたいかぎりです。スタンプをはじめ、すべてのイラストは、イラストレーターのオオシカケンイチさん、山田だりさんに描いてもらっています。「光秀のスマホ」のときから“このスタンプを私も使いたい!”という声は絶対挙がるはずと、オオシカさん山田さんスタッフ全員で話していました。

まだ実現はできていませんが、いつか皆さんに使っていただけたらとはずっと考えています。要望の声がたくさん集まれば、いつかお届けできる日がくるかもしれません。

──松村邦洋さん演じる後白河法皇の、THE FIRST IMAYOU「ASOBI」がステキでした。

脚本で「後白河法皇が(YouTube『THE FIRST TAKE(ザ・ファースト・テイク)』ならぬ)『ザ・ファースト・イマヨウ』を歌う」というくだりが上がってきたとき、すぐに浮かんだキャスティングが松村邦洋さんでした。

ことしの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で後白河法皇を演じられているのは西田敏行さんですが、西田敏行さんのモノマネは松村さんの十八番おはこです。また、2012年の大河ドラマ「平清盛」で松田翔太さん演じる後白河法皇が繰り返し歌っていたのが「梁塵秘抄りょうじんひしょう」の一首『遊びをせんとや~』で、かつ松村さんは松田翔太さんの後白河法皇のモノマネもされていました。

なので、松村邦洋さんが西田敏行さんの後白河法皇のモノマネで『遊びをせんとや~』を歌う、これ以外の選択肢が浮かびませんでした。もともと松村さんの“平清盛のオールナイトニッポン”など、歴史とモノマネをからめた芸が大好きだったので、撮影では本当に興奮しました。

──この番組の撮影の舞台裏をちょっとだけ教えてください。

「スマホ画面は合成ですか?」とよく聞かれるのですが、合成を使っているシーンは全体の1割以下です。NHKアートのデジタルチームがオリジナルに開発したプログラムを駆使して、スマホ画面に「FUMI」などの独自アプリ画面を出し、実際に現場で川栄さんがその指で操作しています。

第1弾「光秀のスマホ」のときの撮影の様子

また、撮影で気を遣うのがスマホの両脇に映る背景です。スマホ画面の周囲に映っている背景は、ぼんやりとしてピントは合っていませんが、そこがどんな場所で、誰が何をしているのか、物語を語るうえで欠かせないたくさんの情報を詰め込んでいます。

お気づきの方もいると思いますが、実は、撮影カメラとスマホはくっついています。第1弾「光秀のスマホ」の撮影時に、カメラマンがスマホとカメラを一体化した特別な機材を番組用に開発してくれました。

今回も同じシステムで撮影を行っています。
実はスマホと一体化したカメラを持っているのは川栄さんなので、何が映るかは川栄さんの動き次第。振りすぎてしまうと、スタッフや見えちゃいけないものまで映ってしまいます。

つまり川栄さんには「演技+スマホの操作+カメラワーク」を担ってもらっています。こう立ち上がって、こっちを映してほしい、ゆっくり動かしてほしいということも演技の中に入ってきます。川栄さんをはじめ、これまでスマホを持って演じてくださった皆さんには頭が下がる思いです。

6月10日(金)深夜は、第1話~最終話まで一挙放送予定です。この記事をお読みいただいた皆さんには、キャスト・スタッフ一同の汗とニヤニヤした表情をスマホの裏側に感じていただきつつ、楽しんでいただけたらうれしいです。

(アグリー!、アグリー!、アグリー!、アグリー!、アグリー!、アグリー!)

<「ステラnet」より転載 >

「義経のスマホ」

【放送予定】
6月11日(土)[総合]前0:25~1:05(金曜深夜)
※全8話を一挙再放送

第1話「スマホに憧れる男」
第2話「兄との出会いにドギマギする男」
第3話「いきなり総大将になった男」
第4話「ようやく居場所を見つけた男」
第5話「わかりやすく調子づく男」
第6話「肝心なことを見落とす男」
第7話「バレちゃった俺」
最終話「さよなら、大好きな男」

(5/24〜27、5/31〜6/3に放送したものです)

▶︎ 番組ホームページ

義経Twitterアカウント
「スマホを持ってる源義経」
@nhk_yoshitsune ※NHKサイトを離れます

関連記事

その他の注目記事