2022年 夏 いま、戦争と平和を考える

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で、人々の命と暮らしが脅かされる状況が続く、今年の夏。戦争が決して遠い昔の出来事でも、ひとごとでもないことに、あらためて気付かされます。戦争と平和について考えるきっかけになればと、これらの番組をご用意しました。

NHKスペシャル「戦火の放送局 ~ウクライナ 記者たちの闘い~」

【放送予定】8月7日(日)[総合]後9:00~9:49

ロシア軍の侵攻以降、ウクライナで情報発信の最前線となっている現場がある。国内最大のネットワークを誇る公共放送「ススピーリネ」だ。鳴り響く防空警報の下でも、臨時拠点から24時間、国内外に放送・配信を続けてきた。
5年前の開局以来、技術支援を続けてきた縁からNHKは内部での独占取材が許された。5か月にわたる取材から見えてきたのは、ロシア側が仕掛ける激しいプロパガンダ攻勢の実態や、ウクライナ政府から課される戒厳令下の報道規制、そして同僚や友人たちの命が危険にさらされる中で、何をどう報じていくのか苦悩する職員たちの姿だった。
番組では、自らも戦争の当事者として、愛国心や敵愾心てきがいしん、ジャーナリストとしての責務の間で揺れ動く職員ひとりひとりの葛藤を記録。「戦争を伝える」とはどういうことなのか、見つめる。

NHKスペシャル「新・ドキュメント太平洋戦争」

“戦争”という巨大な出来事を前に、私たち日本人は何を考えどんな現実を目の当たりにしたのか。80年前の戦争中、人々が心の内をつづった日記や手記=“エゴ・ドキュメント”を基に、「個」の視点から戦争の時代を追体験するシリーズ「新・ドキュメント太平洋戦争」。去年大きな反響を得た「1941・開戦」に続く第2弾、大日本帝国の命運を分けた分岐点・1942年をひもとく。

1942 大日本帝国の分岐点【前編】

【放送予定】8月13日(土)[総合]後10:00〜10:54

真珠湾後、連戦連勝で最大の勢力圏を築いた日本。軍の一部はさらなる戦線拡大を主張。自衛のためだった戦争目的は日本を盟主とする「大東亜共栄圏の建設」へと置き換えられた。企業人はビジネスチャンスを求め大挙して南方へ向かい、欧米への劣等感を抱いてきた市民も日本民族の“優越性”に酔いしれた。しかし6月を境に状況は暗転していく。ミッドウェー海戦の大敗北。未曽有の失態をいかに国民に伝えるか。開戦当初は正確だった「大本営発表」がウソで塗り固められていく生々しい舞台裏が浮かび上がる。ラジオ・新聞などのメディアも軍に加担。 “フェイク・ニュース”がまん延し、国民は正しい情報から遠ざけられていく。戦争に直面した社会の“明”から“暗”への転換を描く。

1942 大日本帝国の分岐点【後編】

【放送予定】8月14日(日)[総合]後9:00〜9:54

後編では、激戦となった「太平洋の戦場」、戦時体制の下の「銃後」、そして日本軍の統治下にあった「東南アジアの国々」という3つの現場をカットバックしながら、暗転していく日本の戦争を見ていく。アジア解放という理想のもと大東亜共栄圏の建設にまい進した日本。今回、各国で貴重なエゴ・ドキュメントを収集。戦争初期には、解放者として日本を歓迎する記述もあったが、やがて疑念や不満で埋め尽くされていく。「なぜ日本がアジアの盟主なのかー」。軍政にあたった日本軍将校の日記には、力で押さえつけなければ統治できないやり方に不満と幻滅が記されていた。そうした中、ミッドウェーに続き、戦局を大きく左右する戦いが始まる。ガダルカナルだ。エゴ・ドキュメントを基に、日米両軍の目線から戦場を再現。激戦を制したアメリカは日本兵の遺体から戦場日誌を収集し、日本人の精神主義を分析。ガダルカナルの勝利を東南アジアでも流布し、日本軍への抵抗を加速させていく。一方、日本の国民は、戦場の実態やアジア統治の現実にフタをされたまま、“勝利”を盲信し、戦争はさらなる悲劇的局面へと進むことになる。

