【シリーズ5年目】人生の一歩を踏み出す人々を見つめる

沁みる夜汽車 2023春

〈50分版〉
5月28日(日)[BS1]午後8:00〜8:50

〈59分版〉
6月5日(月)[BSプレミアム/BS4K]午後9:00〜9:59
再放送6月8日(木)[BSプレミアム]午後5:00〜5:59
再々放送6月13日(火)[BSプレミアム/BS4K]午後0:00〜0:59

〈10分版〉
各エピソードは1話10分の番組としても放送します。決まりしだい、番組ホームページなどでご案内します。

▶ 番組ホームページ

2019年にスタートしたみる夜汽車」は、鉄道にまつわる心にしみるエピソードをお届けする番組です。私たちが、日々の通勤から人生の節目の旅まで、さまざまな目的で利用する鉄道。そこでは大切な家族との思い出や、見知らぬ人との思いがけない出来事が生まれます。また、駅や列車に愛着を持って鉄道マンになった人たちにもドラマがあります。この番組は、そんな鉄道にまつわる人々のエピソードをつぶさに見つめ、味わいある再現シーンや、みずみずしい列車の映像でつづる、1話10分のドキュメントです。

シリーズ5年目となる4月からは、BS4Kでの1時間番組も新たにスタート。5つの人生ドラマに加え、その背景となった路線や地域の素顔を旅情豊かに紹介します。

ナレーションは、「チコちゃんに叱られる!」でおなじみの森田美由紀アナウンサー。森田アナに、ナレーションで意識していることなどをインタビュー。また、宮本晶樹チーフプロデューサーに番組の魅力を聞きました。

今回の5つのエピソード ※50分版

★第1話
あなたがいてくれたから 〜西鉄 宮地岳線~

福岡県に住む高倉千夏さん(59)と安河内律子さん(65)は、生涯の友と呼び合う親友だ。出会ったのは34年前、偶然乗り合わせた通勤電車だった。安河内さんは当時、赤ん坊を抱えて通勤。高倉さんは新婚で、出産を望んでいたため、安河内さんをお手本と思い話しかけた。女性の就労支援が今より遅れていた当時、二人は生き方を相談しあえる貴重な存在になった。乗車時刻を合わせて毎日車内で交流、以来34年にわたって付き合いが続いたのだ。満員電車の片隅で育まれた友情。

偶然同じ電車に乗り合わせた二人は、生涯の友となる

★第2話
夢を生きる 〜特急あずさ〜

長野県上田市には特急あずさの先頭車両が置かれた民宿があり、全国の鉄道ファンが集う。民宿の経営者の鈴木 浩さん(72)があずさを置いたのには、おとぎ話のような経緯がある。もともと人づきあいが苦手で、仕事もうまくいかない、そんな日々を過ごしていた45歳のころ。ある夜、あずさに乗って多くの人が笑いあっている夢を見た。あずさ号を手に入れたら自分を変えられるかもしれない。そう思った鈴木さんはJRに交渉し、本当に手に入れたのだ。夢に導かれた男のロマンあふれる実話。

鉄道ファンが集う民宿を経営する鈴木さん(中央)。ある日見た夢が、民宿を営むきっかけに

★第3話
はじめての汽車旅 〜旧国鉄 東北本線・釜石線・山田線〜

66年前の夏休み。宮城県に住む小学生の姉弟が、汽車で子どもだけの旅に挑んだ。目指すは岩手の海辺に住む叔母の家。バスと汽車を3回乗り換え7時間の道のりだ。教師の両親が忙しく、遊びに連れていけないため、子どもたちに勧めた旅だった。小4の姉は、母からお金や切符を託されガッチガチ。一方小1の弟は無邪気にはしゃいでいたが、姉がトイレに立つとき、混雑の中で荷物と席を守る大役を担う。携帯はもちろん、家に固定電話もない時代。子どもたちが挑んだ冒険と成長の物語。

宮城県に住む小4の姉と小1の弟。二人だけで岩手の叔母の家へ向かう

★第4話
似顔絵で見つけた自分らしさ 〜JR吉都線 えびの飯野駅〜

JR吉都線の駅に、客の似顔絵を描いて親しまれる女性がいる。小山順子さん(69)。内気な性格や学歴などのため長く劣等感を抱いてきた順子さんに転機が訪れたのは、50代。娘に背中を押され、自分を変えようと得意の似顔絵を描き始めた。相手を応援する気持ちで笑顔を描く。「描いてもらって励みになった」「悩みが軽くなった」という感謝の声が順子さんの自信に。人の役に立てることで、生きがいを得た女性の日々。

JR吉都線えびの飯野駅で似顔絵を描く小山さん

★第5話
切符売り場の忘れ物 〜JR倉敷駅〜

13年前、一人の女子高校生が、駅で忘れがたい経験をした。券売機で、目の不自由な高齢の男性が、点字を読みながら切符を買おうとしていた。手助けしようか? でも迷惑だったら…ためらううちに男性は立ち去り、少女は役に立てなかった自分を責めた。が、ふと見ると男性の財布が忘れられていた。今度こそと追いかけ、財布を渡せた。男性から感謝が。財布には、ある思い出深い宝物をしまっていたというのだ。

目の不自由な男性が券売機に忘れていった財布には、大切な思い出が…

ナレーション・森田美由紀アナウンサー インタビュー

いろんな思いが込み上げて原稿が読めなかったことも。
感情を導かないように、つぶやくようなナレーションを意識しています。

──「沁みる夜汽車」のナレーションで意識されていることは?

