お笑いコンビ・サンドウィッチマンが病院に出張ラジオ局を開設し、患者や家族の本音をリクエスト曲とともに聞いていく、涙と笑いの新感覚ドキュメンタリー「病院ラジオ」。
第10弾の舞台は、長野県立こども病院です。
小児・周産期医療の最後の砦として高度・専門医療を提供し、小児期の病気を抱えたまま成人年齢に達した患者さんが適切な医療を受けられるよう支援することにも力を入れている病院です。
患者さんとそのご家族に対面したサンドウィッチマンのお二人に、収録の感想を聞いてきました。
夢を聞けたのがよかった
伊達:今回は、とっても素直な子どもたちに来ていただきました。中でも驚いたのは、お医者さんになりたい子や、保育士になって子どもを元気づけたい子など、この病院でのふれあいがあったからこその夢が聞けたのがすごくよかったですね。
富澤:すごくしっかりした子が多かったですよね。MCも代わってもらいたかったですね。
伊達:本当だよね。それで言うと、皆さんのお話って全国の人に余さずお聞かせしたい話ばかりなんですよ。だから毎回言いますが、放送時間もっと長くならないですかね。
富澤:今回は45分ですよね。今日は6組のお話を聞きましたし、すごくすてきな投書もありました。
伊達:毎回あの話は放送されなかったのか~と思ったりするので、最低1時間、もう少しゆったりと皆さんのお話をお伝えできればなと。

勇気をもらえる言葉
伊達:今回も皆さん印象的でしたが、手話でお話をされる方が初めてこの番組にいらっしゃいました。生まれたときから心臓の難病で、原因は不明だけどおそらくそのために難聴になっているという方がいらして、そんな彼がこれまで支えられてきたのは音楽だって言うんですね。かすかに聴こえる曲を何回も聴いて、歌詞カードも何度も見て、それで前向きになったという言葉があって、そういった支えになるものがあるっていいなあと思いました。

富澤:すごく熱い思いを語ってくださったんですよね。
伊達:そうなんです。歌手の方もきっとよろこぶんじゃないかなと思いました。
富澤:僕は、重い食物アレルギーと闘っている9歳の子が印象的でした。「アレルギーについて友だちや周りの人に分かってもらいたいから」と、独自でアレルギーについてまとめたノートを持ってきてくれました。なぜアレルギー症状が起こるのかとか、食べ物の成分表も自分なりに調べて書いてあって、お医者さんにコピーして渡したいぐらいでしたね。
伊達:その子は、食物経口負荷試験という少しずつ食べて症状が出るかを調べていく検査を行っているそうで、4年かけて卵は食べられるようになりましたが、乳製品はまだ難しいんだそうです。それでもアレルギーがある人たちに、「皆も頑張って」とメッセージをくれて、なんでそんなに頑張るのと聞いたところ、「皆と同じものを食べたいから」と即答でした。
富澤:アレルギーがある人って本当にたくさんいると思いますが、あの子の言葉に勇気をもらえると思うのでぜひ耳を傾けてほしいですね。

伊達:二人姉妹のお母さんもいらっしゃいました。妹さんは先天性の心臓の病気があり移植を受けるためにドナーが現れるのを待っていたけれど叶わず亡くなって。お姉ちゃんは自宅の吹き抜けから落ちて脳挫傷になり、リハビリ中とのことでした。お母さんの「目を離したすきに何が起こるのか分からない」という言葉が忘れられなくて、僕も娘がいるので気をつけよう、と改めて思いましたね。
富澤:ほかの方々もすごくすてきなお話や胸に刺さるお話が多くて、おばあちゃんに感謝を伝えたいって子や、ロックミュージックに元気をもらっている子、夢がたくさんある中学生など、全員の話をしっかりお伝えできたらいいなと思っています。


僕らを街で見かけたら手を振って!
伊達:今回で第10弾となる「病院ラジオ」です。僕らも「よく見ています」と声をかけられることが多い番組です。病気ってわが身に起こりうることですし、それに立ち向かっている人がこんなにいるんだというところをじっくり見てほしいと思います。
富澤:皆さんこの番組を見ているよとよく言ってくださるのですが、そのわりには車で街を走っていても誰も手を振ってくれないんですよね。次はあなたの街に行くかもしれないので、注意して車を見ておいてください。そして見つけたら手を振ってください。

病院ラジオ「長野子ども病院編」
制作者メッセージ
今回の舞台は、病院ラジオでは2回目となる子ども病院です。子どもたちの治療だけでなく、子どもから大人に移行する時期のケアにも力を入れている病院で、小学生から20代までの患者さんと、そのご家族にご出演いただきました。
大変な状況にあっても病気や体の状態を客観的に見つめ、治療に向き合おうとする姿。葛藤を抱えながらも、明るく幸せなエピソードを語るみなさんの姿から、ありふれた言葉ですが、生きる力強さを感じました。そしてひとりの大人として、背筋を正される思いにもなりました。
医師や看護師に限らず、院内学級の先生や保育士、清掃員、ボランティア、事務のみなさんなど、子どもたちに関わるすべての人が全力でサポートしている姿も印象的でした。(なかには子どものころ、この病院の患者だったという方もいらっしゃいました!)
そんなあたたかい場所で、大切なお話を聞かせていただきました。じっくりとご覧いただけますと幸いです。
番組ディレクター 内堀楓季
病院ラジオ「長野子ども病院編」
【放送予定】
1月30日(月)[総合]後10:00~10:45