■エゴ・ドキュメントを朗読するのは世代を代表する俳優陣
第1回に引き続き、80年前の市民や兵士たちの日記・手記を朗読するのは実力派俳優陣。当時の言葉を大事に伝えていきます。

【出演】國村 隼、松重 豊、西島秀俊、柄本 佑、中島 歩、橋本 愛、小野花梨 ほか(順不同)

Check

「戦争を伝えるミュージアム」8月1日公開

太平洋戦争についてあまり詳しくない、もっと深く知りたいという方に向けて、NHKスペシャルなどで取り上げるテーマや、ネット上で検索が多いテーマなどを解説。NHKのプラットフォーム上にある記事や動画などのコンテンツへとつなぐウェブページ「NHK戦争を伝えるミュージアム」をNHKアーカイブスのサイト内に開設しました。戦争に関する「そもそもの話」から、「より深い知識」へ、大切なテーマについて「知」の深まりを提供します。

NHK戦争を伝えるミュージアム

特集ドラマ「アイドル」

【放送予定】
8月11日(木・祝)[総合]後7:30〜8:43(73分)
8月29日(月)[BSプレミアム・BS4K]後9:00~10:29(89分)

いつの時代も若者を熱狂させ、ときめかせる“アイドル”。昭和初期から終戦間際まで、戦時下の日本で、1日も休むことなく営業を続けた劇場「ムーランルージュ・新宿座」は、“アイドルに会いに行ける劇場”でもあった。ファンとともに成長し、劇場の絶対的エースとなった明日あした待子まつこ。日本が戦争へと進む中でも、ファンの声援に笑顔で応え、ステージで歌い、踊り続けた…。

【作】八津弘幸(連続テレビ小説「おちょやん」、「半沢直樹」、「下町ロケット」、「陸王」など)

【音楽】宮川彬良

【出演】古川琴音、山崎育三郎、愛希れいか、正門良規(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)、田村芽実、椎名桔平 ほか

2022年 夏のおもな特集番組

特集ドラマ「倫敦ロンドンノ山本五十六」

【放送予定】8月1日(月)[BSプレミアム・BS4K]後9:00

開戦の7年前、ロンドンで開かれた海軍軍縮会議。のちに真珠湾攻撃を指揮することになる軍人・山本五十六(香取慎吾)は、国家の命運をかけ英米との交渉に臨んでいた。優先すべきは国民の命か、国家の誇りか…。海軍という組織で板挟みになりながら出した答えとは…? 初めて明らかになった海軍の機密文書をもとに描かれる開戦秘話。

「沖縄戦の旅路」

【放送予定】8月1日(月)[総合]後10:00

連続テレビ小説「ちむどんどん」に出演する仲間由紀恵さんと黒島結菜さんが、沖縄戦を知るための旅に出る。戦時下でも笑顔の少女たち…。突如、放り込まれた洞窟の日々…。いまなお行方の知れない家族を探す人。2人の故郷、沖縄で77年前の“記憶”をたどる。

「イサム・ノグチ 幻の原爆慰霊碑」

【放送予定】8月5日(金)[BS1]後9:10

20世紀を代表する彫刻家イサム・ノグチ。日本人の父とアメリカ人の母を持つ彼が、生前、最も情熱を傾けた創作の一つが広島の原爆慰霊碑だった。しかし彼のデザインは、建設前に突如却下される。ノグチが、原爆を落としたアメリカの国籍だったことが理由とされている。番組では、新たに公開されたノグチの肉声や、関係者の話などをもとに、彼が原爆慰霊碑に込めた思いに迫り、2つの祖国の狭間でもがき苦しみながらも、その懸け橋であろうとした芸術家の人生を描く。

