24歳の若さでこの世を去ったジェームズ・ディーン。クレジットされた出演映画はわずか3本ですが、亡くなって70年近く経つ今も、永遠の映画スターとして世界中で愛されています。今回ご紹介するのはディーン主演の第2作。青春映画の傑作です。
ロサンゼルスの高校に転校してきたジムは、母親に頭が上がらない父に複雑な思いを抱いています。ジムは、同じ学校の不良グループに目をつけられ、崖に向かって車を疾走させる“チキンレース”対決をすることになりますが…。
家族、友情、恋愛…、今も変わらない若者たちの繊細な感情を描いたこの作品、ディーンは、やり場のない焦燥感にかられる主人公ジムを演技と思えないほど自然に演じています。上目づかいの表情、時折見せる笑顔、唯一無二の存在感は今なおまったく色あせることがありません。
監督のニコラス・レイは、近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトに建築を学び、演劇活動ののちに映画界に入りました。抜群の映像感覚、とりわけ縦の構図や、横長のワイドスクリーンを生かした映画ならではのダイナミックな演出で、さまざまなジャンルの傑作を発表。ジャン・リュック・ゴダールやフランソワ・トリュフォーなど、フランスのヌーベルバーグの映画作家たちにも大きな影響を与えました。
レイ監督は、泥酔したディーンが、道に倒れてサルのおもちゃを拾うオープニングをはじめ、ディーンの即興演技を積極的に演出に取り入れたということです。
ヒロインのジュディを演じるナタリー・ウッドは子どものころから俳優となり、10代半ばで出演した本作でアカデミー賞にノミネート。その後もジョン・フォード監督の傑作西部劇「捜索者」(1956)、青春映画の名作「草原の輝き」(1961)、名作ミュージカル「ウエスト・サイド物語」(1961)などに出演、ハリウッドを代表するスターとなりましたが、43歳で亡くなりました。ディーンの友人、プラトンを演じるサル・ミネオもアカデミー賞にノミネートされるなど本作での演技は絶賛され、その後、テレビや映画で活躍しましたが、1976年、37歳の若さで亡くなりました。
当時、作品の登場人物たちのファッションも大きな話題となりました。とりわけチキンレースの場面での、ディーンの赤いジャケット、白い無地のTシャツ、ジーンズは大流行。今もカジュアルの定番ですよね。
翌週15日はディーンの最後の出演映画、エリザベス・テイラー共演の超大作「ジャイアンツ」(1956)も放送します。永遠のスターの魅力を改めてご堪能ください。
プレミアムシネマ「理由なき反抗」
2月8日(水)[BSプレミアム]後1:00〜2:52
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【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)
1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。