アカデミー作品賞・監督賞など4部門を受賞
ベトナム戦争に行った若き兵士たちを描く戦争映画

プラトーン【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

9月27日(火)[BSプレミアム]後1:00

今回ご紹介するのは、ベトナム戦争を迫真の演出で描き、アカデミー作品賞はじめ4部門を受賞した名作です。

監督・脚本を手がけアカデミー監督賞を受賞、一躍アメリカを代表する映画作家の一人となったのがオリバー・ストーン監督です。1946年9月、ニューヨークに生まれたストーン監督は、大学中退後、当時多くの若者たちが駆り出されていったベトナムの戦場へ行くことを志願し、1967年陸軍に入隊。カンボジアの国境付近で2度負傷するなど、激烈な戦場を体験しました。除隊後、戦争の記憶に苦しみながらも大学で映画を学び、さまざまな職業を経て脚本家となり、実話をもとにした「ミッドナイト・エクスプレス」(1978)でアカデミー脚色賞を受賞。映画界での評価とキャリアを重ね、こん身の一作として自身の体験をベースに作りあげたのがこの作品です。

出演者もこの映画をきっかけに大きく飛躍しました。ストーン監督自身が反映された主人公、テイラーを演じるのはチャーリー・シーン。当時20代前半だったチャーリーは、純真だった若者が戦場で傷つき、成長していくまでを見事に表現しています。父・マーティンもベトナム戦争が題材の「地獄の黙示録」(1979)の主演で知られ、兄のエミリオ・エステベスも俳優・監督として活躍するという俳優一家に生まれたチャーリーはその後、ストーン監督の「ウォール街」(1987)などにも出演、80年代を代表する若手スターとなりました。強烈な個性の兵士、顔に深い傷のあるバーンズを演じたトム・べレンジャーと心優しきエライアスを演じたウィレム・デフォー。圧倒的な存在感で2人ともアカデミー助演男優賞にノミネートされました。さらに名優フォレスト・ウィテカーや、若き日のジョニー・デップにもご注目ください。

音楽はジョルジュ・ドルリュー。フランソワ・トリュフォー、ジャン・リュック・ゴダールはじめヌーベルバーグの映画作家の数々の名作やアメリカ映画もてがけたフランスの映画音楽家、甘美なメロディーの第一人者です。そしてテーマ曲ともいえるのが、アメリカの作曲家サミュエル・バーバーの「弦楽のためのアダージョ」。「エレファント・マン」(1980)など、ほかの映画でも使われていますが、本作品で編集を担当しアカデミー編集賞に輝いたクレア・シンプソンがストーン監督にこの曲をすすめたということです。バーバーの哀切な音楽は作中で何度も流れ、戦争のむなしさ、悲痛さを一層見るものに感じさせます。
80年代を代表する戦争映画の名作。ぜひご覧ください。

プレミアムシネマ「プラトーン」

9月27日(火)[BSプレミアム]後1:00〜3:01


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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