NHKスペシャル「原爆が奪った“未来” 〜中学生8千人・生と死の記録〜」

【放送予定】8月6日(土)[総合]後10:00

77年前、広島に投下された原子爆弾。大きな被害受けたのが12~14歳の子どもたち、空襲の延焼を防ぐための作業に8000人が動員されていた。今回、NHKは学校などに保管されていた膨大な資料を入手。子どもたちの“命の記録”から、核兵器の使用が何をもたらすのか実相に迫る。

ETV特集「侍従長が見た 昭和天皇と戦争」

【放送予定】8月6日(土)[Eテレ]後11:00

太平洋戦争中、昭和天皇の侍従長だった百武ひゃくたけ三郎さぶろうの日記が公開された。短波放送などの国際情勢も報告され、戦況に一喜一憂する天皇。陸海軍の対立に苦慮し、和平を模索する姿が浮かび上がってきた。初公開の百武三郎日記を軸に昭和天皇と側近たちの戦争に迫る。

「誰が島を守るのか ~沖縄 若き自衛隊員の葛藤~」

【放送予定】8月7日(日)[BS1]後11:00

本土復帰50年。沖縄では、自衛隊が新たな部隊配備を進めるなか、自衛官を志願する若者が増えている。災害時の支援活動に憧れて入隊したものの、「国防」の重みに葛藤する若者たち…。新入隊員の訓練に密着し、自衛隊への賛否で分かれる家族や沖縄の人々を見つめる。

NHKスペシャル「そして、学徒は戦場へ」

【放送予定】8月8日(月)[総合]後10:00

10万人が徴兵されたともいわれる学徒出陣。「国家の存亡のために欠くことができない存在」だと位置づけられていた学問や学徒が、徴兵猶予という“特権”を「停止すべきだ」と、批判される存在へと変貌していった。その過程でいったい何が起きていたのか。当時の国や大学の関係者、学徒など、およそ100人に及ぶ関係者の取材を通して、その真相に迫り、今につながる教訓は何かを考えていく。

特集ドラマ「二十四の瞳」

【放送予定】8月8日(月)[BSプレミアム・BS4K]後9:00

あの名作『二十四の瞳』が土村 芳さんの主演でよみがえる。昭和初期の小豆島。戦争・貧困という時代の波に飲み込まれながらも、新任教師と12人の小学1年生たちの間で続いた20年にわたる交流を描く。

【原作】壺井 栄

【脚本・演出】吉田康弘

【音楽】富貴晴美

【出演】土村 芳、中島 歩、麻生祐未、國村 隼 ほか

プレミアムシネマ『ヒトラー ~最期の12日間~』

【放送予定】8月10日(水)[BSプレミアム]後1:00

独裁者ヒトラーがベルリン地下の要塞で過ごした最期の日々をドキュメンタリータッチで描く歴史ドラマ。スイスの名優ブルーノ・ガンツがヒトラーを熱演。ドイツのオリバー・ヒルシュビーゲル監督が、ヒトラーの人間性を真摯しんしに描き論争を巻き起こした問題作。

プレミアムシネマ『ひまわり』

【放送予定】8月11日(木・祝)[BSプレミアム]後1:00

ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ共演。戦争で引き裂かれた夫婦の悲しい運命を描く、イタリアの名匠ビットリオ・デ・シーカ監督の永遠の名作。ウクライナで撮影されたひまわり畑の美しい映像、ヘンリー・マンシーニの哀切な音楽が胸を打つ。

#あちこちのすずさん2022 今、戦争を見つめてみる

【放送予定】8月12日(金)[総合]後7:30

映画『この世界の片隅に』の主人公・すずのように、戦争の時代を生きた人たちの記憶をアニメで伝える「#あちこちのすずさん」。ウクライナで戦闘が続き、“戦争=ひとごと”と言えなくなった今年、バーチャル空間に再現した「すずさんの家」に戦争体験者や若者が集って語り合います。

