
【あらすじ】
主人公は、生理用品メーカーの情熱的な広報マン、光橋幸男(ひかりばし・ゆきお)。高校生の娘と中学生の息子を育てるシングルファーザーだ。半年前、「生理についてよく知ろう!」と幸男が呼びかける動画が「バズ」ったことをきっかけに、「生理のおじさん」として活動している。一躍SNSとお茶の間の人気者となった父親に、思春期の娘・花は、複雑な思いを抱いていた。
生放送の情報バラエティーで幸男と共演するコメンテーターの北城うららもまた、幸男の言動が気に食わない。ある日、うららの「あなたは女性のことを全然分かってない」という挑発に興奮した幸男は思わず「僕は娘の生理周期も把握している!」と発言。幸男の会社にはクレームが殺到する。学校でもうわさになった花は家出してしまう。激しく落ち込む幸男。彼は炎上を乗り切り、愛娘と仲直りできるのか。生理を巡る親子のスレ違いを、二人はどう乗り越えるのか。
光橋幸男役の原田泰造さん、幸男の娘の光橋 花を演じた上坂樹里さん、幸男とぶつかる婚活アドバイザー・北城うらら役の菊地凛子さんにお話をお聞きしました。
“生理のおじさん”光橋幸男役
原田泰造さん インタビュー

痛みを感じ取れるようになれたらいいな
このドラマのテーマを聞いたときは、正直に難しそうだなと思いました。僕は生理について知らないし。姉もいましたけど、母からは女性の生理について「男は知らなくていい」と言われて育ったので、自分が親になったときもどのように対応していいのか分からなかったんですよね。
収録前に、女性の生理のメカニズムや子宮や卵巣がどう機能しているかについてのレクチャーを受けたんですが、僕も小さいときにこんな授業を受けたかったですね。どうやって生理が起こるかという仕組みも分かりやすく、イメージしやすくなりました。
子宮の内側が剥がれて外に出る、その筋肉の収縮で痛みが起こる、というメカニズムがわかったら、気分が悪そうな人に気付けたり、痛みを感じ取れるようになったりできたらいいなと思うようになりました。たとえば現場でも「この人、大丈夫かな?」って思えるようになりたいなと思っています。生理のことは言わないにしても、声を掛けるだけでも違うと思うんですよね。
きっと僕みたいに知らない人がたくさんいると思うので、若いパパやもっと若い世代の子でも、こうした作品を通してみなさんに知ってもらうといいかなと今は思っています。知ることができたら、たとえば何か重いものを一つ持つでもいいので、男性がケアすることもできると思うし。女性側も「今日生理だからちょっと助けてね」って言える世界になればいいなと本当に思っています。
それからこのドラマは、監督やチーフカメラマンをはじめ、すごい数の女性スタッフがいて、こんな現場は初めてです。僕がデビューした時代を思い出すと、当時は男性スタッフが圧倒的に多くて声を荒げる場面もたくさんあったから、今この女性スタッフたちが集まって検討したりするのを見ていると僕も幸せな気持ちになってね。かっこいいなと思いました。


このドラマを見てどんなことを感じてもらえるかが楽しみ
「生理のおじさんとその娘」、もちろんみんなに見てほしいんですが、男性にもぜひ見てほしいですね。生理について知ろうと思う心がちょっとでも芽生えてくれたらすごくうれしいです。女性の中にも、多分「あんまりそういうの分かってほしくないんだよね」っていう人もいっぱいいると思うんです。だけど、このドラマを見て、これはちょっとでも分かってもらえた方がいいのかなって思ってもらえるとうれしい部分もいっぱいあります。
僕はこの台本を読んだときに僕はちゃんと知りたいなって思ったんですけど、同じ気持ちになってくれる人が1人でもいたらうれしいです。

“娘”光橋 花役
上坂樹里さん インタビュー

このドラマを通して新しい考え方や発見があるといいな
ドラマで生理をテーマにするなんて新しいなと思いましたが、私が演じる「光橋 花」は私と同じ17歳の設定ですし、生理をテーマにしたこの作品を通して、見ていただく方に何か伝えられるものがあったらいいなと思ってしっかり演じきりたいなと思いました。
まず率直な感想を受けたくて父にも脚本を読んでもらったら、父も「本当に何も知らなかった」と。「新しい発見ばかりだったからびっくりしたけどすごくおもしろい」と言っていました。
私もこの作品を通して新たに自分自身が学んだこともたくさんあります。父自身も「男親の自分から話題にするのもちょっと違うかなと思っていたけど、(ドラマの主人公である)光橋幸男の行動や言動を見て、新しい考えをもらった」と言ってくれました。私の父に限らず、このドラマを通して女性はもちろん男性も少しでも新しい考え方や発見があるといいなと思います。

