「帝銀事件」に迫る松本清張 大沢たかお主演でドラマに!

NHKスペシャル 未解決事件 松本清張と帝銀事件

第1部ドラマ 事件と清張の闘い 12月29日(木)[総合]後9:00~10:30

【作】安達奈緒子 【音楽】川井憲次
【出演】大沢たかお、要潤、井川 遥、迫田孝也、榎木孝明、佐野史郎、豊原功補 ほか

第2部 74年目の“真相”(ドキュメンタリー) 12月30日(金)[総合]後9:00~10:00

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日本中に衝撃を与えた未解決事件の謎をドラマとドキュメンタリーで検証・追及するNHKスペシャル「シリーズ 未解決事件」の第9弾。今回は「帝銀事件」とその謎に挑んだ作家・松本清張の知られざる闘いに光を当てます。

日本がGHQの占領下にあった1948年に、帝国銀行・椎名町支店で行員ら12人が毒殺された「帝銀事件」。犯人は逮捕されたものの、いまだ多くの謎が残されており“戦後最大のミステリー”とも言われています。

真実がねじ伏せられたのではないか──。警察の捜査を疑問視した清張は、真実を暴こうと取材を重ねるうちに、事件を覆う巨大な“闇”へと分け入っていきました。第1部では、清張の事件との闘いをドラマ化。これまで描かれなかった実像と事件の謎に迫ります。清張役の大沢たかおさんと、演出の梶原登城ディレクターに役への思いや物語の見どころを聞きました。

ドラマのあらすじ

1957年、作家として勢いに乗っていた松本清張は、作品の題材として「帝銀事件」に着目。逮捕された画家・平沢貞通(榎木孝明)のほかに真犯人がいるのではないかと疑念を抱く。

文藝春秋の編集長・田川博一(要潤)と独自取材に乗り出した清張は、ある事実を突き止めノンフィクションを執筆しようとするが、巨大な「壁」が立ちはだかり……。

本清張 沢たかお
インタビュー

「事件の謎を清張先生自身の視点で
解き明かしていく描き方が実に斬新だなと」

父が松本清張先生のファンで、僕自身も作品を読んだり原作ドラマを見たりする機会が多かったので、いつか作品に出演する機会があればと思っていたんです。

でも、まさか清張先生ご本人を演じさせていただけるとは思ってもみなかったので、最初にお話をいただいたときは驚きました。外見は似ていないし、ましてや清張先生を描く初の映像作品。果たして自分に役が務まるのだろうかと思いながら企画書を読んだのですが、企画のすばらしさに思わず胸が熱くなりました。

帝銀事件については、父から話を聞いたことがあったのでおおよその概要は知っていたものの、詳しい背景までは知りませんでした。清張先生がどんな“闇”を暴こうとしていたのか知りたいという思いも湧きましたし、その謎を清張先生自身の視点で解き明かしていく描き方が実に斬新だなと。これはぜひ挑戦したいと思い、参加させていただいたんです。

若き日の清張をほうふつとさせる大沢さんのビジュアルにも注目。「美術をはじめ、ヘアメイク、衣装、メガネなどの小物にいたるまで、スタッフの皆さんのなみなみならぬこだわりと作品へ熱量を感じて、ありがたかったですね。初めて映像を見たとき、自分だと思わなかったくらいです」と大沢さん。

清張が真実を追い続けた原動力とは?
自問自答しながら演じた日々

清張先生の作品は、罪を犯した人間の善悪よりも、そこに至った背景やその人物の生きざまがきめ細やかに描かれている印象が強く、きっとご自身も人間愛にあふれた人だったんだろうなと想像していました。ただ、実際はどんな方だったのか分からないところからスタートしたので、事前に史料を調べたりお話を伺ったりしてから現場に入りましたが、撮影しながら知ることのほうが多かったですね。

清張先生は、帝銀事件のほかにもGHQの占領下で起きた数々の未解決事件を徹底的に取材して執筆されましたが、その熱量が尋常ではないんです。“闇”の正体に近づきかけては何度も行く手を阻まれながら、絶対に書くことを諦めなかった。その原動力は何だったのか? 何に対してそこまで怒っていたのか? 僕がいちばん知りたかったのはそこで。いつも答えを探しながら演じていたので、撮影が終わるとぐったりするくらいエネルギーを使いました。