4年前、初めての収録の前に、どのようなトーンで読むのか、制作陣みんなで議論しました。いろいろなパターンで読んでみて、「明るすぎる」「ちょっと語尾が強い」「寄り添いすぎ」などなど、感想やリクエストを聞きながら、最終的に「できるだけ客観的に、つぶやくように読む」ことにしました。ふだんのナレーションと比べると、ほとんど声を出していない感覚で心もとない感じでしたが、「それがちょうど良いです」という制作陣の反応を道しるべに読んでいます。
毎回5本ずつ収録しているのですが、必ずいくつか、大きなつらい経験を乗り越えた方のことや、亡き両親の姿と重なるエピソードがあり、胸が詰まって、声が出なくなることがあります。
初回の江ノ島電鉄を舞台にした物語で、心臓の難病を抱えた少年の、電車の運転士になりたいという夢をかなえてあげようと、多くの人が協力して夢が実現。その4日後に少年が亡くなったというエピソードのときもそうでした。台本を読んだときから涙が止まらず、何度も何度も読み込んで気持ちの整理をし、収録当日は少しでも客観的に、読むように努めました。
物語との距離感をうまく探りながら、必要な情報が視聴者の皆さんにすっと届き、少し温かさも感じていただけるような、そんなナレーションができればと思っています。

──この番組の魅力をお聞かせください。

初めてこの番組を担当したときに、飯田俊明さんのテーマソングが流れ、水面に反射した列車の映像から乗客が降りてくる映像に切り替わり、キレイな夜景が映し出されたオープニング映像に私自身引き込まれ、「ステキないざないだわ」と思ったんです。また、さまざまなエピソードの中に、自分自身と重なるものがありました。電車は日常で利用することが多いですが、見慣れた景色の中にこの番組で紹介するような心温まる一コマがあるんだなと思うと、電車の中ですれ違うあの人にもこの人にも、それぞれ物語があるのかなと想像させてくれます。

──今回の印象的な物語は?

今回印象的だったのは、「はじめての汽車旅」という、今から66年前に小学4年生のお姉さんと小学1年生の弟が、2人だけで7時間の汽車旅に出るというエピソード。私自身も中学3年生のときに、小学6年生の弟と、札幌から青函連絡船と夜行列車で東京に行った記憶があるので、この物語に登場するお姉ちゃんの気持ちが分かるような気がします。当時は携帯電話もなく、雨で電車が遅れて乗り継ぎがうまくいかず、姉として何事もなく最後まで弟と一緒にたどりつかなきゃという思いで、目的地にたどりついた思い出があります。なので、個人的には非常にひかれている物語です。
各エピソードの冒頭に、物語の舞台となる電車の映像が流れますが、毎回制作陣が力を入れて撮影しているので、電車好きな方にとっては楽しんでいただけるポイントなのではないでしょうか。先ほどご紹介した「はじめての汽車旅」のエピソードには、SLが登場します。どんな映像になるのか、本編の物語と同様に楽しみにしていただけたらと思います。

「第4話 似顔絵で見つけた自分らしさ」の主人公・小山さんが描いた、お客さんの似顔絵

シリーズ5年目『沁みる夜汽車』

「沁みる夜汽車』のチーフプロデューサー、宮本晶樹さんに番組の見どころを聞きました。

宮本晶樹チーフプロデューサー

新生活が始まった「春」に送る、人生の一歩を踏み出した人たちの物語

列車という箱の中には、いろんな出会いや別れなど人生が凝縮されています。ですので、紹介しているのは鉄道にちなんだ物語ではあるけれど、人生のエッセンスみたいなものをお伝えできる番組だと思っています。番組を見終わって、故郷の両親に電話してみようかな、家族と最近話していないな、などと感じてもらえるきっかけになればうれしいです。

これまで報道された情報を基に取材をして制作する物語もありますが、人づてに鉄道にまつわるエピソードを聞くなど、情報源はさまざまです。番組ホームページでは視聴者の方から体験談などを募集。メディアであまり報じられることのない、日常の暮らしの中に起きるドラマなども掘り起こしています。

今回、タイトルに「春」とありますが、新生活が始まったこの季節に合う、人生の一歩を踏み出した人たちの物語が集まりました。それぞれの一歩を優しく見つめていただけたらと思います。

「第2話 夢を生きる」より 桜の横を走る特急あずさ

BSプレミアム・BS4K《59分版》では、物語の舞台となる路線の背景をお届け

今回の「2023 春」からBSプレミアム・BS4Kで、59分版も放送します。エピソードの舞台となった鉄道の歴史や、その地域の文化などを紹介する予定です。より深みのある情報で、それぞれの物語をかみしめていただけたらと思います。

森田アナウンサーの深みのあるナレーション

森田さんは、深みのあるナレーションをしてくれます。例えば「悲しみ」とひと言で言っても、さまざまな悲しみがありますが、森田さんは微妙な表現で、その違いを出してくれています。心に沁み入るようなナレーションとともに、5つのエピソードを堪能していただけたらと思います。

「第5話 切符売り場の忘れ物」主人公の女性 目の不自由な男性との思い出を語るインタビュー映像も

5つの心温まるエピソードを、森田美由紀アナウンサーのナレーションとともにお楽しみください。

みる夜汽車 2023春」

【放送予定】

〈50分版〉
5月28日(日)[BS1]午後8:00〜8:50

〈59分版〉
6月5日(月)[BSプレミアム/BS4K]午後9:00〜9:59
再放送6月8日(木)[BSプレミアム]午後5:00〜5:59
再々放送6月13日(火)[BSプレミアム/BS4K]午後0:00〜0:59

〈10分版〉
各エピソードは1話10分の番組としても放送します。決まりしだい、番組ホームページなどでご案内します。

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