ハリウッドで行われる映画の祭典・アカデミー賞。第95回となる今回は日本時間3月13日に発表予定、SF映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(2022)が最多10部門11ノミネート、主演のミシェル・ヨーが初受賞となるかが注目されています。
今回ご紹介するのは、そのミシェル・ヨーはじめアジアの大スターが共演、22年前、第73回アカデミー賞では中国語作品で初の作品賞のほか10部門にノミネートされ、撮影賞など4部門を受賞した名作です。
太古のパワーをもつ伝説の名剣“グリーン・デスティニー”をめぐって繰り広げられる男女の愛と死闘の物語。演じるのは今も第一線で活躍するスターたちです。
まずはチョウ・ユンファ。香港出身、傑作アクション「男たちの挽歌」(1986)のスーパースターが名剣の使い手、リーを抜群の存在感で演じます。リーの弟子ユーを演じるのがミシェル・ヨー。マレーシア生まれのヨーはジャッキー・チェン主演作や「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」(1997)では見事なアクションを見せ、コメディーやアニメの声優と幅広く活躍しています。本作でみせる俊敏な剣や身のこなし、かなわぬ恋を表現する繊細な演技に感嘆させられます。
剣士に憧れる貴族の娘イェンを演じるのは北京出身のチャン・ツィイー。映画・ドラマと大活躍中の大女優です。純真で可れんな少女を演じたチャン・イーモウ監督の「初恋のきた道」(1999)が絶賛され、続く本作では己の信じることに生きようとする凛とした女性を熱演しています。イェンに恋する盗賊ローを演じるのがチャン・チェン。台湾出身で、台湾の巨匠エドワード・ヤン監督の傑作「牯嶺街少年殺人事件」(1991)で鮮烈なデビューを果たし、ウォン・カーウァイ、ホウ・シャオシェンといったアジアの名監督の作品や、最近ではドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のSF超大作「DUNE/デューン 砂の惑星」(2021)にも出演。細身で端正なルックスと高い演技力で多くのファンを魅了しています。
監督のアン・リーは台湾出身ですが、アメリカで映画制作を学びました。男性同士の恋愛を描く「ブロークバック・マウンテン」(2005)、3Dで製作したファンタジー「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」(2012)で2度のアカデミー監督賞に輝く名匠です。本作ではワイヤーアクションを駆使して宙を舞う華麗な映像美を作りあげました。
まるで絵画をみるような美しさのファンタジーアクション。どうぞご堪能ください。
プレミアムシネマ「グリーン・デスティニー」
3月13日(月)[BSプレミアム]後9:00〜11:00
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【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)
1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。