ETV特集「“ナガサキ”の痕跡と生きて 〜188枚の“令和 原爆の絵”〜」

【放送予定】8月13日(土)[Eテレ]後11:00

NHKと長崎原爆資料館が、昭和・平成に続いて去年、募集を行った「原爆の絵」。高齢の被爆者たちが描いた絵には、原爆の悲惨さだけでなく、戦後の人生がにじみ出ていた。核の脅威が刻々と高まる今、長崎の被爆者たちが最後に託そうとするメッセージに迫る。

【語り】大竹しのぶ(俳優)

BS1スペシャル「沖縄戦争孤児」

【放送予定】8月14日(日)[BS1]後10:00

終戦後の全国調査で12万3511人と報告された戦争孤児。その統計に含まれず戦後史の空白となってきた人々がいる。沖縄の戦争孤児。沖縄を占領した米軍によって、いったん収容所や孤児院に入れられたが、その後の足取りは調査されたことがない。今回、彼らの消息を徹底的に追跡。社会の支援がないまま、孤立無縁で生きた元孤児たちの戦後が明らかになってきた。初めて語られる証言の数々から、戦後77年を経てなお埋めがたい戦争の傷跡を浮き彫りにする。

NHKスペシャル「ビルマ 絶望の戦場」

【放送予定】8月15日(月)[総合]後10:00

文化庁芸術祭優秀賞など大きな評価を得た「戦慄の記録・インパール」の制作チームが挑む“第2弾”。3万人の戦死者を出し、太平洋戦争で“最も無謀”といわれたインパール作戦。実は、その後の「撤退戦」で、はるかに上回る命が失われていた。戦局がほぼ決したビルマで何が起きていたのか。新資料と証言から、知られざる“絶望の戦場”を描く。

セイコグラム「転生したら戦時中の女学生だった件」

【放送予定】8月15日(月)[総合]後11:00

現代を生きる俳優がスマホを片手に太平洋戦争の時代に転生。インスタグラムを通じて戦時中の“日常”を伝えるシリーズ。今回は3年前に亡くなった芥川賞作家の田辺聖子さんの日記を「セイコグラム」と題しドラマ化。放送・インスタと連動した新たな体験を提示する。

BS1スペシャル「戦禍のなかの僧侶たち~浄土真宗本願寺派と戦争」

【放送予定】8月20日(土)[BS1]後9:00

満州事変から太平洋戦争の時代、仏教は戦争にどうのように関わっていたのか、浄土真宗本願寺派(西本願寺)はこの程、約1万寺に調査を行った。4000もの寺から回答があり、多くの写真や資料が寄せられた。日中戦争の戦場に派遣された従軍僧の日誌、旧満州の開拓地で布教にあたった開教師の記録などアジアに進出した教団の姿が浮かび上がってきた。太平洋戦争が始まると85%の寺が金属回収に応じ、学童疎開や戦時動員に協力していた。東南アジアでは陸軍が仏教による宣撫せんぶ工作を進めていたが、「マレー興亜訓練所」で日本語教育に当たった僧侶もいた。番組では、新たな全国調査をもとに戦禍の中の僧侶たちの姿を描く。

ETV特集「久米島の戦争 〜なぜ住民は殺されたのか〜」

【放送予定】8月20日(土)[Eテレ]後11:00

太平洋戦争末期、沖縄の久米島で日本軍が住民20人をスパイとみなし殺害する事件が起きた。去年発刊された『久米島町史』には、住民の多数の新証言が収録され、事件の複雑な背景が明らかになりつつある。米軍資料や新たに見つかった日本兵の日誌も分析、事件の深層に迫る。

ETV特集「女たちの戦争画」

【放送予定】8月27日(土)[Eテレ]後11:00

戦時下に描かれた異色の戦争画がある。幅3メートル、埋め尽くすように描かれたのは、働く女性たち。描いた画家たちも全員女性だ。戦争による人手不足は女たちを「イエ」から解放し、社会で活躍する場を与えた。女性たちの自立と戦争のつながり。写真家の大石芳野が「女たちの戦争画」の真相に迫る。

NHKでは、戦争体験者の証言を中心に後世に戦争の実相を伝えていくために「戦争証言アーカイブス」を開設しています。

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