古川琴音が戦時下の劇場で輝き続けた元祖アイドル・明日待子を熱演!

特集ドラマ「アイドル」

8月11日(木・祝)[総合]後7:30〜8:43(73分)
8月29日(月)[BSプレミアム・BS4K]後9:00~10:29(89分拡大版)

▶ 番組ホームページ

日本が戦争へと突き進む中、エンターテインメントのともしびを守り続けた劇場「ムーラン・ルージュ 新宿座」。そのステージに立ち、歌や踊りで若者たちを熱狂させたアイドルがいました。

彼女の名は、明日待子(あした・まつこ)。

特集ドラマ「アイドル」は、“戦時下のエンターテインメント”をテーマに、元祖アイドル・明日待子の青春を描く物語であり、劇場での歌とダンスをふんだんにちりばめた音楽ステージ・ショーです。

<あらすじ>

昭和11年、岩手から上京した小野寺とし子(古川琴音)は、新宿の劇場「ムーラン・ルージュ」のオーディションを受け、支配人兼プロデューサー・佐々木千里(椎名桔平)や看板女優・高輪芳子(愛希れいか)の目に留まる。座員となり下積み生活を送っていたとし子は、あることがきっかけで看板俳優の山口正太郎(山崎育三郎)と共にステージに立つことに。半年後、名前を“明日待子”に変え、同僚の小柳ナナ子(田村芽実)らとともに若手グループを結成、不動のセンターとなりファンの心をつかむ。しかし、日本が戦争へ突き進むにつれ、その影響は劇場や待子の周囲にも及び始める。やがて、待子も戦地で戦うファンの期待に応えようと戦争に協力するが……。

主人公・待子を演じるのは、連続テレビ小説「エール」などに出演し、本作がNHKドラマ初主演となる古川琴音さんです。古川さんのインタビューとともに、演出の鈴木 航ディレクター、ステージ演出を手がけた池田泰洋ディレクターのコメントを交えて、ドラマの見どころを隅々まで紹介します!

明日待子(小野寺とし子)役・古川琴音インタビュー

■待子とファンの関係性を大切に

今回のお話をいただいてからすぐに、明日待子さんのインタビューが収められたムーラン・ルージュ新宿座のドキュメンタリー映画を見たり、演出の鈴木さんが待子さんに取材された際の資料や写真を見せてもらったりしたんです。その笑顔に一瞬で魅了されてしまって、私がこの方を演じられるんだと思うとうれしくてワクワクしました。

さらに待子さんのことを知ると、愛情深く、ちゃんと傷つくことのできる人なのだと思いました。
鈴木さんから伺った「明日待子はまさに戦時下のアイドルだった」という言葉と、戦後しばらくして引退されたという話が強く印象に残っていました。ファンをただ“ファン”というくくりの中で見ていたのではなく、一人一人を人として接していたからこそ、時代が戦争に進むにつれ、徴兵されていく彼らを見てたくさん傷ついて、怖かったんだろうなと思います。
それでも待子さんは心折れずに、そんなファンたちのアイドルを全うした芯の強い女性だと思いました。

待子は出征したファンを思い、自ら戦地へ出向いて慰問活動する。

劇中、学徒出陣で戦地へ行く学生たちがムーラン・ルージュに集まり、待子が客席を回って一人一人と握手をする場面があるのですが、これは実際にあったエピソードだそうです。私だったら、何か一言伝えるだけで精いっぱい。笑顔で見送ることなんてとてもできないと思いました。そんな待子さんの心を支えていたのは、やっぱりファンに対する深い愛情だったんじゃないかなと。

ですから、彼女の中でファンとの関係性や考え方がどう変化していったのか、その心の動きをていねいに表現することを大切にしながら演じました。

ちなみこのシーンは、待子が恋心を抱いていた富安(正門良規)と別れて、「みんなのアイドルとして生きていく」と決心を固める重要な場面です。当初、ファンを激励したあとに富安に別れを告げる予定でしたが、待子の心情を考えると、富安との別れが先にないと、女性としての人生からアイドルとしての人生に振り切る踏ん切りがつかないと感じたんです。思い切って鈴木さんに相談したところ、真摯しんしに耳を傾けて待子の気持ちに寄り添ってくださって。すごくありがたかったですね。

■懸命に歌い、踊ったステージ・ショー

レビューやミュージカルなど、さまざまなステージ・ショーが描かれているのも見どころです。ただ、ドラマで本格的に歌ったり踊ったりするのは初めてなので、稽古は本当に大変でした(笑)。歌と踊りを単体ではできても、同時にすると全然できなくて。なかなかみんなで振り付けを合わせる時間もなかったので、本番に間に合うんだろうかとドキドキしながら撮影の合間に稽古していました。

そのうえ、共演者は山崎育三郎さんや愛希れいかさん、田村芽実ちゃんといった舞台経験豊富で歌って踊れる方ばかり。その中でも、待子が埋もれずしっかり輝けるように、撮影の1か月前から個人レッスンに励んでいました。

「歌って踊れる皆さんの中で、私が少し気後れしそうになったとき、育三郎さんが『琴音ちゃん、明日待子本当にぴったりだね』と声をかけてくださって、すごく勇気づけられました」と古川さん。

それにしても、ステージに立つ愛希さんのオーラには圧倒されました。愛希さんが踊り出すと、体から音が奏でられているようで本当にかっこいいんです! 待子が舞台袖から芳子姉さんをあこがれのまなざしで眺めているのと同じ気持ちで見ていたので、芝居にもそのまま反映されているんじゃないかなと思います。

芽実ちゃんは、アイドルグループの出身なので、ムーラン・ルージュのアイドルチームが集まるシーンでは「みんながんばろう!」と盛り上げてくれて。彼女がいるだけで場の空気が明るくなって士気が上がるのですごく頼りにしていました。