光橋家の雰囲気がすばらしい
今回、原田さんと父娘役として一緒に共演できることはすごくうれしいです。常に先頭でリードしてくださって、私と弟の嵐(演・齋藤 潤)をいつも引っ張ってくださいます。私は人見知りで、休憩時間も緊張して固まっていたんですけど、そんなときにも原田さんからいろいろ話題や質問を振っていただいて緊張をほぐしてくださいました。芝居に対するたたずまいや撮影現場での姿を見て毎日毎日たくさんのことを学ばせていただいています。
あと、光橋家の雰囲気がすばらしいです。(原田さん演じる)お父さんと花だけだったらうまくバランスが保てないところに、弟の嵐がいい具合に入ってきてかき混ぜてくれるので、「光橋家」はステキです。

高校生活のキラキラした部分にも注目していただきたいです
学校のシーンがすごくキラキラしていて印象に残っています。同級生の月坂さんとのシーンが青春だなと思ったので、高校生活のキラキラした部分にぜひ注目していただきたいです。月坂さんの役を演じるまりあさんとは、休憩時間にも話して仲よくなれたので、その二人の雰囲気そのものが映像にもお芝居に出ているかなと思います。
(私の演じる)花ちゃんは、家庭と学校では全然キャラクターが違うんです。家庭でのお父さんへの態度とかはすごく頑固だなと思うんですけど、学校ではすごく分かりやすく表情に出ちゃったりするので。あんまり素の姿を見せない、家庭での花も学校での花も、どちらも正解の姿なんですけど、家と学校での花の表情の違いもぜひ比べて見ていただきたいです。

婚活アドバイザー 北城うらら役
菊地凛子さん インタビュー

ワクワクしながら現場に入りました
生理は女性の身体に起こる現象ですし、今はまだ包み隠している印象があるので、生理をドラマの題材に取り上げ、タイトルに掲げるなんてすごいなと思いました。NHKのドラマで全国のみなさんと生理についてシェアするという試みにワクワクしながら現場に入りました。
私は結構眠気にくるタイプで、眠くてしょうがない日があるんですよね。でも自分の体との付き合いは長いので、使い方はよく熟知しています(笑)。でも、頭痛が出る方もいるし、大変な方は起き上がれないですよね。人によって症状の出方や強さが違うということは女性も男性もみんなが当たり前に分かってくれたらいいと思います。
アメリカでは、女優さんでも普通に生理用ナプキンのパッケージごと持ってスタジオに入って来ることがあるんですよ。生理用ナプキンを素手で持って歩く人を初めて見たときは「え!?そういう発想?」という感じでしたけど、それだけ社会がそのことについて寛容なんですかね。
生理への理解や受け止め方って、めちゃくちゃ難しい問題ですね。 でもこういう難しい問題は「これ難しいよね」って声を上げることが大事かもしれないと思います。女性によっては全くそういうことを誰にもシェアしたくない人もいるでしょうし、逆に、積極的にオープンにしたい人もいるでしょうからね。ただどうあってもみんなが寛容であるということの方が大事かもしれないですね。

好感度はない女性をやったつもりです(笑)
私の演じる北城うららは、テレビのワイドショーにコメンテーターとして出演している婚活アドバイザーですが、こういう女性のキャラクターはリアルだなと思いました。男性が〝わかってるよー″の顔をして女性だけの話に入ってくることに対して女性たちが敏感になるのも分かります。昔に比べると時代が変わってきて、女性の生理についても情報として知っておくべきというのはあるかもしれないですけども、まだまだその話をシェアできるほど女性側も余裕がない、整っていないんじゃないかなと思いますし。
うららさんに関しては、見ている方が何かザワっとする感じを持たせられるといいかなと思ってしゃべり方を意識しました。言葉の端々に「角が立つ感じ」を入れたというか。はっきりと意見を言おうとするあまりにそうなるのかなと想像するのですが「どうしてあんな癖のある話し方をするんだ?」っていう人が、皆さんの周りにもいると思うんですよね。彼女の言っていることの一部には共感できる。だけどこの人自体は好きじゃないみたい、という人物像ですかね。好感度はない女性をやったつもりです(笑)。
私自身、見るのがすごく楽しみなドラマ
みんながちょっと避けている話題に真っ向から闘っていく原田泰造さんはすごくおもしろくてステキでした。 私自身、見るのがすごく楽しみなドラマです。生理にまつわることをおもしろくユーモラスに描いているので、これがきっかけでいろいろなことをシェアできるようになる気がします。
あとは、私の出演シーンではないんですが、ドラマの中に出てくるラップのシーンがどんな仕上がりになっているのかなと思っていて。 私、ラップがめちゃくちゃ好きなんですけど、ラップって結構角が立つことを言っても角が立たない、すごくいい技術だなと思うんです。(原田)泰造さんに「ラップのシーンどうでした?」って聞いたらおもしろそうだったので、それが何より楽しみです。

“生理に詳しすぎるおじさん” と “生理を語りたくないその娘”。生理の現状を通して「違う人同士が分かり合うこと」を描くドラマです。どうぞお楽しみに!
特集ドラマ「生理のおじさんとその娘」
【放送予定】
3月24日(金)[総合]後10:00~11:13〈73分〉
【作】
吉田恵里香『恋せぬふたり』
【音楽】
macaroom
【語り】
麻生久美子
【制作スタッフ】
制作統括:清水拓哉
演出:橋本万葉
プロデューサー:大越大士、石澤かおる