平沢犯人説に異を唱える清張は、被害者の夫で新聞記者の竹内(迫田孝也)にも協力を求めるが、竹内の口は重く……。

今回の作品を通して、清張先生からたくさんのメッセージやヒントをいただいた気がしているんです。特に強く感じたのは、松本清張という人が正しいことを正しいと言える社会の在り方を強く願っていたこと。そのメッセージは、今を生きる我々にも投げかけられているのではないかということです。

時代背景は違いますが、現代でも正しいことをストレートに言いづらい風潮がありますよね。僕自身、そういう世の中ってどうなんだろうと疑問を抱くこともあったので、清張先生の姿に自分の思いも重ねて表現しました。

「未解決事件」ですから答えは1つではありませんし、僕も、結局明確に答えを見いだせなかった部分があります。その謎が、翌日放送される第2部のドキュメンタリーでどのように検証されるのか、それを皆さんがどう解釈されるのか気になるところです。ぜひ、答え合わせをしながらご覧いただけたらと思います。

原登城ディレクター
より メッセージ

1959年、清張は帝銀事件を題材にしたフィクション『小説帝銀事件』を発表した翌年、GHQの占領下で起きた重大事件を考察したノンフィクション『日本の黒い霧』でも帝銀事件を検証しています。

なぜ帝銀事件なのか──。その背景を取材してみると、真相究明にかける清張の執念に改めて驚かされました。「なぜ」の部分を清張自身の視点で掘り下げることで、事件の再現だけでなく重厚な人間ドラマとして見ごたえある作品になるんじゃないかと思い、安達奈緒子さんに脚本をお願いしてドラマ化しました。

帝銀事件をノンフィクションで書くか小説として書くかを巡って激論を交わす清張と田川。
「清張がなぜ、小説のタイトルにわざわざ「小説」とつけて、『小説帝銀事件』としたのか疑問だったのですが、清張を知る方を取材する中で奇跡的に証言を得られたんです。このシーンは、そのエピソードから生まれました」(梶原D)

ただ、清張の視点で事件を説明するとなると、彼は事件現場には立ち会っていないので映像表現に工夫が必要でした。清張の脳内イメージ実際のニュース映像現在軸のストーリーを違和感なく融合させ、事件当時の様子を説明的ではなくエモーショナルに描写するにはどうすれば効果的なのか。スタッフと話し合いながら試行錯誤を重ね、脳内イメージの部分は特に意識して映像を作りました。

また、事実をベースにしたドラマなので、フィクションを超えていけるような生々しさを大切にしたくて、極力テストをせず一発勝負で撮影しています。それぞれのキャストがこん身の芝居をしてくださっていますので、なんといっても俳優陣の熱演がいちばんの見どころです。

登場人物の“目”をクローズアップするカメラワークも印象的。言葉にせずとも、それぞれの心情がまざまざと伝わってくる。

どこか閉塞感漂うこの時代だからこそ、きっと皆さんの心に響くメッセージがあると思うのです。ミステリーならではの緊張感をご堪能いただきつつ、松本清張の魂の叫びから、何か希望の光を感じていただけたら幸いです。

ドラマの翌日、12月30日(金)放送の第2部「74年目の“真相”」は、取材期間に6年を費やしたこん身のドキュメンタリー。事件から74年ぶりに浮かび上がる帝銀事件の新たな真実とは!? 取材を担当したスタッフのインタビューを通して、番組の見どころを紹介します。

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NHKスペシャル 未解決事件 松本清張と帝銀事件

【放送予定】
第1部ドラマ 事件と清張の闘い 12月29日(木)[総合]後9:00~10:30
第2部 74年目の“真相”(ドキュメンタリー) 12月30日(金)[総合]後9:00~10:00

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関連番組情報

新作の放送に合わせて、過去の「シリーズ 未解決事件」を3本連続アンコール放送します。

「File.08 JFK暗殺・前編」12月28日(水)[総合]後11:50~翌前0:50

「File.08 JFK暗殺・後編」12月29日(木)[総合]前0:51~1:45 ※水曜深夜

「File.03 尼崎殺人死体遺棄事件」12月29日(木)[総合]前1:46~3:15 ※水曜深夜

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