■エンターテインメントはタイムマシーン

私がこの物語を通して強く心打たれたのは、どんな時代にもエンターテインメントがあり、どんな境遇にあろうとも明日待子さんが一生懸命生きていたということです。

少女からアイドルへと成長していく姿を等身大で演じる古川さんの演技に注目。

エンターテインメントって、タイムマシーンみたいなものだなと感じるんですよね。

どの時代にも自由に行けて、自分の気持ちを探しに行ける。そして、心揺さぶられることで生きている実感を持てる──人々にとっての生きる希望なんじゃないかなと。

「アイドル」は、戦争をテーマにした物語ではありますが、エンターテインメントとして純粋に楽しんでいただけたらいいなと思いますし、待子さんの一瞬一瞬のきらめきを感じてもらえたら幸せです。

鈴木航ディレクター&池田泰洋ディレクターに聞く
ドラマの注目ポイント

実際の明日待子さんってどんな人?

2017年、戦時中にアイドルがいたという記事を目にして、初めて明日待子さんのことを知りました。
当時、待子さんは札幌で踊りの師匠をされていたのですが、ちょうど札幌局にいた昔の同僚が待子さんにインタビューすると聞いて、僕も同行させてもらったんです。待子さんは98歳とご高齢ながら、元気に体操しながら迎えてくださって。とてもオーラのある方でした。

お話を伺うと、アイドル時代もさることながら、戦後、札幌に移られてからの人生も実に波乱万丈で、この時からいつか待子さんの人生をドラマにしたいという思いを温めてきたんです。ちなみに、アイドル時代の待子さんのお写真を見せていただいたのですが、主演の古川琴音さんとよく似ているんですよ(鈴木D)。

♪注目ポイント①♪
テーマは“戦争とアイドル”
新たな切り口で描く終戦ドラマ

毎年、8月15日の終戦の日が近づくと戦争をテーマにした終戦ドラマが放送されますが、本作の舞台は、戦争の最前線や燃え盛る町ではなく、アイドルが歌い踊るきらびやかな世界。“戦争とアイドル”という、一見、ミスマッチにも思えるテーマにはどんな思いが込められているのでしょうか?

鈴木Dより

最初に待子さんの記事を読んだとき、こんな過酷な時代にさえもアイドルがいて、熱狂するファンがいたということに新鮮な驚きがありました。戦争の時代というとモノクロの遠い世界のように考えがちですが、そこには自分たちが過ごしている現代と変わらない日常があったんだなと。それなのに、いつの間にか争いに巻き込まれて日常を奪われてしまうのが戦争の怖さなんですよね。アイドルというなじみ深い存在をテーマに戦争を描くことで、その怖さや日常のもろさをより身近に感じてもらえるんじゃないかと思います。

また、もう一つのテーマとして、娯楽は不要不急といわれた時代にエンターテインメントの底力を信じてがんばってきた人々の物語でもあります。くしくも今、コロナ禍で当時と同じように「なくても生きていける」と言われてしまうのがエンターテインメントの世界。それでも、非常時こそエンターテインメントにできることがある。そう信じて、この作品を作りました。あまり肩ひじ張らずにドラマをお楽しみいただき、待子やショーマンたちの心意気を感じていただけたら幸いです。

♪注目ポイント②♪
豪華キャスト&スタッフが届ける
ライブ感あふれるステージショー

正太郎と芳子によるミュージカル『恋のかけひき』では、遊び心あふれる歌詞に注目!「2人がまじめに熱演しているのに、歌詞の内容を見てみると実にくだらないことしか言っていなくて、そのギャップがおもしろいと思いました」(池田D)。

鈴木Dが「これだけ、ショーに力を入れたドラマはなかなかないと思います」と言うだけあって、物語の随所で描かれるステージショーは超豪華。実際に劇場で上演されていた演目に加え、作曲家の宮川彬良と作詞家の及川眠子ねこによるオリジナル曲も!

池田Dより

ふだんは「うたコン」や「NHK紅白歌合戦」など音楽番組を担当しているので、その経験を生かし音楽番組に近いクオリティーのステージになるよう目指して演出しました。通常、ドラマでは事前にアフレコしたり一部分だけを撮影することが多いと思うのですが、今回はキャストの皆さんが本気で歌い踊る熱気をそのままお届けしたくて、実際にステージで歌ってもらったり1曲フルで踊ってもらったりして、音楽番組と同じ方式で収録したんです。

ただ、時代設定上、いつも使っている照明機材が使えないこともあって、その辺りはドラマならではの難しさを感じました。

ちなみにショーのシーンは全編通して7曲あるのですが、中でも最も華やかなのが物語終盤の『ようこそ新宿』というショーです。このシーンは、ほかのショーとは少し意味合いの異なるファンタスティックな場面なので、時代や物語の設定に縛られず、とにかく楽しいショーになるよう時間をかけて撮影しました。何よりもキャストの皆さんの見ごたえあるパフォーマンスにご注目いただければと思います。

そして、意外な人がサプライズで出演しているので、ぜひ楽しみにしていてください(笑)。

特集ドラマ「アイドル」

【放送予定】
8月11日(木・祝)[総合]後7:30〜8:43(73分)
8月29日(月)[BSプレミアム・BS4K]後9:00~10:29(89分拡大版)

【作】八津弘幸(連続テレビ小説「おちょやん」、「半沢直樹」、「下町ロケット」、「陸王」など)

【音楽】宮川彬良

【出演】古川琴音、山崎育三郎、愛希れいか、正門良規(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)、田村芽実、椎名桔平 ほか

▶ 番組ホームページ

その他の注目記事